富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大するため、バイオ医薬品の製剤ビジネスに本格参入する。
バイオ医薬品のCDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)の米国テキサス拠点にバイオ医薬品の製剤製造ラインを新設し、2021年初めに稼働させる予定。原薬から製剤までの開発・製造受託をワンストップで対応できる体制を構築することで、さらなる事業成長を図っていく。
同社は、バイオ医薬品の原薬を対象に、生産プロセス開発から治験薬製造、さらには医薬品の商業生産まで対応する開発・製造受託ビジネスをグローバルに展開し、事業拡大を進めてきた。
さらなる事業成長を図るため、今月から2年間で総額約100億円の設備投資を行うことを決め、その第1弾として、米国ノースカロライナ拠点で、バイオ医薬品の原薬の生産能力向上に向けた設備増強を進めている。
今回、第2弾として、製剤ビジネスに本格参入するため、FDBの米国テキサス拠点に、アイソレータと無菌充填機が一体となった最新鋭の全自動型無菌充填システムを導入する。また、製剤の処方設計などを行う開発体制も併せて構築する。
これまでに、テキサス拠点では、培養タンクを最大12基まで導入できるcGMP対応の生産棟を建設。抗体医薬品の原薬生産のためのシングルユース仕様の2000ℓ動物細胞培養タンクを順次導入し、治験薬製造、医薬品の商業生産までの一連のワークフローを一体的・効率的に進めることができる「Saturn mAb(サターンマブ)プラットフォーム」を活用した受託サービスに注力している。
今回の製剤製造ライン新設により、同一拠点内で製造した原薬を製剤化でき、幅広い顧客ニーズにスピーディーに応えるとともに、バイオ医薬品の原薬から製剤までの開発・製造受託をワンストップで対応できる強みを生かし、同サービスのさらなる推進を図っていく。
バイオ医薬品の製造には、非常に高度な生産技術と設備が必要とされるため、優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが世界的に急増しており、バイオ医薬品の開発・製造受託市場は年率8%以上の成長が見込まれている。
同社は、積極的な設備投資や高効率・高生産性の技術開発など成長戦略を進め、2023年度にはバイオCDMO事業で1000億円の売上を目指すとともに、高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく。