富士フイルム 銀塩増幅反応で新型コロナ抗原を高感度で検出

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2021年8月24日

 富士フイルムはこのほど、ハンディタイプの新型コロナウイルス抗原検査キットを体外診断用医薬品として、富士フイルムメディカルを通じて発売を開始した。

 検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG(イムノ エージー)ハンディCOVID-19 Ag」は、写真の現像プロセスで使う銀塩増幅反応による高感度検出技術を応用した「銀増幅イムノクロマト法」によるもので、カートリッジに検体の抽出液を滴下すると10~13分で検査結果を目視確認することができ、専用の検査装置は不要だ。

 使用した抗体は横浜市立大学が開発したもので、従来のコロナウイルスやインフルエンザウイルスとは区別し、新型コロナウイルス抗原を高精度で検出。また変異の影響を受けにくいウイルス抗原部位を標的とした抗体であるため、アルファ株、ベータ株、ガンマ株などの変異株のウイルス抗原も高精度に検出できることを確認している。

 標識抗体は、この抗体に金コロイドを付けたもの。これと抗原が結合して抗原抗体複合体となり、それを検査キットの検出ラインに塗布した捕捉抗体が捕捉。そこに還元剤と銀イオンを共存させると、銀増幅反応により金コロイドの周囲でのみ銀イオンが還元して直径約6㎛の金属銀を形成する。目視検出能は約100倍に増幅され、ウイルス量が少ない場合でも検出が可能となる。同大学と共同で行った培養ウイルスや臨床検体を使った性能確認の結果、銀増幅を用いないイムノクロマト法と比べて高いウイルス検出能を示した。

 同製品の発売により、検査装置をもたない高齢者施設、企業、学校などでも新型コロナウイルスの検査を可能とし、さらなる検査体制の拡充と感染拡大の抑制に貢献できるとしている。