帝人 仏サフラン社と高機能複合材料の供給契約を締結

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2020年11月18日

 帝人はこのほど、フランスのサフラン社との間で、航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結したと発表した。

 サフラン社は、航空・宇宙、防衛に関する事業を展開する複合企業体で、中でも航空機向けの部品製造については、エンジンや降着装置、内装品など、品質の高い装備品を製造・販売しており、航空機業界での高いプレゼンスを誇っている。帝人は、これまで25年にわたりサフラン社に高機能素材の供給を行ってきた。

 今回の契約締結により、次世代航空機用の高機能素材の供給をさらに強化するとともに、高機能複合材料の供給を開始する。航空機市場の諸課題に対してソリューションを提供するため、サフラン社と協力・連携し、生産コスト改善や環境負荷低減に貢献する技術を開発していく予定だ。なお、今後は帝人がサフラン社に供給する最初の材料の一部を、帝人グループの中で高耐熱熱硬化プリプレグを製造・販売する米国・レネゲード社が製造する。

 帝人は、2019年のレネゲード社の買収や、米国サウスカロライナ州での新しい炭素繊維製造拠点の建設など事業拡大策に取り組んでおり、今年度からの中期経営計画では、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(ストラテジック・フォーカス)」と位置づけている。

 帝人は、これからも欧州・米国のグループ会社と連携し、グローバル市場で川上から川下に至るまで幅広く用途開発を推進していく。そして、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間9億ドル超の売上を目指す方針だ。

帝人の4-9月期 コロナ影響でマテリアルが赤字に

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2020年11月4日

 帝人は2日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比10%減の3941億円、営業利益8%減の311億円、経常利益9%減の302億円、純利益22%減の160億円となった。

 電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高は、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減や、薬価改定影響があり減収となった。営業利益はマテリアル事業の赤字が響き減益となったが、 “帝人の4-9月期 コロナ影響でマテリアルが赤字に” の続きを読む

帝人 「国連グローバル・コンパクト」の声明に賛同

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2020年10月28日

 帝人はこのほど、国連グローバル・コンパクト(UNGC)による「新たな国際協力のためのビジネスリーダーからの声明」に賛同し、鈴木純CEOが署名したと発表した。この声明は、9月の国連総会で、賛同した世界各国のCEOの署名とともに発表され、国連事務総長へ提出されている。

 UNGCは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。

 今回の声明は、国連創立75周年およびUNGC発足20周年に際して、世界のビジネスリーダーが公平かつ包括的で持続可能な世界の実現のために、新たな国際協力の必要性を国境・セクター・世代を超えて表明することを目的としている。新たな国際協調の精神の下、社会に対するコミットメントと、各国政府への要請が盛り込まれており、同社は目指す方向性が合致していることから賛同した。

 2011年よりUNGCに参加。グローバル企業として質の高いCSR経営を実践するため、UNGCの十原則を自社の「行動規範」や「帝人グループ人権方針」に取り入れている。また、中期経営計画の中でも、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」という3つのソリューションで持続可能な社会の実現に貢献することを掲げ、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」になることを目指している。

帝人 オンライン展示会を開催、モビリティ関連を紹介

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2020年10月22日

 帝人は、10月1日より特設オンラインサイト(https://teijin-mobility.com/)を通じ、同社グループのモビリティに関するソリューションや新技術を幅広く紹介する展示会「TEIJIN MOBILITY ONLINE」を開催している。 

 この展示会は、人々のクリエイティビティを刺激してイノベーションを加速させる、「ニューノーマル」下の提案の場として開催。仮想ブースを設置し、180度ビューや360度ビューで閲覧することができる。

 主な出展内容として、①CASEを見据えたコンセプトカー「PU_PA(ピューパ)Ⅲ」、②欧州のスタートアップ企業AEV社のゼロエミッション「LSEV」(低速EV)コンセプトカー、③帝人グループの新技術を紹介する「NEW TECH ZONE」など。なお、アクセスは無料で、開催期限は設けていない。

