丸紅はこのほど、パーム油の製造工程で発生するパーム油廃液(POME)から、微細藻類(藻)を利用し、代替タンパクとDHA(ドコサヘキサエン酸)を抽出するノウハウをもつシンガポール・MoBiol社と資本提携、並びに戦略的パートナシップに係る契約を締結したと発表した。
両社は、藻由来の代替タンパクおよびDHAの飼料原料としての販売可能性・テストマーケティングを含む事業化に向けた実証実験を実施することにより、POMEの処理過程で発生する温室効果ガスの排出と、水産養殖業の養殖用飼料としての天然資源依存という2つの社会課題の解決に向け、双方のリソースを活用し取り組んでいく。
POMEの処理過程で大量に発生するメタンガス(CH4)は、CO2の約25倍程度の温室効果があり、パーム産業界にとってPOME処理方法の環境負荷低減は大きな課題。また、世界的な水産物需要の増加に伴うアジア各地での水産養殖業の増加により、天然魚由来の魚粉・魚油が養殖用飼料として大量消費されており、世界中で魚粉やDHAを含んだ魚油などの代替原料が、現在開発途上の段階にある。
これらの社会課題に対してMoBiol社は、独自の藻を使用し、従来POMEの処理過程で発生していたCH4を生じさせることなくPOMEを分解することができるソリューションを保有。同技術をパーム産業界に提供するのみならず、当該藻は、枯渇が懸念される良質なタンパクやDHAとなり得るため、SDGsが目指す持続可能な循環型社会の実現に寄与すると考えている。
このような取り組みが評価され、MoBiol社はインドネシア政府から環境課題のソリューション提供企業として強い期待を受けている。丸紅は今後も、MoBiol社のような社会課題に向き合い先進的な取り組みをしているスタートアップとの連携を加速させ、穀物原料供給から食品製品販売のサプライチェーン各段階で、持続可能な社会の実現に貢献できるビジネスを構築していく。