帝人 AMEDとフレイル創薬の委託研究開発契約を締結

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2019年5月15日

 帝人は14日、フレイル創薬に関し、日本医療研究開発機構(AMED)と委託研究開発契約を締結し、産官学連携の研究開発を本格的に開始したと発表した。AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に申請していた「フレイルの予防薬・治療薬の研究開発」が、昨年10月に採択されたことを受けたもの。

 対象となる〝フレイル〟は、2014年に日本老年医学会が提唱した「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す概念で、要介護状態に至る前段階として位置づけられている。

 健康長寿社会の実現に向けて、積極的な介入が必要と考えられている一方で、現状では有効性の確立した医療用医薬品が存在していない。同社では世界初となるフレイルの予防薬・治療薬の開発に取り組んでいく考えだ。

 今後は、CiCLEの支援のもと、大阪大学大学院、東京大学、神戸医療産業都市推進機構、国立循環器病研究センター、オリエンタル酵母工業、島津製作所、Meiji Seikaファルマ、帝人ファーマと共同で、革新的な創薬開発を進めていく。

 日本は高齢化率が25%を超える超高齢社会を迎えており、2023年には2000万人以上が75歳以上の後期高齢者になると推定されている。また、健康寿命は平均寿命に比べて男性で約9年、女性で約12年も短く、その対策が課題となっている。

三井化学 敗血症の原因菌を同定する新検査法事業化へ

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2018年9月26日

 三井化学はこのほど、富山大学と共同で行う敗血症に対する新検査法(Tm mapping法)が、日本医療研究開発機構(AMED)の「産学連携医療イノベーション創出プログラム・基本スキーム」(ACT‐M)の今年度の課題に採択されたと発表した。

 同プログラムは、アカデミア発の技術シーズを実用化プロセスに乗せるため、AMEDが産学連携による研究開発を支援する制度。三井化学などは、敗血症の原因菌を迅速に同定する新規な遺伝子検査法の製品化に向け、共同研究を行っている。

 今回採択されたのは「感染菌迅速同定・定量検査創出を目指す研究」。同テーマは代表機関を富山大学大学院医学薬学研究部、課題リーダーを同大学院の仁井見英樹准教授、共同提案機関をニプロ、北里大学、埼玉県立小児医療センターとし、三井化学は共同研究開発企業として開発に携わる。実施予定期間は、18日~2021年3月31日。

 敗血症とは、血液中に細菌が感染する全身感染症のこと。近年、がん治療や臓器移植などの医療の高度化に伴い、重篤な感染症のリスクが増えている。実際、入院患者の主な死因は敗血症などの重篤な全身感染症であり、敗血症による死亡率は非常に高い。重篤な感染症患者を救命するためには、患者体内の感染症の起炎菌を迅速に検出・同定することが臨床上重要となっている。

 現在行われている血液培養検査は必ずしも完全ではなく、また、培養後に行う一般的な生化学的性状検査法では、検体提出から起炎菌の同定まで通常2~3日を要する。結果が判明するまでの間は、同定結果の無いままに抗菌薬の選択を余儀なくされており、その結果、多剤耐性菌の出現や、抗菌薬の選択ミスにより重篤患者が致死的となる危険性など、感染症早期の治療では未だ重大なリスクを抱えている。

 こうした問題解決のため、三井化学は富山大学が開発したTm mapping法の実用化に向けた共同研究に取り組んでいる。同検査法は、血液培養を行わず、採血から5時間程度で未知の起炎菌を同定する新たな遺伝子検査法であり、感染症早期に同定結果に基づいた適切な抗菌薬選択が可能になる。

 同社は同定のための検査キットを研究用試薬として提供開始しており、最終的な体外診断用医薬品としての上市を目指し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前相談を含めて開発を進めている。