旭硝子財団は8日、第29回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査結果を発表した。同財団は、1992年より、毎年、世界の環境有識者を対象に環境アンケート調査を実施。環境アンケートを通じて環境有識者のみならず、より多くの人々に環境への関心をもってもらい、地球環境問題の解決に貢献することを目指している。今年は世界205カ国に調査票を送付し、137カ国、1813人から回答を得た。
調査結果の要点として、人類存続の危機に対する認識では、環境危機時計が示す世界全体の平均環境危機時刻は9時47分だった。調査以来最も針が進んだ一昨年と同時刻となり、昨年から一分針が進んでいる。
日本の環境危機時刻の平均は9時46分と昨年に比べ7分進み、世界平均とほぼ同時刻を示している。また危機意識が最も高いのは、10時台を示す北米(10時33分)とオセアニア(10時20分)。逆に最も低いのは唯18時台に留まるアフリカ(8時34分)で、その差はほぼ2時間も開いている。
環境危機時刻を世代別に見ると、「60代以上」の危機意識が9時55分と最も高いが、2012年以降は、全世代が「極めて不安」の時間帯を示している。危機時刻を決める上で念頭に置く項目は2011年以来一貫して「気候変動」が30%と最多数を占めるが、環境に対する危機感を時刻から見ると、「生物圏保全性(生物多様性)」が9時57分と最も高かった。
一方、環境問題への取り組みに対する改善の兆しは見られるかという設問に対し、項目として最も多く選ばれたのは「気候変動」(28%)で、「ライフスタイル」(14%)と「社会、経済と環境、政策、施策」(14%)が並んだ。また、脱炭素社会への転換については、取り組みに少し改善の兆しはあるが、「政策・法制度」や「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の面は「一般の人々の意識」ほど進んでいないという結果となった。
なお、調査結果は財団ウェブサイト(https://www.af-info.or.jp)で閲覧できる。