帝人 中国社とセパレータの包括的ライセンス契約を締結

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2020年12月23日

 帝人は22日、中国・上海エナジー社との間で、LiBに使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 帝人は昨年11月、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結。帝人のコーティング技術と、上海エナジー社の基材生産能力、コスト競争力とを融合して生産するセパレータは、顧客から高い評価を得るなど市場ニーズの高さが確認されている。こうした状況を受けて帝人は、同社とのライセンス契約をさらに充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要に応えられると考え、今回の契約締結に至った。

 今回の契約で対象となるのは、フッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた、帝人保有の溶剤系セパレータ関連の特許。耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現できる。対象となる用途は、従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や、電力貯蔵システム用など。また、今回のライセンス契約とともに締結した開発受託契約により、帝人は、上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくことになる。

 帝人は今後、今回の契約締結を足掛かりに、EV、電子機器、電力貯蔵システムなどの用途に求められるLIBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指す。また、顧客が上海エナジー社に求める機能性や安全性を満たすためコーティング技術を提供し続けることで、溶剤系コーティングセパレータの市場においてシェア向上を図っていく。

東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

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2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。

 

 

帝人 EV用LIBセパレーターで上海社とライセンス契約

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2019年11月22日

 帝人は21日、中国・上海にある上海恩捷新材料科技(上海エナジー社)との間で、車載用リチウムイオン二次電池(LIB)に使用される溶剤系コーティングセパレーターの製造に関する技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 同技術ライセンス契約は、電気自動車(EV)向けLIBの高性能化や安全性向上を実現する、帝人独自のフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレーターの技術に関するもの。対象となるのはコーティングの組成や生産プロセスに関わる特許で、同契約締結により、上海エナジー社の基材生産能力やコスト競争力との融合を図る。

 LIBは、すでにスマートフォンやモバイルパソコンなどの電子機器向けに幅広く使用されているが、世界的な環境規制の強化を背景にEV化が加速する中、安全で長距離走行に耐え得るLIBの需要が急速に拡大している。帝人は独自技術により、ポリエチレン基材にメタ系アラミド「コーネックス」やフッ素系化合物をコーティングしたセパレーターを開発し、スマホなどの民生用のLIB向けに展開してきた。

 しかし、EV向けの展開には、生産能力の増強やコスト競争力の強化が課題となっていた。こうした中、帝人のもつセパレーター向けコーティング技術と、上海エナジー社がもつ世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力とを融合させることにより、市場でのプレゼンス向上を図れると判断し、今回の技術ライセンス契約締結に至った。

 帝人は今後、上海エナジー社と共同で顧客ニーズの探索を進め、EV向けLIBに求められる要求特性を満たすセパレーターの開発を重ねることにより、溶剤系コーティングセパレータの市場シェアを高めていく。また、高容量でバッテリー性能が高く、安全性も担保できるEV向けLIBの実現に寄与するセパレータの開発を進めるため、さらに両社提携の幅を広げていく考えだ。

 帝人は、将来のEVに求められる持久性と安全性を両立するセパレータを開発することにより、CO2排出量削減などの環境負荷低減に貢献し、長期ビジョン「未来の社会を支える会社」を目指すとともに 、SDGsの目標達成に貢献していく。