大阪府立大 NEDO事業で電力系統安定化技術に着手

,

2019年7月23日

 大阪府立大学はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発」に採択されたと発表した。期間は2019~2021年度の3年間。

 研究を行うのは、工学研究科電気情報システム工学分野の石亀篤司教授、高山聡志講師(電力システム研究グループ)らのチーム。今回の採択により、発電量が変動しやすい再生可能エネルギーの導入を促進する、次世代の電力系統安定化に必要な基盤技術の開発に着手する。

 今回のプロジェクトのポイントは、石亀教授や高山講師らが現在の電力システムに加え、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーなど、新たな電力供給システムに関する基礎・応用研究を進める研究者であること。国が目指す再生可能エネルギーの主力電源化に向け、電力系統安定化に必要な基盤技術の開発を他の4研究機関と担う。

 具体的には、再生可能エネルギーを大量に導入した際に懸念される、系統制約の諸課題を克服する研究・開発を行う。これにより、経済産業省「エネルギー基本計画」が掲げる「2030年の再生可能エネルギー比率22~24%」の達成に貢献する。

 人工知能を形成する手法の1つである強化学習を使い、他のPCS(パワーコンディショナー)と協調しながら、電圧・潮流制御を実施する制御方式を開発する。

 強化学習は数値化された報酬信号を最大にするため何をすべきかを、環境から得られた状態情報により学習することで、適切な行動選択を行う手法。試行錯誤を通じた学習を行うことで、不確実性のある場合や設計すべきパラメーターが多い場合、優れた解を得られる可能性が高いことが報告されている。

 今回の事業で対象とする配電系統の電圧・潮流制御についても、太陽光発電の普及や需要家行動の変化に伴い不確実性が高くなりつつあること、広範囲にわたって普及しているシステムであるため、一意にパラメーター設計が難しいことを考慮すると、将来の系統安定化対策としては非常に重要な技術であるという。

住友商事グループ 電力取引プラットフォーム構築・運営の米社に出資

, ,

2019年7月23日

 住友商事グループ(住友商事・米州住友商事会社)はこのほど、ブロックチェーン技術を用いたP2Pによる電力取引プラットフォームを構築・運営する米国LO3 Energy社に出資参画したと発表した。

 電力業界では、近年の再生可能エネルギーと蓄電池の急速な普及拡大に伴い、クリーン電力を地域で効率的に利用する分散型エネルギーの社会が訪れるといわれている。

 すでに先進国を中心に、太陽光発電システムを中心とした分散型電源の導入が家庭や企業で急速に進んでおり、分散型電源を所有するプロシューマー(発電された電力を自家消費し、余剰電力を他者へ売る生産消費者)が余剰電力を柔軟に取引できるプラットフォームへのニーズは、今後ますます増加することが期待されている。

 LO3 Energy社はブロックチェーン技術を電力取引へ応用することで、P2P電力取引プラットフォームを世界に先駆けて構築。LO3 Energy社が提供するスマートメーターとモバイルアプリケーションを通じて、個人間で電力の売買をリアルタイムで実施することが可能となり、電力消費者の電力調達の最適化を実現する。

 また、LO3 Energy社は、世界初のP2P電力取引の事例となったブルックリン・マイクログリッド開設以降、現在も米州、欧州、豪州などの先進国を中心に複数の実証プロジェクトを計画・実施している。

 住友商事は昨年10月に、インフラ事業部門・電力インフラ事業本部傘下に「Team New Frontier」を立ち上げ、電力ビジネスの新領域開拓に注力。今回の参画は同チームの活動として、アフリカでソーラーホームシステム事業を手掛けるM‐KOPA社への出資に続く第2弾として実施する。

 住友商事グループは、世界中で取り組んできた電力ビジネスの知見・ノウハウと、グローバルでの強固なネットワーク・プレゼンスを生かしLO3 Energy社のさらなる成長を後押しする。また、LO3 Energy社とともに環境負荷の低い分散型電源の普及を促進することで、クリーンな循環型地域社会の実現に貢献していく。