TEIJIN MOBILITY ONLINE 2
TEIJIN MOBILITY ONLINE

帝人 モーリシャス沖重油流出事故、油吸着材を無償支援

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2020年10月20日

 帝人は19日、貨物船「わかしお」がインド洋のモーリシャス島沖で座礁したことにより流出した燃料油の除去作業を支援するため、高性能油吸着材「オルソーブ」500Kg(油吸着量約10t分)を、現地で環境回復に取り組む商船三井を通じて、モーリシャス政府へ寄贈することを決定したと発表した。

ブラ吸着剤「オルソーブ」
ブラ吸着剤「オルソーブ」

 なお同製品は、帝人グループで繊維素材および製品を製造・販売する帝人フロンティアが展開。素材はポリプロピレン繊維不織布で、自重の約20倍の油を吸着でき、ちぎれにくく、油のふき取り作業も可能となっている。

 帝人グループは、今回の海洋汚染からの回復へ貢献するとともに、今後も様々な環境問題に取り組んでいく考えだ。

帝人 航空機向けCFRTP、米コリンズ社の認定を取得

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2020年10月14日

 帝人は13日、炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、世界有数の航空機向け構造材メーカーである米国コリンズ・エアロスペース社の材料認定を取得したと発表した。今回認定を取得した炭素繊維中間材料は、熱可塑性複合材料織布「テナックスTPWF」と炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板「テナックスTPCL」で、帝人が展開する炭素繊維強化熱可塑性複合材料(CFRTP)。

テナックス TPWF
テナックス TPWF

 「テナックスTPWF」は、炭素繊維織物に熱可塑性樹脂を付着もしくは含侵させたシート状の材料で、「テナックスTPCL」は、「テナックスTPWF」を積層させ、熱と圧力をかけて成形した板状の部品となっている。いずれも母材である樹脂にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用しており、高い耐熱性、耐衝撃性、および耐疲労性をもっている。また、成形時間が短いことからコスト効率や生産性の向上にも貢献し、航空機の構造材など、優れた機械特性が求められる部品の大量生産に適している。

テナックス TPCL
テナックス TPCL

 帝人グループでは、これまでコリンズ社に対して、米国で炭素繊維事業を展開するテイジン・カーボン・アメリカが航空機のブレーキ材向けに耐炎繊維「パイロメックス」を供給。繊維サプライヤーとしては世界で唯一「サプライヤー・ゴールド」の認定を受けるなど、強固なビジネス関係を確立している。

 今回、「テナックスTPWF」と「テナックスTPCL」が新たに認定を取得したことにより、その供給を通じて、テイジン・カーボン・アメリカはさらなる関係強化を図っていく考えだ。

帝人イヌリンとグリコBifiX 短鎖脂肪酸を増強

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2020年10月9日

 帝人はこのほど、メタジェンの福田真嗣社長CEO(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授)監修の下に研究を行い、食物繊維「イヌリン」と江崎グリコの独自原料「ビフィズス菌BifiX」の組み合わせが、腸内細菌叢からの短鎖脂肪酸産生量を増加させ、大腸からの体調管理に重要な役割を果たすことを確認したと発表した。

 イヌリンはチコリの根から取れる100%植物由来の食物繊維。腸内で発酵する力が優れており、約90%が腸内細菌によって利用されるため、総ビフィズス菌数の増加に寄与するとの結果が得られている。

 一方、「ビフィズス菌BifiX」は江崎グリコが保有するビフィズス菌。〝生きて腸まで届き、おなかで増える〟特長をもっていることから、おなかを良好な状態に保ち、健康をサポートする。今回の研究では、「イヌリンとビフィズス菌BifiXを含むヨーグルト」と乳酸菌だけを含む一般的なヨーグルトを、それぞれ腸内環境を再現した装置に添加して培養し、腸内の短鎖脂肪酸の産生力を調査。その結果、「イヌリンとビフィズス菌BifiXを含むヨーグルト」が、一般的なヨーグルトに比べて短鎖脂肪酸を多く産生させることが明らかになった。これは、イヌリンが「ビフィズス菌BifiX」をサポートし、腸内細菌叢に作用したためと考えられる。

