アジア石油化学工業会議(APIC2019)が16日に開幕し、初日は、IHS Markit、ICIS、Tecnon OrbiChem、S&P Global Plattsによるケミカルマーケティングセミナーが行われた。
IHS Markitは、BRAD WIGlEシニアバイスプレジデントをモデレータに、4つのテーマで各担当者がプレゼンを行った。
「2019年のエネルギー期待値および化学産業に対するIMO規制の意味」では、原油市場において、米国の原油輸出やIMO規制導入、自動車のEV化などのインパクトについて説明。地政学リスクやエネルギー転換が、精製やナフサ価格、ナフサ供給に強く影響するとの指摘がなされた。
「世界化学工業の現状」では、地政学リスクの高まりなど2019年の収益は鈍化するが、中期的な見通しは業界にとって良好なままとの見通しが示された。
「プラ廃棄物の危機」では、循環型経済が出現するにつれ、プラスチックの需要は幅広く多機能化し、リサイクル供給の増加が予想されるとした。ただ、プラ廃棄物問題は石油化学需要増加を脅かす可能性を示した。
「エネルギーから化学への技術開発」では、リファイナリーが化学製品まで手掛ける「COTC(原油から化学)」について、Hengli Petrochemicalやサウジアラムコなどの事例について詳細に紹介した。
続いて、ICISは3つのテーマについてプレゼン。「Demand Challenges and Opportunities」では、プラリサイクルの構築は、新たな製造プロセスを余儀なくさせる、との指摘があった。一方、中国では、EC(電子商取引)の普及により、PEなどのパッケージングは大きな可能性があるとの見方が示された。
「スチームクラッカーとアロマの機会と挑戦」では、世界で大規模な新増設の計画について各地域の詳細が示された。米国の輸出能力は増加したが、アジアでは自給自足を目指しており、競争が激しくなっていると指摘した。
「原料展望」では、脱炭素の動きで天然ガス需要が増加し、石化原料にエタンを利用する動きが出ている。ただ、新素材が将来のニーズに確実に応えるためには、精製会社と石油化学会社は「順応性」が必要であるとの見方を示した。
午後からは、Tecnon OrbiChemが、「破壊的で持続可能な解決策」をテーマに、Plattsが「アジア石油化学製品の持続可能なフットプリント」をテーマに、プレゼンを行った。
17日の総合会議では、オープニングセレモニーとして、PIAT(台湾石油化学協会)会長のウェルカムアドレス、運営委員会メンバー各協会(台湾、日本、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール、インド)代表によるオープニングアドレスが行われる。
続いて、「持続可能で責任ある石油化学産業に向けた協働」をテーマに円翔詩博士(持続可能な循環型経済発展協会会長・中原大学教授)による基調講演、およびパネルディスカッションが行われ、午後からは製品別の分科会が開かれる。