東レ ESG投資の2つの代表的指数の構成銘柄に選定

, , ,

2019年7月23日

 東レはこのほど、世界の代表的なESG(環境、社会、ガバナンス)投資指数である、「FTSE4Good Index Series」と「FTSE Blossom Japan Index Series」の構成銘柄に選定された。両投資指数は、英ロンドン証券取引所グループに所属するFTSE Russellが開発した指数で、ESGについて優れた取り組みを行っている企業が選定される。

 今回、「FTSE Blossom Japan Index Series」に選定されたことにより、世界最大規模の資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、ESGの取り組みに基づいた投資を行うために採用している4つの指数すべてに同社が選定された。

 東レグループはCSRの推進を経営の最優先課題の1つとして位置づけ、事業を通じた社会的課題解決への貢献や、安全・防災・環境保全、企業倫理と法令遵守などの取り組みを推進。同時に、東レは企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、持続可能な社会の実現に向けて、積極的な役割を果たして取り組みを深化させるとともに、情報開示を推進していく考えだ。

帝人 豪スタートアップと低速EV開発を推進

, ,

2019年7月22日

 帝人はこのほど、省エネや超高齢化社会に対応するLSEV(低速電気自動車)に特化したオーストラリアのスタートアップ企業・AEVロボティクス社(ビクトリア州)と、LSEVの軽量化に向けた共同開発を実施することで合意したと発表した。

ガラス部分にグレージング技術を適用したAEV社コンセプトカー
ガラス部分にグレージング技術を適用したAEV社コンセプトカー

 両社は、今後約2年間をめどに、要素技術の開発・確立を進めていく。AEV社は、エネルギー効率の高いEVを実現する基盤技術やノウハウと、シンプルかつ軽量なシャーシ、サスペンション、ステアリングなどを開発するエンジニアリング力があり、大手自動車メーカーにはない、自由な発想と工法でLSEVに特化した開発を進めている。

 帝人は、これらを自社の軽量化ソリューションと組み合わせることで、LSEVの開発スピードを加速させ、将来のEVに求められる技術基盤を獲得・整備するため、共同開発の実施を決めた。

 具体的には、ポリカーボネート樹脂・炭素繊維・アラミド繊維といった高機能素材や、グループ会社の米CSP社をはじめとする複合化技術を駆使し、軽量化と強度の最適化に向け、素材から設計に至るまでの技術開発を進めていく。また、軽量化と断熱性の最適化を図る熱マネジメントのノウハウや、EVの仕様に合わせた吸音性の快適性などについても、実車ベースで技術開発を行う。

 加えて、工学院大学のソーラーカープロジェクトへの素材提供や車体設計・製作支援といったサポートを通じて得たノウハウや、AEV社のコンセプトカーと、そこに生かされた技術・ノウハウなどを活用することで、将来の環境対応車に求められるデファクトスタンダードデザインの確立を目指す。

 一方、AEV社は、交通手段としてのみならず、医療・運送・工業など幅広い分野での高効率EVプラットフォームや自動運転技術の開発を進めており、これらも生かして高効率LSEVの開発を推進していく。

 帝人は今回の共同開発により、将来のEVに求められる設計・素材選定を含むデザイン力を獲得し、長期ビジョン「未来の社会を支える会社」の達成に向け、モビリティ分野でのソリューション提案力を強化していく。

ダイセル 人事(8月1日)

2019年7月22日

[ダイセル・人事](8月1日)▽知的財産センター知的財産戦略グループ主任部員兼同センター知的財産ソリューショングループ主任部員矢追正尚▽研究開発本部コーポレート研究センター特別技術職兼新事業開発室オプトセンシンググループ主幹部員北村和也。

BASF アジア太平洋地域プレジデントにリヒター氏

, ,

2019年7月22日

 BASFは7月1日付で、カローラ・リヒター前ドイツ本社エコノミック・エバリュエーション・シニアバイスプレジデントが、アジア太平洋地域プレジデント(東・南アジア、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド担当)に就任したと発表した。

