4つの切り口で提案、炭素繊維は補強材用途が現実的
━自動車業界の現状をどう見ますか。
われわれの見方では、自動車に求めるものには地域性があり、電動化が最初に進むのは中国だろうと見ています。軽量化は欧州と日本が積極的で、米国で軽量化の話をしてもピンとこないようです。米国では大きなピックアップトラックが人気で、一時に比べれば良くなったとはいえ、相変わらず燃費は良くありません。
それでは、米国で何に最も関心があるかと言えば、自動運転です。したがって、自動運転が先行して導入されるのは米国になるでしょう。都市と都市の空隙地帯を高速道路で走る際、「ここからここまでは自動運転可能」というような仕組みを作る上で、米国は極めて向いていると思います。
速度の自動設定のメカニズムも、米国で最初に採用されています。一方、それを日本で使おうとしても、すぐに前の車に追い付いて役に立ちません。このため、日本では車間距離を維持するようなシステムになっています。
━自動車材料への取り組みについて。
基本的には4つの切り口で提案しています。軽量化、電動化、安全性、快適性です。自動運転がどこまで進むか分かりませんが、ドライバーが運転から解放されると、室内の快適性に目が行くようになるだろうということで、快適性も挙げています。
ただ、今言ったように、国によって事情が異なりますので、それぞれに合わせた形で対応しています。例えば、中国には自動車関連部材の総合的なショールームである「オートモーティブセンター中国」があり、欧州ではドイツのミュンヘン近郊に「オートモーティブセンター欧州」を立ち上げましたが、それぞれ置いているものが異なります。中国ではどちらかと言えば電動車向けの部品類を多く、欧州は軽量化を中心にバランス良く展示しています。
当社は「素材には社会を変える力がある」と言っていますが、自動車材料に取り組むわれわれは