昭和電工 中国のトヨタHV向け、発電モーター封止材を供給

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2019年8月6日

 昭和電工は5日、トヨタ自動車が中国国内販売を開始した「トヨタカローラ ハイブリッド」「トヨタレビン ハイブリッド」の発電モーターの封止材用として、グループ会社上海昭和高分子(SSHP)で生産する熱硬化性成形材料(バルクモールディングコンパウンド:BMC)の出荷を開始したと発表した。

 同社のBMCは、高熱伝導性、高絶縁性、耐熱性、高流動性、寸法安定性、耐薬品性という特長を持ち、「プリウス」などのハイブリッド車(HV)発電モーター封止材用に使用されている。

 今回、トヨタ社の中国市場向けHV2車種のモデルチェンジにあたり、電動車パワートレーンを現地開発および現地生産とする方針に応じて、SSHPでBMCを生産し、トヨタ自動車(常熟)部品有限会社に供給を開始した。

 SSHPでのHV用BMCの生産は2010年の操業開始以来初めとなるが、中国の環境規制強化による市場拡大が期待される。

 大気汚染防止、温室効果ガスの排出抑制のため、自動車の低燃費化や排出ガス削減のニーズが世界的に高まり、エコカーに対する消費者の関心も高まっている。

 中国では、2019年から自動車メーカーに一定数の「新エネルギー車(NEV)」の生産を義務づけるNEV規制を施行して、環境保護の取り組みを強化。HVを低燃費車とみなして普及を図り、環境対策を加速する動きがあり、HV市場の拡大が見込まれている。同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)としている。

 中期経営計画「The TOP 2021」において、BMCを含む機能性化学品事業は、「変わる」に位置付けている。社会や市場の変化を予測し、社会的価値の高い製品やサービスを提供することを通じて事業を拡大し、個性派事業への成長を目指す。

 

住友化学 トルコのPPコンパウンドメーカーを買収

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2019年8月6日

 住友化学は5日、ポリプロピレン(PP)コンパウンド事業のグローバル展開をさらに推進するため、子会社の住化ポリマーコンパウンドヨーロッパを通じて、トルコの樹脂コンパウンドメーカーであるEmas Plastikとその関連会社を買収し、グループ会社化したと発表した。

 PPコンパウンドは、PPに合成ゴムやガラス繊維、無機フィラーなどを混練し耐衝撃性や剛性などを向上させた高性能な材料で、自動車のバンパーや内装材、家電製品の筐体などに使用されている。

 トルコは欧州への輸出拠点として多くの企業が自動車や白物家電の生産拠点を構えており、PPコンパウンドの需要は、引き続き堅調な拡大が見込まれる。

 Emasグループは、PPコンパウンドにおいて、トルコ国内で最大級の生産能力を有し、廃プラスチックの調達に強みをもっており、それらをリサイクル材料として用いたPPコンパウンドで、国内トップの販売量を誇る。

 住友化学は、今回の買収により、トルコ国内の自動車および家電メーカーへの生産・販売体制の強化に加え、環境意識の高い欧州でのリサイクル材料を使った製品の需要増加に対応していく考えだ。

 同社は、PPコンパウンドのグローバルな生産・販売体制の拡充を通じて、顧客のニーズによりスピーディーに対応し、事業のさらなる拡大を進めていく。

協和キリン 12月期中間決算(1日)

2019年8月5日

[協和キリン/12月期中間決算](1日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益151,416(12.7%)、コア営業利益32,157(13.4%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益48,063(40.2%)。

昭和電工 各省庁から「革新的データ産業活用計画」認定取得

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2019年8月5日

 昭和電工は、7月18日に情報プラットフォーム構築計画について、生産性向上特別措置法に基づく「革新的データ産業活用計画」の認定を受けた。

 「革新的データ産業活用計画」は、生産性向上特別措置法第22条の規定に基づき、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により労働生産性・投資利益率の観点で生産性を向上させる投資計画を総務大臣および経済産業大臣が認定する制度。