 ランクマー・ダルヴァ前プレジデントは、ベルギー・ワーテルローで、グローバルモノマー事業本部の責任者となった。

 リヒター・プレジデントは1973年ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学で物理学と数学の博士号を取得し、2003年に経営コンサルタントとしてBASFに入社した。

 その後、香港とドイツでグローバル・マーケティング&テクノロジーのシニアバイスプレジデント、グローバル・ビジネス・マネジメント・衛生用品のバイスプレジデントなどを務めていた。

東亞合成 高岡工場にラボ新設、接着剤の開発を強化

, ,

2019年7月22日

 東亞合成はこのほど、高岡工場に「高岡創造ラボ」の建設を決定したと発表した。床面積は約4220㎡。9月に着工し、来年秋に竣工する予定。

7.22付 東亞合成・高岡創造ラボの外観イメージ 本文中用
高岡創造ラボの外観イメージ

 同社グループは「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」との企業理念の下、技術と高付加価値製品で存在感のある化学企業を目指している。

 今回、高岡工場に高岡創造ラボを設置することで、より顧客に近い形で、多岐にわたる接着剤製品の開発機能の強化とスピードアップを図る。

 施設内には、製品の展示コーナーや見学ホールを設け、製品利用者や地域社会の人たちに、より開かれた、親しまれるラボにしていく。

 高岡工場は1918年に設立された北海曹達の伏木工場で、カセイソーダをはじめとした電解製品の生産を開始し、44年に東亞合成化学工業・高岡工場(現東亞合成・高岡工場)に改称した。

 その後、産業構造の変化に伴い、2003年に電解製品の生産を終了したが、12年には関東地区にあった工業用途の接着剤工場を移設。1963年から開始した瞬間接着剤「アロンアルフア」の生産と合わせ、瞬間接着剤から工業用の機能性接着剤にまでわたる、接着剤製品の製造機能を集約した。

 加えて、新たな事業分野である植物工場への取り組みを行うなど、高付加価値製品の製造や新事業創造を担う重要な拠点となっている。

SEMI 今年の世界半導体製造装置市場は18%減と予測

,

2019年7月22日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMIはこのほど、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「SEMICON West 2019」で、今年年央の半導体製造装置市場予測を発表した。

 今年(暦年)の半導体製造装置(新品)販売額は527億ドルとなり、過去最高の645億ドルを記録した昨年からは18.4%の減少となる。ただ、来年は反転し、11.6%成長の583億ドルに拡大する見込み。

 この最新予測には、地政学的リスクなどから発生している足元の設備投資の下方修正や、不確実性の増大を反映している。

 今年の装置カテゴリー別予測では、ウェーハプロセス処理装置市場が19.1%減の422億ドル、その他の前工程装置(ファブ設備装置、ウェーハ製造装置、マスク/レチクル製造装置)が4.2%増の26億ドル、組み立ておよびパッケージング装置が22.6%減の31億ドル、テスト装置が16.4%減の47億ドルを見込む。

 地域別では、台湾が今年21.1%成長の123億ドルとなり、世界最大の装置市場となる見通し。中国(117億ドル)は昨年に引き続き2年連続で世界第2位、韓国(92億ドル)は設備投資の抑制により第3位へと順位を落とすと見られる。

 成長率では、台湾と北米(成長率8.4%:63億ドル)は前年よりプラスだが、それ以外の地域市場はマイナスとなる見通しだ。

 一方、来年の装置市場は、中国の旺盛なメモリ投資新規プロジェクトにより回復すると予測され、上位3カ国については、1位に中国(145億ドル)が浮上し、2位に韓国(117億ドル)、3位に台湾(115億ドル)となり、日本の装置販売額は46.4%増の90億ドルとなる見通しだ。

 2020年にマクロ経済が改善し、貿易の緊張が緩和されれば、さらに上振れする可能性もある。

旭化成建材 熱中症意識調査、住宅内で10人に1人が発症

,

2019年7月22日

 旭化成建材は「住宅の温熱性能と居住者の意識(熱中症に関する意識)」調査の結果を発表した。

 同社の快適空間研究所では、できるだけ冷暖房設備にたよらない「あたたかい空間」での心と体と懐があたたかくなるいきいきとした暮らしを「あたたかい暮らし」と定め、その空間の普及のために情報発信、啓発活動を継続。その活動の一環である「あたたかい暮らし研究会」では、首都大学東京建築学域須永研究室と共同で、「住宅の温熱性能と居住者の意識」について調査を実施した。

