三井化学は、今月31日~来月2日に石川県金沢市で開催される「第31回日本臨床微生物学会総会・学術集会」に、敗血症向けの研究用試薬キットなどを出展するほか、周辺の試薬など独自のユニークな技術や製品を紹介する。
同社は富山大学とともに、敗血症の原因菌を迅速に同定する新たな検査法(Tm mapping法)の製品化に着手しており、今回は、研究用試薬として「細菌迅速同定用PCR試薬キット」「細菌DNA抽出キット」「Yeast-made Taq Polymeraseキット」を展示する。
近年、がん治療や臓器移植などの医療の高度化に伴い、重篤な感染症のリスクが増えている。入院患者の主な死因は敗血症などの重篤な全身感染症であり、敗血症による死亡率は非常に高く、重篤な感染症患者を救命するためには、患者体内の感染症の起炎菌を迅速に検出・同定することが求められている。
現在行われている血液培養検査は必ずしも完全ではなく、また、培養後に行う一般的な生化学的性状検査法では、検体提出から起炎菌の同定まで通常2~3日を要する。結果が判明するまでの間は経験に基づく治療を施行せざるを得ず、同定結果のないままに抗菌薬の選択を余儀なくされており、その結果、多剤耐性菌の出現や、抗菌薬の選択ミスにより重篤患者が致死的となる危険性など、感染症早期の治療では未だ重大なリスクを抱えているのが現状だ。
これらの問題解決のため、同社は富山大学が開発したTm mapping法の実用化に向けた共同研究に取り組んでいる。この検査法は、血液培養を行わず、採血から5時間程度で未知の起炎菌を同定する新たな遺伝子検査法であり、感染症早期に同定結果に基づいた適切な抗菌薬選択が可能となる。
なお、三井化学の展示は、石川県立音楽堂の企業出展会場で行われる(ブース番号:13)。同総会・学術集会は金沢市内にあるホテル日航金沢、金沢市アートホールの他の2カ所でも同時開催され、最終日の来月2日には、「新型コロナウイルス」に関する緊急企画として、国立感染症研究所感染症疫学センターの島田智恵氏らによる講演などが予定されている(石川県立音楽堂・邦楽ホール)。