JSRは1日、統計数理研究所(統数研)と共同研究部門「JSR‐ISMスマートケミストリーラボ」を10月から設置すると発表した。データ駆動型材料研究を促進する基盤技術を共同で開発し、機能化学品の分野を対象に新規材料開発の飛躍的な効率化を目指す。
両者は、2017年から現在に至るまで、マテリアルズインフォマティクス(MI)の技術開発と実証研究を推進。今回の共同研究部門の設置により、両者の協力体制のさらなる強化を図る。共同研究部門には、統数研ものづくりデータ科学研究センターの研究者四人を含む統数研の研究員5人が参画(現在も博士研究員を募集)。
一方、JSRからは、MI、計算・理論化学、高分子化学・有機化学を専門とする3人の研究者が同事業に参画する。 また、JSRは参画者を統数研に滞在させて、統数研の人材育成プログラムやOJTを活用してデータサイエンス人材の育成を図る。
実験結果の観察により理論を構築し、測定や計算によって検証し材料設計を行うという旧来の材料開発手法とは異なり、共同研究部門では多次元にわたる材料空間の新しい可視化や表現手法の開発、高速な計算化学手法を用いたデータ蓄積による性能予測モデルの適用範囲の拡大、理論的な洞察に基づいた新しい物性記述子の開発など化学とデータ科学を融合させたアルゴリズムを開発しソフトウェアとして実装する。これらの研究成果により高機能高分子や感光性材料などの機能化学品の開発効率が飛躍的に向上することが期待される。
共同研究部門は、産業的課題の解決を図りながら、同時に産学の価値共創の下でサイエンスの基礎研究を推進する。研究成果を積極的に社会に還元し、データ駆動型材料研究の学術的発展に貢献していく。