 今回、昨年8月に行った住宅内での熱中症に関する調査結果が判明した。近年、地球温暖化や都市のヒートアイランド現象の影響により、熱中症が急増し社会問題化。特に、昨夏は記録的な猛暑(1946年の統計開始以降で最高)となり、熱中症による全国の救急搬送者数(5~9月)は過去最多の9万人以上だった。

 また、熱中症の発生場所別に見ると、住居が3万8836人(40.3%)と最も多く、住宅内での熱中症対策は喫緊の課題。同研究会が行った調査では、住宅内で熱中症(疑いも含めて)になったと回答した人は10人に1人、住宅内で熱中症になった場所は、「寝室」が1位、次いで「居間・食堂」、高齢の人ほど熱中症に対する意識が低い傾向、などが分かった。

 熱中症を予防するために「空調設備や扇風機を上手に使うこと。高齢者は、暑さに対する感覚・調節機能が低下し、体内の水分が不足しがちになるため、熱中症にかかりやすく、特に注意が必要であるということ。室内に温湿度計を置いてこまめにチェックすること」などの対策が、環境省などにより幅広く周知されている。今回の調査からも、多くの人が住宅内での熱中症に対する意識が低く、熱中症になりやすいとされる高齢者ほど意識と実態が乖離していた。

 そのため、同社は「暑くないから大丈夫だと過信せず、こまめに温湿度を確認する必要があることや、誰もが手軽に行える対策として室内に温湿度計を置くこと」などを、高齢者を中心に、幅広く伝える活動を実施する予定。また、温熱性能が高い住まいの新たな生活価値として、就寝時の環境が快適で熱中症のリスクが低いことが分かったことから、引き続き、住まいの温熱性能と居住者の生活価値に焦点をあてて調査研究を深掘りしていく。

 併せて、住宅の高断熱化を促進するため、「温熱性能の高い住まい」での「あたたかい暮らし」の価値を多くの人に理解・共感してもらえるよう、幅広く情報発信をしていく考えだ。

東レ ハンガリーにセパレータフィルム生産設備を新設

, ,

2019年7月22日

 東レはこのほど、ハンガリーのニェルゲシュウイファル市に、リチウムイオン二次電池(LIB)用バッテリーセパレータフィルム(BSF)生産設備の新設を決定した。新生産設備は昨年4月に設立した東レハンガリーに設置し、これにより東レグループ全体のBSF生産能力は年産約20%の増強となる。稼働開始は2021年7月を予定。

 現在、同社のBSF関連生産設備は、日本の那須工場のほか、韓国にも二拠点がある。TBSK社ではBSFの開発・製造・販売を行い、TBCK社ではコーティング加工を行っている。両拠点では、2017年に発表したそれぞれの増産設備を昨年度から順次稼働させている。

 BSFの世界需要は、携帯型電子機器、定置用蓄電池など民生用途の堅調な拡大に加え、今後は電気自動車(EV)の普及拡大による車載用途での急激な拡大が見込まれている。特に欧州では、環境問題への意識の高まりから、EVなど環境対応車の普及は急速に進むと見られており、電池メーカー各社の進出も活発だ。

 同社の海外事業展開は、地産地消を基本戦略としており、顧客の立地に合わせて生産拠点を設置することで、需要増への対応を確実に行うとともに、同地域での経済発展にも貢献していく考え。

 フィルム事業では、現在進めている中期経営課題〝プロジェクト AP‐G 2019〟の基本方針を「成長分野での高付加価値品拡販とグローバル拠点のフル活用による事業拡大」と設定し、BSF事業の拡大を最大の課題と位置付けている。

企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、環境負荷の低減に貢献するLIBの主要部材であるBSFの需要拡大に積極的に対応することで、あわせて世界シェアナンバーワンのBSFメーカーを目指していく。