東ソーと東京大学大学院工学系研究科は29日、東ソーが開発した環境対応型ジルコニア新規粉末「Zgaia 1.5Y‐HT」に関する共同研究成果として発表した論文「Ultrahigh toughness zirconia ceramics」が、由緒ある米国の総合科学学術雑誌「PNAS」に掲載されたと発表した。同成果は、
東ソー 環境対応型ジルコニアの研究成果、米雑誌に掲載
2023年6月30日
2023年6月30日
2023年5月29日
2020年7月3日
東ソー、東京大学大学院工学系研究科、ファインセラミックスセンター(JFCC)、ワールドラボの4者はこのほど、東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置したと発表した。なお、設置期間は5年間(2020年7月1日~2025年6月末)で、費用は7億1800万円を見込んでいる。
最先端ナノ構造解析と新規焼結体開発を担う東京大学と、粉末開発製造を行う東ソーに加え、卓越したセラミックス計算材料科学技術を持つJFCC、高度なセラミックス組織制御技術を有するワールドラボとの協業により、従来のセラミックス素材の概念を覆す、ジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現と、その技術分野を支える人材育成を目指す。
ジルコニアは様々な分野で実用化されているが、その機能発現のメカニズムには未解明点が多く残されており、材料特性を決める因子を解明し、原子レベルから組織を制御することで飛躍的に機能が向上する可能性がある。この社会連携講座では、最先端の電子顕微鏡・計算材料科学・焼結技術を駆使してジルコニアの本質を理解し、その知識を応用して機能を極限にまで高める研究を行う。
具体的にはジルコニアの持つ強くてしなやかな力学特性、柔軟な加工性、固体でありながら酸素イオンを通すイオン伝導性、高い屈折率から生まれる高透光性の4つの特性を追求。これにより金属並みの力学特性と加工性、新たなクリーンエネルギーのための超高速イオン伝導性、新たな光学材料開発のための高透光性を実現させ、加えてそれらの機能を融合させることでジルコニアの新展開を狙う。同時に、高度な材料開発研究が推進できる有能な人材の育成・輩出により、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速し、持続可能型未来社会の実現に貢献していく考えだ。
東ソーは、世界で初めて高純度ジルコニア粉末を工業化し、各種構造部材、審美性に優れる歯科材料など様々な用途への利用を進めることで、ジルコニア市場形成進展に寄与してきた。また、東京大学と東ソーは、過去20年にも及ぶ共同研究を実施し、ジルコニアの本質である結晶相変態機構の解明、画期的な超高耐久性ジルコニア焼結体の開発など世界に先駆けて多くの成果を挙げている。
2019年7月16日
東ソーは12日、東京大学大学院工学系研究科と、同研究科に次世代の吸着・分離用途、環境浄化等の触媒用途での高機能ハイシリカゼオライトの創出と高効率合成プロセスの開発を目指す、「規則性多孔体の革新的合成プロセスの構築」社会連携講座を6月1日に設置したと発表した。期間は2022年5月31日までの3年間で、経費総額は6500万円を見込んでいる。
同研究科の大久保達也教授、脇原徹准教授の研究室は、ゼオライトを中心とする多孔体の先進的研究を国内外でリードしており、ゼオライトの結晶化機構解析、新規結晶化技法の開発などの分野で多数の研究成果を挙げている。
東ソーでは、長年にわたり工業用ゼオライトの技術開発に取り組んできた。さらなる事業機会の創出と事業拡大を図る上で、顧客ニーズに応え続けるためには、従来にない発想のもとで、材料設計の重要工程であるゼオライト結晶化技術を深化させることが必要となる。
今回設置した社会連携講座では、専任教員・専任研究員による集中研究を複数年にわたり実施し、緊密な産学連携体制のもと、省エネルギーや環境負荷低減へのキーマテリアルとなる高機能ハイシリカゼオライトの高効率合成手法の開発を推進する。
また、同研究で得られた成果を踏まえて、学部・大学院講義で、同分野の合成と応用の最先端分野を講義し、次世代を担う人材の育成を行う。
東ソーは合成ゼオライトメーカーとして、ユニークな機能性無機材料であるハイシリカゼオライトの潜在力を最大限に引き出し、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速することで、持続可能な社会の実現に貢献していく。