住友化学は2日、子会社のボストン・バイオメディカルが開発中の抗がん剤「ナパブカシン(一般名、開発コード:BBI608)」について、膵がんを対象としたフェーズ3試験を中止したと発表した。
ボストン・バイオメディカルは住友化学の子会社である、大日本住友製薬の米国子会社。独立データモニタリング委員会(DSMB)から米国時間の1日、同試験のあらかじめ定められた無益性基準への該当による、中止勧告を受領したのを受け、大日本住友製薬が同試験の中止を決定した。
DSMBによる勧告は、同試験の総イベントの50%発生時点における中間解析結果に基づいている。「ナパブカシン」による新たな安全性上の懸念は示されなかった。なお、「ナパブカシン」の結腸直腸がんを対象としたフェーズ3試験は進行中である。
「ナパブカシン」は、ボストン・バイオメディカルが創製し、抗がん剤として開発中の経口剤。がん細胞に発現する酵素NQO1により生体内活性化を受け、活性酸素種を産生することで、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子‐3)を含むがん幹細胞性や、がんの増悪に関わる経路を阻害し、最終的にはがん細胞を死に至らしめると期待されている。