三井化学は9日、KOALA Tech(福岡市西区)との協働により、有機半導体レーザーデバイスの実用化に向けた有機色素の共同研究開発を開始したと発表した。
三井化学が培った有機色素の技術とKOALA社がもつ有機半導体レーザーダイオード(OSLD)技術という両社の知見を合わせることで、近赤外波長域での高効率なレーザー発振を可能にする革新的な有機色素の研究開発を共同で行い、スマートフォンやウェアラブル機器への実装・導入を目指す。
有機半導体レーザーは、無機半導体レーザーでは実現が困難だった「可視~近赤外域の任意の波長での発振」が可能になる。特に、近赤外波長域は、今後は生体認証や光学センサーなどの分野で新たな応用展開が期待されている。また、柔らかい有機材料を使うためフレキシブルデバイスへの利用にも適している。
KOALA社は、九州大学・最先端有機光エレクトロニクス研究センターで、世界に先駆けて実現されたOSLD技術の実用化を目的として設立されたスタートアップ。OSLDによる電流励起発振のための設計技術に強みがある。
一方、三井化学は、これまでにCD-R、DVD-R、有機ELなどの用途で有機色素開発と実用化の実績があり、これら一連の開発で培った分子設計と有機合成技術をベースに新たな有機色素の開発を目指している。