東ソーは28日、血中に存在する異常細胞を検出し、がん関連遺伝子の変異を解析する技術を確立し、解析結果の研究活用を目的とする研究機関や製薬企業向けの細胞解析受託事業を、6月から東ソー分析センターで開始したと発表した。
同社は、解析受託事業に関し、①血液検体を安定的に保存する技術(搬送中に血液検体が劣化することを防止)②血中細胞の大多数を占める赤血球と白血球を分離する技術③誘電泳動を利用して微細加工チップ上に細胞を整列・固定する技術④抗CD45抗体、抗CK(サイトケラチン)抗体とDAPI(核染色試薬)を用いて異常細胞を検出する技術⑤細胞の大きさなどを判定しCK陰性細胞からCK陰性異常細胞を検出する画像技術、といったバイオ関連技術を確立。
これらの解析技術を用いた、ヒト肺腺がん細胞株を添加したモデル検体による解析試験では、添加がん細胞の80%以上を異常細胞として検出した。
また、がん関連遺伝子の変異解析では、市販の遺伝子解析パネルを活用し、回収した異常細胞について50種類のがん関連遺伝子の変異の有無が解析できる。
さらに今回の解析受託事業では、CK陽性異常細胞に加え、CK陰性異常細胞も検出可能であり、CK陽性/陰性異常細胞数とがん転移の関連といった研究の進展に貢献するものと見込んでいる。
同社では、多様な細胞や分子を分離・検出する技術の確立を進めており、技術検証が終了でき次第、研究機関や製薬企業向けの細胞等解析受託事業を順次展開していく。
また、特定疾患の検出に有用なマーカー分子の探索や非侵襲、低侵襲性の検出技術の研究開発を加速し、診断・ヘルスケア分野での応用展開を通して人々の健康的な生活の実現に貢献していく。