ダイセルは8日、銀ナノインク「Picosil」による低温プロセス(120℃)での超細線描画に、2種類の描画方法で成功したと発表した。
銀ナノインクは数十㎚の銀粒子を含有する、配線/電極を形成する導電インク。粒子径の小ささから、線幅の細い配線形成の可能性がプリンテッドエレクトロニクスの分野で期待されている。特に、銀ナノインクによる5㎛以下の超細線描画は、高温プロセスを必要とするインクを使用する方法によってのみ可能とされてきたが、低温プロセスで使用できる「Picosil」によって、樹脂フィルムなどへの描画が可能となった。
今回、成功した描画方法は、①SIJテクノロジ社の静電力のインクジェット印刷装置「Super Inkjet Printer」を使った線幅1.5㎛の描画、②体積変化する圧電素子(ピエゾタイプ)のインクジェット装置による線幅30㎛以下の描画、の2種類。タッチパネルや有機ELの電極で使用される透明導電層では、現在の性能より抵抗を低くすることが求められている。今回の超細線描画により、線幅1.5㎛という人間が認識できないレベルの配線を付与することができることから、透明性を保ったまま、透明導電層のより低抵抗化を可能とする。また、透明ヒーターの熱線への活用など「Picosil」のさらなる用途拡大につなげていく。