カーボンニュートラルな循環経済に取り組む、ブラジルのブラスケムはこのほど、消費者によって使用されたプラスチックをリサイクルした樹脂PCR(ポスト・コンシューマー・レジン)のポートフォリオを拡大すると発表した。廃プラスチックのマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを手掛ける同国のバロレン社(Valoren)と提携し、年間約2億5000万個の使用済み包装容器から1万4000tの高品質PCRを生産する設備を新設する。投資額は6700万ブラジルレアル(約14億円)。サンパウロ州内陸部のインダイアトゥーバに整備し、来年10~12月ごろの稼働開始を予定する。
同設備で処理される廃棄物は、主に家庭から排出されるポリエチレンやポリプロピレン製の食品、衛生用品、美容製品などの包装容器類。モジュール化された設備により、破砕・洗浄・均質化を行い、ペレット化する。色や素材の種類ごとに汚染物質を除去する光学選別機を備える高性能洗浄ライン、匂い除去モジュール、PCR品質を向上させる高性能ポリマーフィルターなど、最先端のドイツの技術などを導入していく。
環境意識の高まりから、使用済みプラの回収率が上昇する中、ブラスケムは「潜在的なアプリケーションを拡大するPCRの品質を向上させることが、PCR市場の発展を推進するカギ」との考えの下、同社の事業とバロレン社の廃棄物管理やリサイクル技術の開発に関する専門知識を組み合わせることで、プラスチックのバリューチェーン全体への貢献を図っていく。
ブラスケムは先月、持続可能性への取り組みとして、2050年までにグローバル事業でのカーボンニュートラルを目指すと発表。その中で、リサイクル製品の販売目標については、2025年までに年間30万t、2030年までに年間100万tを掲げている。