JSRは1日、第5世代移動通信システム(5G)用の低誘電率、低誘電正接絶縁材料を開発し、販売を開始したと発表した。
5Gで利用される高周波数領域では、信号の伝送損失を抑える低誘電率、低誘電正接のプリント基板材料が求められている。同社は独自の合成技術を駆使して、低誘電率、低誘電正接を特長とした高周波プリ ント基板向け絶縁材料を開発した。
同材料はスマートフォンなどで用いられるフレキシブル銅張積層板(FCCL)のベースフィルムと、低粗化銅箔への高い密着力を持ち、高温多湿下での使用でも優れた電気特性を維持する。銅箔は伝送損失低減のために表面の平滑性が求められる一方、絶縁膜との十分な密着性確保のためには表面にある程度の粗さも求められる。
従来、表面積を広げ、立体構造によるアンカー効果を持つ粗化処理(表面を粗くする処理)をしないと、十分な密着力が得られない場合もあったが、同社の材料は低粗化(比較的粗くない)銅箔でも高い密着力を示す。
また、同材料は熱硬化性材料で硬化前の流動性が高く、高周波プリント基板配線の埋め込み性に優れ、一般的な設備が使用できる200℃以下の加工が可能だ。プリント基板の上下の配線層の接続に必要な穴空け加工性や、めっきとの密着性にも優れている。
5Gは現状と比較して100倍の伝送速度、1000倍の大容量化を実現する、携帯電話などに使用される通信技術。2020年に国内での運用開始が予定されており、ニーズも高まってくることが予想される。
なお、17~19日にかけて東京ビッグサイト青海展示棟で開催される5G/IoT通信展で、同材料を使ったLow Loss TPE(Thermosetting Polyether)FCCLを湖北奥馬電子科技と共同出展する。