 認定を受けた計画に基づく設備投資は、税額控除や特別償却の税制支援を受けることができる。同社は、SAP SE社製の統合基幹業務システム「SAP S/4HANA」を導入し、グローバルに展開する拠点の販売、会計、購買に関する情報を一元管理できるグローバル経営の情報プラットフォームを構築することを計画。

 今回、「SAP S/4HANA」で一元管理するデータを、新規構築する販売ターゲットシステムおよび損益シミュレーションシステムへ連携して分析する計画が、将来を起点に先手を取って、効果的な施策を打つプロアクティブな経営を実現するものと評価され、「革新的データ産業活用計画」と認定された。

 昭和電工は中期経営計画「The TOP 2021」において、「CUSTOMER Experienceの最大化」を経営戦略とし、それを支える事業基盤強化のひとつとして「AI/IoT活用」を掲げている。情報プラットフォームの整備・活用により、グループ経営の一層の効率化、製品とサービスが融合した優れたソリューションの提供を目指していく。

東洋紡 OPV用発電材料開発で仏政府機関と共同研究

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2019年8月5日

 東洋紡は、次世代の太陽電池として注目を集める、有機薄膜太陽電池(OPV)用発電材料の開発を加速する。今回、同材料について、フランス政府機関の原子力・代替エネルギー庁(CEA)との共同研究を開始した。

 OPVは、シリコンなどの無機物を材料とする一般的な太陽電池と異なり、炭素・硫黄・窒素原子などを含む有機物を発電材料に用いる。発電材料は、ガラスや金属だけでなくプラスチックなどの表面にも塗布できるため、薄くて軽いフィルム状の太陽電池も実現可能になる。

 同社は、ファインケミカル事業で長年培った有機合成技術を応用し、材料の化学構造を最適化することで、LEDなど低照度の室内用光源でも高い出力が得られるOPV向けの新しい発電材料の開発を進めてきた。直近の検証では、オフィス環境と同等の照度環境下で、卓上電卓に使用される一般的なアモルファスシリコン太陽電池に比べ、1.4倍の出力を確認した。

 今回、同材料を使用したOPVモジュールの室内環境での高い出力性能や、製造工程での高いハンドリング性能などが評価され、CEAと共同研究を進めていくことになった。OPVの普及がいち早く見込まれる欧州での展開を視野に、同材料を用いたOPVの早期実用化に向け、開発に努めていく考えだ。

 OPVは壁や窓、衣服やカーテンの布地など、従来は使用が困難だった場所にも設置できることから、あらゆるものがインターネットにつながるIoTには欠かせない、無線通信を行うセンサーデバイス用のワイヤレス電源などに適しており、次世代の太陽電池として普及が期待されている。

BASFの1-6月期 ケミカルなど販売減で減収減益

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2019年8月5日

 BASFの2019年第2四半期は、売上高が前年同期比4%減の152億ユーロ、特別項目控除前EBITDAは同27%減の20億ユーロ、特別項目控除前営業利益は同47%減の10億ユーロ、純利益は同50億ユーロ増の65億ユーロとなった。売上高については、主にイソシアネートとクラッカー製品事業の影響により、販売価格が2%下落し、販売量は6%減少した。

 ニュートリション&ケアを除く全事業セグメントで販売量が減少した。特に、ケミカル事業セグメントとアグロソリューション事業セグメントの減少が顕著だった。これは、ベルギーのアントワープと米国テキサス州のポートアーサーで、スチームクラッカーの定期修繕を実施したこと、北米で悪天候が続き、アグロソリューション事業セグメントが打撃を受けたことが原因。

 バイエルから買収した、種子事業と非選択性除草剤事業によるポートフォリオ変更は、2%の増収効果があり、為替も2%の増収要因となった。EBIT(営業利益)に含まれる特別項目は、前年同期のマイナス6600万ユーロに対し、マイナス4億9700万ユーロ。特別項目の増加は、エクセレンスプログラムにおける臨時の費用も要因のひとつとして挙げられる。

