昭和電工 球状アルミナのAI画像解析システムを開発

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2020年2月14日

画像解析システムによる解析画面
画像解析システムによる解析画面

 昭和電工はこのほど、BLUE TAGと共同で、AIを用いた球状アルミナの画像解析システムを開発したと発表した。4月から生産ラインでの活用を開始する。

 球状アルミナは原料を熔融し、表面張力を利用して球状にした直径数㎛~70㎛サイズの粒子。流動性や充填性に優れていることから、電子部品の放熱シートなどの充填材やブラスト材などに使用されている。

 生産工程では、運転員が光学顕微鏡画像で球状不良の有無を目視判定し、その結果を前工程にフィードバックすることで生産条件を調整しているが、球状不良の形状は種類が多く、粒子状態の判定は運転員の経験に基づく判断で行っていた。さらに、粒子状態を定量的に把握することが難しく、生産性向上・品質安定化検討に活用できていなかった。

 こうした中、昭和電工は、従来型の画像解析ソフトでは困難であった熟練運転員の経験知を可視化し、数値化したデータを迅速に生産工程へフィードバックして品質安定化につなげることを目的に、AIによる画像解析システムを開発した。

 今回の開発では、熟練運転員の判断を教師データとする過程でBLUE TAGの持つミクロ画像処理の高い技術を応用。同システムの導入テストでは約20秒で熟練運転員と同等レベルの判定ができており、充分な判定能力を備えていることを確認した。

 また、同システムは再学習に向けたデータ構築機能を併せ持つため、生産ラインでの運用を通じてさらに判定精度の向上が可能だ。昭和電工の球状アルミナは、形状が均一で品質が安定していることを特長としているが、同システムを活用することで、品質・生産性のさらなる向上を目指す。

 同社グループは中期経営計画〝The TOP 2021〟の中で、「AI/IoTの強化」を進めている。同社は今後も、生産現場でのAI/IoT活用を推進して熟練技能者の持つ技術や経験知を可視化、定量化して継承し、安全・安定操業、事業競争力強化を図っていく考えだ。