昭和電工は10日、昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)との統合により目指す「統合新会社の長期ビジョン」(2021~2030年)を策定したと発表した。昭和電工は、両社が早期に統合し将来に向けた成長の基盤を確立するため、長期ビジョンの検討を進めていた。
長期ビジョンでは、存在意義(パーパス)として、「化学の力で社会を変える」を掲げ、目指す姿「世界で戦える会社」「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」を実現させていく。川中(昭和電工)の素材技術と川下(昭和電工マテリアルズ)のアプリケーション技術、両社の評価・解析技術を融合し、ブレークスルーを実現する世界トップクラスの機能性化学メーカーとして、顧客にワンストップソリューションと新たな機能を提供し持続可能な社会全体へ貢献していく。
ポートフォリオは、コア成長事業(エレクトロニクス、モビリティ)、次世代事業(ライフサイエンス)、安定収益事業(カーボン、石油化学、デバイスソリューション、産業ガス、基礎化学品、アルミ圧延品、アルミ缶、コーティング、電子機能材、エネルギー)、基盤事業(セラミックス、機能性化学品、アルミ機能部材)の4つに集約。特に、基盤事業の幅広い技術・素材によって、各事業群の競争力強化と、将来の新たな有望市場への事業拡大につなげていく。長期数値目標では、指標としてTSR(株主総利回り)として25%水準を掲げ、2025年に、売上高1.6兆円、EBITDA3200億円、対売上EBITDA20%、ROE15%を挙げた。
一方、2023年までの短中期のシナジーも追求する。事業ポートフォリオ再編では2000億円規模の事業売却、また収益体質改善施策(2023年末で280億円削減)や資産のスリム化(2021年までに500億円改善)にも取り組む。今後のスケジュールでは、来年7月に実質統合、同年10月に本社統合、2023年1月に法人格統合を目指す。
統合新会社は、今後もグローバル競争の激化や市場構造の変化が予想される化学産業にあって、顧客企業に新たな機能・価値を提供し続け、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。