東洋紡は22日、環境負荷に配慮した包装用PETフィルム「東洋紡エステルGS」を開発し、製品化すると発表した。重金属フリーで環境にやさしいアルミニウム系触媒を使い、製造したPET樹脂を主原料にする。ラインアップは12μmと16μmの 2種類。主な用途は食品をはじめ、薬剤、サニタリー、産業資材といった非食品の包装材を想定。今月中旬からサンプル出荷を始め、今秋から本格的に量産を開始する。
東洋紡エステルGSの主原料となるPET樹脂の製造には、同社が2002年に独自開発したアルミニウム系触媒「TOYOBO GS Catalyst」を使用している。同触媒は、一般的なPET樹脂の重合反応に用いられるアンチモンなどの重金属を含んでいないため、製造したPET樹脂は、廃棄の際などの環境への負荷低減につながる。
また、優れた熱安定性により、樹脂を溶融した際の物性劣化が起こりにくく、リサイクル・再利用に適するという特長を持つ。
同触媒を使用して製造したPET樹脂は、これまでにも飲料用ペットボトルや太陽電池用バックシートフィルム「シャインビーム」などに使用されているが、包装用PETフィルム製品として使用されるのは業界初となる。
環境意識がますます高まる中、同社は今後も、同触媒を使用したフィルム製品の販売比率を上げ、PETフィルム製品の環境への負荷低減やリサイクルの促進に貢献していく。
なお、同アルミニウム系触媒は、同社がデュポン社から製造受託している生分解性樹脂「APEXA」の製造にも使用されている。また2017年には、PET樹脂製造最大手のインドラマベンチャーズと、同触媒を使用した重合技術や特許に関するライセンス契約を締結している。