JXTGホールディングスはこのほど、「第54回JXTG児童文化賞」と「第49回JXTG音楽賞」の受賞者を決定した。児童文化賞は児童文学作家の那須正幹氏、音楽賞の邦楽部門は能楽師、観世流シテ方の観世清和氏、洋楽部門の本賞は指揮者の尾高忠明氏、奨励賞にはオーボエ奏者の吉井瑞穂氏が選ばれた。
那須氏は1972年に作家デビューして以来、全50巻で累計2500万部を超える驚異的な発行部数を記録した「ズッコケ三人組」シリーズをはじめ、220余点の児童文学作品を通して、多くの子どもたちに読書の面白さを伝えてきた。
観世氏は観阿弥・世阿弥の流れを汲む観世流の26世家元。国内外での公演のほか、観世家に伝わる能面・能装束・伝書の保管を目的に「観世文庫」を設立し、インターネット上でも公開している。2017年には観世能楽堂を銀座に移転するという大事業を成功させた。
尾高氏は内外の優れたオーケストラの首席指揮者や音楽監督として充実した業績を重ね、昨年大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に着任。初年度に、真の実力が問われるベートーヴェンの交響曲全曲に、敢えて既存のスタイルで挑戦し、作品の真価は演奏スタイルを超えたところにあることを、円熟・果敢な解釈で示した。
吉井氏は。欧州の名門、マーラー・チェンバー・オーケストラで長年首席奏者を務めた。生活拠点を故郷・鎌倉に移してから、その成果を、ソロ・室内楽の活動を通して日本に還元するため力を注いでいる。とりわけ、自ら設立した音楽祭「レゾナンス鎌倉の響き」では、舞踊芸術ほか異分野との協働も交えて、寺院や学校など、地域の様々な生活圏に出向くという斬新な試みを継続している。
表彰式は11月15日にパレスホテル東京(東京都千代田区)で開催し、正賞としてトロフィー、副賞として賞金200万円を贈呈する。