富士フイルムはこのほど、米国で新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の臨床第Ⅱ相試験を開始すると発表した。
「アビガン」は、国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つ。
このようなメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。すでに3月末には、子会社である富士フイルム富山化学にてCOVID‐19患者を対象とした臨床試験を国内で開始した。
今回、同社は、COVID‐19の世界的な感染拡大が続き、ますます高まる治療法の開発ニーズに対応するために、米国でも臨床試験を実施する。同試験は、数十例のCOVID‐19患者を対象とした臨床第Ⅱ相試験で、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としている。
なお、試験は、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設での実施を予定している。
富士フイルムは、患者の救済を使命に、早期の治療法確立を図るとともに、国内外のパートナーとの連携による「アビガン」増産体制の整備を進めることで、1日も早い、COVID‐19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく。