昭和電工は15日、子会社の昭和電工パッケージングと共同で、市場が拡大する電気自動車(EV)などに搭載されるリチウムイオン電池(LIB)向けの次世代冷却器を開発したと発表した。
近年、環境負荷に対する意識の高まりなどによりEVの販売台数が伸長。EVに使われるLIBは大容量で発熱量も大きいため、効率的な放熱が求められる。現在、EVに搭載される角型LIB用の冷却器には、アルミニウム製の押出材や板材などを溶接あるいはろう付けしたものが用いられている。こうした冷却器は、接合するために600℃以上の加工温度が必要だが、今回発表した冷却器はアルミ箔と樹脂から成るラミネートシートを構造材として用いることで、ヒートシール法により200℃程度の低温での接合が可能となる。
さらにラミネートシートの材料構成や寸法の変更が容易で精密なプレス加工性にも優れているため、製品形状・寸法の自由度が飛躍的に向上する。同開発品に用いたラミネートシートは昭和電工パッケージングでパウチ型LIB包材として製造・販売しているアルミラミネートフィルム[SPALF]を応用したもの。高い絶縁性を有し、成形性・耐食性が優れる特長をもつ。
昭和電工の長年にわたるアルミ冷却器・熱交換器事業で培った冷却器の技術と「SPALF」のラミネート技術を融合させることで、同開発が実現した。今後はEV用やESS(定置型蓄電システム)用の電池の冷却部材として開発を加速し、2020年度中にサンプル出荷を開始する予定。
同社は、今年スタートした中期経営計画「The TOP 2021」において、グループ戦略の柱の一つとして事業間連携を掲げ、保有する幅広い製品や技術を生かした開発に取り組んでいる。今後も顧客の求める最適なソリューション提供に向けて活動を強化していく。
なお、同製品は東京ビッグサイトで開催される「第48回インターネプコンジャパン」(16~18日)で紹介される。