AGCはこのほど、完全子会社であるAGCグラス・ヨーロッパとT-Mobile(チェコ)が、AGCのモバイルネットワーク用ガラスアンテナ「WAVEATTOCH」の通信テストを実施したと発表した。今回の試験は、日本で開発した窓を基地局化するガラスアンテナが欧州で使われた初めての事例となる。
欧州地域のネットワーク構築は、特に人口密度の高い地域で大きな課題となっている。外壁にアンテナを設置する従来の方法は時間とコストがかかるだけでなく、歴史的な都市部の文化遺産の景観保護の観点から設置が困難だ。そこでT-Mobileは、景観を保ちながら来るべき5G通信などのネットワーク構築を可能にする「WAVEATTOCH」の試験をプラハにある本社の窓で実施し、良好な結果を得た。試験に提供したガラスアンテナは、T-Mobileが使用する1.8GHzと2.1GHzの周波数帯に対応した試作品。
AGCは、既存窓の室内側表面に貼り付けることで屋外をサービスエリア化することができるガラスアンテナ「WAVEATTOCH」を2018年にNTTドコモと共同開発し、翌2019年から販売を開始した。また、昨年には5G周波数に対応する製品の開発も完了している。同社グループは今後、新たな価値をプラスした製品を提供するため技術革新を進めていく考えだ。