帝人は17日、同社グループで複合材料製品の生産・販売・技術開発を手がけるチェコのベネット・オートモーティブ社が、ミロヴィツェ工場に、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れる「GF-SMC(ガラス繊維シート・モールディング・コンパウンド)」の成形設備を新設すると発表した。投資金額は約1000万ユーロ(約10億円)で、2022年秋の稼働を予定している。
帝人は米国CSP社を買収したのをはじめ、ポルトガルのイナパル社、ベネット・オートモーティブ社を買収。自動車向け複合成形材料事業の拠点を構築し、グローバルティア1サプライヤーとして、自動車メーカーからの要求特性に対応すべく、環境負荷低減に向けた取り組みを進めてきた。
その間、CSP社のフランスの研究開発拠点にGF-SMC基材工場、イナパル社にはCF‐RTM(炭素繊維レジン・トランスファー・モールディング)の成形設備を新設するなど機能の充実を推進。また、ドイツにはテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパを設立し、次世代自動車に向けたマルチマテリアルでのソリューション提案力の強化を図っている。
こうした中、ベネット・オートモーティブ社は、ドイツなどの有力自動車メーカーが生産拠点を構える中東欧の中心部に位置するチェコに主要拠点を構え、炭素繊維複合材料(CFRP)の成形技術や自動車部品の塗装や組み立ての設備などにより、ティア1として自動車メーカーに部品を供給。今回のGF-SMC成形設備の新設は、欧州における自動車向け複合成形材料事業の拡大を図り、軽量性や強度をはじめ、デザイン、生産性、コスト効率向上といった顧客ニーズへの対応力強化を目指すもので、すでに欧米の自動車メーカーから新たな受注を獲得している。
帝人グループは、マルチマテリアルでのティア1サプライヤーとして、使用材料の拡充から部品設計にまで踏み込んだソリューション提案力の強化や、グローバルでの安定供給体制の確立を進めていく。そして、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。