帝人は2日、豪州Applied EV(AEV社)と共同で、自動運転への対応が可能な多目的プラットフォーム「Blanc Robot(ブランク・ロボット)」を開発したと発表した。
近未来のモビリティ像として「CASE」や「MaaS」が示される中、エネルギー効率を総合的に評価するための世界共通の概念として「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)が掲げられるなど、過去に類を見ない大きな変革期が自動車社会に訪れようとしている。
こうした中、両社は、近未来の社会が求めるゼロ・エミッション・ビークルを実現し、多岐にわたる用途で活用に資する技術基盤を構築するため、2019年より共同開発をスタート。今回開発した「ブランク・ロボット」は、AEV社が培ってきたセンシング、コネクテッド(通信)などに関する最先端技術を、最適なレベルで組み込み、コンパクトに集約した多目的LS-EV(低速EV)向けのプラットフォームになる。
トップカバーには、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を手掛けるCSP社のGF-SMCを使用しており、これまでのアルミ製トップカバーに比べ、約20%程度の軽量かつ約4㎡の広面積を実現した。CSP社独自のGF-SMC成形技術を活用したトップカバーは、金属では成形が困難な薄肉かつ複雑な形状を約3分で一体成形しており、これにより容易にシール性を確保できるため、限られたスペースに内蔵した自動走行に必要な機能を水や熱から保護できるほか、耐火性、寸法安定性、耐腐食性にも優れている。「ブランク・ロボット」は、バッテリー、モーター、ブレーキや、走行を管理する電子制御ユニットなどの機能が内蔵されており、用途に合わせた車体を搭載した自動走行を可能にした。
両社は、2022年後半にも「ブランク・ロボット」を使用したEVの実用化を目指す。運送・工業・医療・一般交通など幅広い用途での活用を想定し、「ブランク・ロボット」や車体設計、走行技術の向上を図っていく。