 帝人は、これからもイヌリンなどの食品素材の機能、食品加工上の機能について、科学的根拠を確認し、食品メーカーや消費者に向けて結果を報告していく。帝人のヘルスケア事業は、1人ひとりが生まれてから最後の日を迎えるまでの人生を支えることを目指し、今後も機能性食品素材事業で世界中の人々の「QOL」の向上に貢献していく方針だ。

 

帝人 人事(10月1日)

2020年10月6日

[帝人・人事](10月1日)▽マテリアル新事業部門電池部材事業部長松原寛▽出向テイジン・リエルソート・コリア代表理事武久慶太▽マテリアル新事業部門メンブレン事業部長川井泉介▽解兼樹脂事業本部開発・技術生産部門開発・技術生産統轄部長、同本部同部門長伊藤英和▽同本部同部門同統轄部長津坂待夫▽ヘルスケア戦略推進部門データソリューション事業開発部長増村成嗣。

帝人 組織改正(10月1日)

2020年10月5日

[帝人/組織改正](10月1日)【マテリアル新事業部門】▽「電池部材事業推進班」を分割・再編し、「電池部材事業部」「メンブレン事業部」を新設する。これに伴い「電池部材事業推進班」を廃止する▽「電池部材事業推進班」と「機能材料開発室」を分割・再編し、「電池部材事業部」の配下に「セパレータ販売課」「セパレータ開発課」を新設する。これに伴い「機能材料開発室」を廃止する▽「電子部材事業推進班」と「電子材料開発室」を分割・再編し、「メンブレン事業部」の配下に「ミライム販売課」「ミライム開発課」「ミライム工場」を新設する。これに伴い「電子材料開発室」を廃止する【ヘルスケア戦略推進部門】▽ヘルスケアグランドデザイン実現に向けた業容拡大を加速するにあたり、デジタルトランスフォーメーションにおける競争優位性の強化を目的として、ヘルスケア戦略推進部門直下に「データソリューション事業開発部」を新設する。

帝人 ビズジーンと提携、ウイルス濃縮デバイスを商業化

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2020年9月29日

 帝人は28日、ビズジーン(大阪府茨木市)との間で、各種ウイルスによる感染症を、早期に短時間で判定する迅速診断キットに用いるウイルス濃縮デバイスの商業化に向けて、帝人がビズジーンに出資し資本・業務提携を行うことで合意したと発表した。

ウイルス濃縮デバイスの試作品
ウイルス濃縮デバイスの試作品

 両社は、2018年よりデングウイルスをはじめ各種ウイルスを濃縮する技術の開発を進め、簡便な操作でウイルスを捕集し迅速に濃縮することができる技術を開発。高い孔径精度や厚み制御に強みがある、帝人の高機能メンブレン「ミライム」を濃縮膜として使用しており、設計を微細に変化させることで、様々なウイルスへの対応が期待されている。こうした中、同技術を使用した濃縮デバイスの商業化に向け、サプライチェーンの確立、量産体制の構築などを目的に資本・業務提携を行った。

 今回、商業化を目指すウイルス濃縮デバイスは、シリンジ(注射筒)の先端に取り付ける樹脂成型品の中にシート状の「ミライム」を内包。孔径や厚みなどの制御と表面処理技術により、ターゲットのウイルスを濃縮することを想定している。これにより、感染症診断に使用する検体中のウイルス濃度を高めることで、体内のウイルス量が少ない感染初期にも感染症判定が可能になると考えられ、重症化する前に治療に結びつけることができる。

 また、この濃縮技術とビズジーンの遺伝子診断キットを組み合わせることにより、従来の抗体・抗原を用いた迅速診断キットと同等の時間で、診断精度を向上させることも期待される。

 今後、両社は、今回の資本・業務提携を足掛かりに、臨床試験などを通じて技術優位性の確認や量産化の仕組みの構築を早期に行い、まずはデング熱診断用での商業化を目指す。また、新型コロナウイルスをはじめ世界的に流行している感染症への展開の可能性を検討し、適応範囲の拡大を図る。さらに、ウイルス濃色デバイスの展開のみならず、両社のもつサービス・技術・知見を融合させることにより、各種診断領域の連携範囲を拡大していく考えだ。

ウイルスが濃縮される仕組み
ウイルスが濃縮される仕組み