農研機構は5日、島根大学、日鉄ケミカル&マテリアル、オリエンタル白石と共同で、軽量かつ高引張の炭素繊維シートを水路トンネル内側の覆工コンクリートに接着することにより、老朽化した水路トンネルを補強する工法を開発したと発表した。同工法は、建設資材の搬入に手間がかかり、大規模な対策工事が難しい山間部に位置する小規模断面の水路トンネルの新たな長寿命化対策として有効となる。
山間部に建設された農業用水を
2022年10月6日
2019年9月2日
NEDO・ジオシステム・角藤は、農研機構・東北大学・金沢大学と共同で、農業用水や温泉水などの流水がもつ再生可能エネルギー熱の利用に特化した、樹脂製投げ込み式熱交換ユニットを開発した。
投げ込み式熱交換器とは、流水や水槽類の中に設置し、液体の温度を加熱または冷却させる装置。今回対象とした流水は、さまざまな異物やスケールを生じる化学成分が含まれる可能性が高いため、腐食に強く、メンテナンスが容易な樹脂製投げ込み式熱交換器の使用が適している。
しかし、従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は、熱交換性能が低いことなどから投資対効果が合わないことが多く、利用可能な流水の条件が限られ、熱利用が進んでいない状況だった。
今回開発した熱交換ユニットは、水を強制攪拌するためのエアレーション機構を搭載し、既存の樹脂製投げ込み式熱交換器と比べ、熱交換性能を約6倍に高めた。また、多数細管構造の熱交換器を採用し、既存の樹脂製熱交換器と比較して、循環水の圧力損失を約10分の1に抑え、流水からの安価な熱回収を実現した。
開発では、ジオシステムが樹脂製投げ込み式熱交換ユニットの設計・試作・性能評価、角藤が性能・機能要件整理、農研機構が平板型樹脂製投げ込み式熱交換器の基本性能計測と設置方法の開発、東北大学がエアレーション機構の熱・流動解析など、金沢大学が平板型樹脂製投げ込み式熱交換器の数値シミュレーションなどの技術開発の役割を担った。
この熱交換ユニットは、今後、ジオシステムが「G‐HEX」の製品名で販売を開始する予定。これにより、今まで十分に活用できていなかった流水熱源からの高効率な熱利用が可能となり、再生可能エネルギー熱利用の普及拡大が期待できる。