ダイセル 酢酸セルロース由来の生分解性材料を共同開発

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2020年8月27日

 ダイセルはこのほど、三和商会(福井県坂井市)と共同で生分解性バイオマスプラスチック「酢酸セルロース」をベースとした成型材料「NEQAS OCEAN」を開発した。従来の生分解性材料よりも優れた物性、成型性をもっており、食品容器や包装資材向けを中心に用途の開発を進めていく。

「NEQAS OCEAN」のペレット
「NEQAS OCEAN」のペレット

 「NEQAS OCEAN」は、耐熱性、耐溶出性、耐臭性などの特性を保有。射出、押出、シートの各成型に対応できるよう開発を進めており、食品容器や成型材料への使用を目指している。

 ダイセルの酢酸セルロースをベースに、三和商会のコンパウンド技術「SANTECH‐BIO」を採用して加工。樹脂中に様々なバイオマス素材を均一に分散させる同技術を利用することで、「NEQAS OCEAN」は酢酸セルロース100%のグレードのほか、酢酸セルロースにバイオマス由来の添加剤を組み合わせた複合材料の製造が可能になった。すでに販売を開始しているグレードに加え、今後は物性や成型性をさらに向上させ、「NEQAS OCEAN」の製品ラインアップを充実させる。

 近年、世界的に環境配慮意識が高まり、脱プラスチックや食品容器の再利用などの傾向が強まっている。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行を機に、衛生面に配慮し感染防止に努めるなどの理由から、使い捨て容器使用の見直しや、容器そのものへの衛生向上などが求められてきている。

  ただ、環境対応型プラスチックは、日本国外からの供給依存に加え、材料物性や成型加工性の不足などが課題。「NEQAS OCEAN」には、酢酸セルロースの特性と生分解性を生かして、これらの課題を解決することが期待される。

 両社は今後、アフターコロナ・ウィズコロナの時代に対応する環境対応型材料として市場への浸透を図るとともに、顧客の要望に応じて物性や成型性の開発をさらに進めていく考えだ。