昭和電工は31日、産業廃棄物処分業の許可を7月1日付で取得し、破砕成形された状態のプラスチック産業廃棄物の受け入れを開始したと発表した。
川崎事業所(神奈川県川崎市)では、2003年から容器包装リサイクル法に基づく使用済みプラスチック(容リプラ)を化学原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」を行っている。受け入れた容リプラは高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素(低炭素水素)とCO2へ転換。低炭素水素は主にアンモニアの原料に、CO2はドライアイスや炭酸飲料向けに使用している。
同社は、ガス化によるケミカルリサイクル(CR)としては世界で唯一、長期にわたる商業運転の実績をもつ。昨今の海洋プラスチック問題など、廃プラの高度リサイクルに対する社会的ニーズが高まる中、今回の許可取得により安定的に廃プラを確保することが可能となり、原料ソースが多様化され、同事業を安定継続する体制が整った。
日本で毎年排出される約900万tの廃プラのうち、再利用されるものは750万t(CR39万t、マテリアルリサイクル208t、エネルギー回収503万t)。未利用のまま焼却処分や埋め立て処分されるものが142万tある。CRは廃プラを原料に戻して再利用できるため、資源循環型社会実現のための重要な技術の1つとして注目されている。
同社は、経済産業省からエコタウンとして認定されている川崎市と、低炭素水素社会の実現に向けた連携・協力に関する協定を2015年に締結。使用済みプラスチック由来の低炭素水素を活用した環境負荷の低い水素社会の実現を目指している。これまで、低炭素水素を川崎市内のホテルに設置した燃料電池や、燃料電池車用の水素ステーションに供給する実証実験を行っている。
なお今回の取り組みは、環境省の「使用済みプラスチック由来低炭素水素を活用した地域循環型水素地産地消モデル実証事業」として受託・実施しているもの。
同社は、事業活動を通じたSDGs課題解決への貢献を目指し、資源循環型社会を支える事業を積極的に推進している。今後も様々な製品・サービスの提供を通じ、豊かさと持続性が調和する社会の創造に貢献していく考えだ。