 さらに、米国ガルフコーストでの天然ガスを中心とした投資に減損が生じた。この投資からはすでに撤退している。EBITは前年同期の19億ユーロから5億4800万ユーロに減少。純利益の増加は、ヴィンタースハルが連結対象外になったことによる帳簿上の利益によるものだ。

 厳しいマクロ経済環境を考慮し、通期の見通しを修正した。売上高は微減、特別項目控除前営業利益は最大30%の大幅減になると予測。投下資本利益率(ROCE)は、前年を大幅に下回る見込みだ。

 

日本触媒の4-6月期 市況とスプレッド悪化で減収減益

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2019年8月5日

 日本触媒は2日、2019年4-6月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比10%減の770億円、営業利益55%減の369億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益54%減の33億円となった。製品海外市況下落に伴い販売価格が低下したことや、販売数量の減少、スプレッドが縮小したことで減収減益となった。

 セグメント別にみると、基礎化学品事業は、売上収益9%減の324億円、営業利益43%減の23億円。アクリル酸及びアクリル酸エステル、酸化エチレンは、販売数量が減少し、原料価格や製品海外市況下落に伴い販売価格が低下した。エチレングリコールは、販売数量は増加したが販売価格が低下。セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売数量が減少した。

 機能性化学品事業は、売上収益10%減の420億円、営業利益73%減の11億円。高吸水性樹脂と特殊エステルは、販売数量が減少したことや、原料価格下落に伴い販売価格が低下した。コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料及び無水マレイン酸は販売数量が減少。洗剤原料などの水溶性ポリマー、ヨウ素化合物、エチレンイミン誘導品及び塗料用樹脂は、販売数量が増加した。

 環境・触媒事業は、売上収益1%減の26億円、営業利益1億円増の9000万円(前年度は損失)となった。自動車触媒及び脱硝触媒は販売数量が減少したが、プロセス触媒、燃料電池材料及びリチウム電池材料は、販売数量が増加した。

 なお、通期業績予想については、7月31日に修正を発表している。

 

帝人の4-6月期 ポリカーボネート市況の悪化で減益に

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2019年8月5日

 帝人は2日、2019年4-6月期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比1%減の2146億円、営業利益7%減の170億円、経常利益20%減の169億円、純利益45%減の108億円となった。

 セグメント別にみると、マテリアル領域は、素材市況悪化の中、高機能材料分野を中心に一定の利益を維持し、売上高3%減の1599億円、営業利益29%減の64億円となった。マテリアル事業において、アラミド繊維分野では、主力のパラアラミド繊維が摩擦材、ゴム補強材などの自動車関連用途の販売数量でやや減少したものの、売値・販売構成の改善が収益に貢献した。

 炭素繊維分野では、炭素繊維が航空機用途では順調に推移したものの、コンパウンド用途では前期終盤から続く市況低迷により販売が減少した。樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂が汎用品で市況価格の大幅下落の影響を受けたが、高付加価値品販売が収益を下支えした。フィルム分野では、自動車や電子部品用PENフィルムなどが堅調に推移したが、工程用離型フィルムの販売は低調だった。

 繊維・製品事業の衣料繊維分野では、国内の市況影響により衣料製品販売で苦戦したものの、産業資材分野では主に短繊維の販売が好調を維持した。複合成形材料事業ほかの複合成形材料分野では、北米のピックアップトラックやSUVなどの需要増や新規モデルの立上げを背景に、米国CSP社の自動車向け量産部品の販売が堅調に推移した。

 ヘルスケア領域は、「フェブリク」を中心に主力製品の好調を受け増益となり、売上高2%増の398億円、営業利益6%増の105億円。その他(IT事業など)は、売上高17%増の149億円、営業利益約2倍の13億円となった。

 なお同日、通期連結業績予想の修正を発表。フィルム事業会社譲渡や為替の見直しなどから、売上高を9100億円から9千億円に減額している。利益項目については修正を行っていない。