《化学企業トップ年頭所感》帝人 鈴木純社長CEO

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2022年1月11日

 3月末をもってCEOを退任し、4月から会長職に就く。2014年の就任以来、大きな構造改革、中長期ビジョンの達成に向けて邁進し、比較的安定した業績を上げられる企業体質への転換はだいぶ進んできた。一方、私たちが目指す新たなビジネスによる収益性の高い成長を成し遂げるにはもう少し時間を要する。次の中期経営計画を策定し始める今こそ、新CEOの舵取りの下、長期ビジョン「未来の社会を支える会社」の実現に向けて新たな歩みを始めよう。私も最後まで皆さんと共に全力を尽くしていく。

 2020年から始まった現中計も最終年度を迎える。足元では新型コロナウイルスの新たな変異株が出現し、再び懸念が高まっているが、大きな流れとしては当たり前のようにウイルスと共存する社会に移り変わっていくだろう。帝人グループが関係する社会や各産業も、感染症の影響でかつての姿から変容しつつ、新たな環境に適した形で活気を取り戻していくと予想される。中計の各施策は、社会や各産業から求められる機会が一層多くなると思われるため、確実にチャンスをつかんでいきたい。

 マテリアル事業は、その多くが将来の環境貢献につながるものだ。環境やサーキュラーエコノミーへの取り組みと事業の発展は、同じスコープの中で議論し、進めていく体制ができつつあり、それこそが当社マテリアル事業のあるべき姿だと信じている。

 ヘルスケア事業は、引き続き包括的なヘルスケアビジネスの確立を目指していく。先行例のないビジネスであり、新たなチャレンジが必要となるが、自らが新しいヘルスケア事業の第一人者になる意気込みで施策を進めていきたい。また、再生医療事業や医薬品受託製造事業も今年から本格的な稼働が期待されており、グループ全体として、総合的なヘルスケアの価値提供を進めていく大きな道筋は見えてきている。

 中計目標「成長基盤の確立」は、2025年や2030年の社会が求めるものを提供できる体制づくりだ。これを具現化するためにも、イノベーションにつながる将来ビジネスとそれを支える既存ビジネスを共にしっかりと回し、「未来の社会を支える会社」に向かって、新たな気持ちで歩み出してもらいたい。