帝人ファーマはこのほど、静注用人免疫グロブリン製剤「献血ベニロン‐I」の静注用500㎎・1000㎎・2500㎎・5000㎎について、厚生労働省から「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善」の効能・効果の追加承認を取得した。
「献血ベニロン‐I」は、帝人ファーマとKMバイオロジクスが共同で開発した完全分子型静注用人免疫グロブリン製剤で、これまでに「低又は無ガンマグロブリン血症」など6つの効能・効果で承認を取得している。日本国内で実施した第Ⅲ相試験の結果に基づき昨年9月に承認申請を行い、製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎は、2カ月以上にわたり徐々に進行する末梢神経の炎症性疾患。主な症状としては、手や足の筋力が低下する運動障害や歩行障害、手のしびれ、触った感覚が鈍くなる感覚障害が挙げられ、その他、疲れやすさや手足の震えなどの症状が現れるケースもある。
発症の明確な原因は不明だが、末梢神経に対する免疫異常により、神経線維を覆う膜構造(ミエリン)が破壊されることで、様々な症状につながると考えられている。2014年度の国内の患者数(医療受給者証保持者数)は4633人で、発症頻度は男性が女性の約1.5倍とされている。
治療法としては、副腎皮質ステロイド療法や血漿浄化療法、免疫グロブリン療法が第1選択となっている。免疫グロブリン療法は免疫システムの異常を調節するとされており、今回の追加承認取得により、同療法で使うことができる免疫グロブリン製剤の選択肢が増えることになる。