JFEスチール 樹脂・スチール複合のエネルギー吸収構造を開発

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2021年3月24日

 JFEスチールとイイダ産業は、自動車のエネルギー吸収部品用の超高強度鋼板/樹脂マルチマテリアル構造を開発した。

 自動車の車体には高い衝突安全性能と軽量化の両立が求められ、構造骨格部品への超高強度鋼板(引張強度980M㎩以上)の使用が増加しているが、センターピラーやルーフサイドレールなど衝突時の変形抑制が必要なキャビン構成部品に限られている。衝突エネルギーを部品変形によって吸収する必要のあるフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーでは、超高強度鋼板は衝突時の部品座屈や曲げ変形で部品母材が破断し必要なエネルギー吸収が得られず、高強度薄肉化による軽量化は困難だった。

 今回、エネルギー吸収部品に適用するため、イイダ産業開発の高延性・高密着性樹脂を超高強度鋼板製の部品本体と薄肉鋼板製部品でサンドイッチした構造を開発。車両衝突時の座屈・曲げ変形のRが大幅に拡大し、超高強度鋼板部品は破断せずエネルギー吸収性能が大幅に向上した。同重量の場合、引張強度590M㎩・厚み2mmの部品に比べ、引張強度1470M㎩・厚み1.4mmのマルチマテリアル化部品のエネルギー吸収性能は53%高い。エネルギー吸収性能が同等の場合、25%の軽量化が可能だ。今後は電気自動車も視野に入れ、自動車メーカーとの共同開発を加速する。

 電気自動車はエンジンを搭載せず、衝突時に変形してエネルギーを吸収するフロントエンドやリアエンドが短くなるため、効果的にエネルギーを吸収する必要がある。またエンジンの振動が無くなり走行による振動が目立つが、樹脂が走行時の振動を吸収するため、高い衝突安全性能と軽量化の両立に加え快適な乗り心地を提供できる。同社は高強度鋼板の開発・製造だけでなく、工程の省力化や商品の性能向上のために、自動車の設計段階から技術的に協力し合うEVI活動を展開している。樹脂などの軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造をはじめ、ニーズに合った様々な製品と利用技術を開発・提案し、自動車車体の軽量化によるCO2排出量削減と高性能化に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

JFEなど メタネーション技術で船舶のゼロエミ目指す

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2020年7月29日

 JFEスチールはこのほど、メタネーション技術による船舶のゼロ・エミッション燃料を目指す業界横断の取り組み「CCR研究会船舶カーボンリサイクル ワーキンググループ(WG)」に、エックス都市研究所、サノヤス造船、ジャパンマリンユナイテッド、商船三井、日揮グローバル、日本海事協会、日本製鉄、日立造船の計9社が参加し第1回会合を開催したと発表した。

 気候変動の影響が顕在化する中、脱炭素社会への道筋の1つとして、CO2を回収・再利用するカーボンリサイクルが注目を集める。メタネーション技術によりCO2と水素から合成したメタンを、船舶用ゼロ・エミッション燃料へ活用する目的で、同WGを昨年8月にCCR(炭素回収再利用)研究会に設置した。日本の輸出入の99.6%を担う海上輸送からの温室効果ガス排出(エミッション)をゼロにし、持続可能な社会の実現を目指す。

 国内の製鉄所から排出されたCO2を分離・回収・液化した後、再生可能エネルギー由来水素の供給地へ海上輸送し、その後メタネーションでメタンを合成、液化して舶用燃料とする、カーボンリサイクルのサプライチェーンを想定。CO2排出量を概算し、技術的課題を洗い出し、ロードマップの策定を行う。得られた知見は業界内外に公開する。

 JFEスチールは製鉄プロセスのCO2排出量削減、排出CO2の分離・回収の技術開発に取り組んできた。原材料と製品の輸送のほとんどを船舶運搬に頼る鉄鋼業にとって、CO2排出量削減の意義は大きい。同社は、CO2排出量削減を通じて地球環境保護に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。