NECは13日、AIを活用したプラント向けの異常予兆検知を行うシステムを、国内最大の原油処理能力を持つJXTGエネルギー水島製油所(岡山県倉敷市)=写真=のボイラー設備へ納入すると発表した。来月、稼働を開始する予定。
同システムはNECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「インバリアント分析技術」を用いて、ボイラー設備に設置した大量のセンサ情報の相関関係から「いつもと違う」状態を分析。これにより、ボイラー設備がトラブルに至る前にその予兆を検知できる。
両社は、同システムを用いて、同製油所のボイラー設備について過去の運転データを利用し実証を行った結果、これまでの閾値設定や傾向分析による監視システムに比べ約1週間早く異常の予兆を検知できた。
現在、製油所、化学工場などのプラントは、より安全性の高いプラント運営が求められている。そのため、保安四法などにより指定された法定点検に加えて、異常の早期発見、予兆管理に資する高度な点検技術の開発、導入が進められている。
同システムは、ボイラーの運転を監視/制御している温度・圧力・流量・バルブ開度、水位など、約500カ所のセンーサデータを収集し、異なるセンサー同士の関係性を自動的に発見。関係性をいつもの状態として解析・定義し、関係性に変化が起きた際に「いつもと違う」状態としてアラームを出すことができる。
これにより、人手で行うことのできなかった設備異常の予兆を早期に自動検知できるようになる。また、「いつもと違う」状態により異常の予兆を検知した場合、その影響範囲の絞り込みや原因の切り分けができるため、これまで多大な時間を要していた原因分析の時間短縮や作業負担の軽減、保全計画の最適化が期待されている。