東レ 逆浸透膜がサウジ海水淡水化プラントに連続受注

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2019年10月15日

 東レはこのほど、サウジアラビアのシュアイバ第3海水淡水化プラント増設2期、およびシュアイバ第4海水淡水化プラント向けに、合計65万㎥/日という大規模な造水量を生む逆浸透(RO)膜「ロメンブラ」を納入すると発表した。

 シュアイバ第4が完成すると、同プラントはサウジアラビアにおいて逆浸透膜法による最大規模の海水淡水化プラントになる。大型プラントへのRO膜納入により、中東地域の水不足問題解決の一助となることはもちろん、サウジ政府が推進し日本政府も支援をしている「Saudi Vision 2030」にも貢献する。なお、製品ならびに技術サービスの提供は、東レグループ現地子会社であるToray Membrane Middle East(TMME)が担う。

 アラビア湾岸諸国では人口増加を背景とした旺盛なインフラ投資が行われ、特に飲料水確保のための海水淡水化プラントの建設計画が拡大。さらに新たにプラントを建設する場合には、従来のエネルギー消費の多い蒸発法から、ポンプによる押し出し透圧を利用するRO法を採用するトレンドが顕著だ。

 サウジ第2の都市ジェッダ市の南に位置するシュアイバ地域においても、2009年稼働開始のシュアイバ第3海水淡水化プラント増設1期(造水量:15万㎥/日)以降はRO法に切り替えられている。

 今回の受注は、東レがRO膜を納入したこのシュアイバ第3海水淡水化プラント増設1期での10年以上に亘る稼働安定性が高く評価されたことによるもの。その結果、2009年以降、同地域に建設された海水淡水化プラント全てにRO膜を納入していることになり、計80万㎥/日の水を生み出すことで、地域の水需要に貢献する。

 東レのRO膜は、海水淡水化をはじめ、下水の浄化、工業用途など幅広く使用されており、グローバルな営業・生産・技術サポート体制を基盤に普及を進め、これまでの累積出荷量は生産水量ベースで6800万㎥/日以上であり、生活用水換算で4.8億人相当(世界人口の6%超)の需要を賄える量に相当するまでになった。

 東レは、RO膜をはじめとした最先端の膜技術を提供し続けること、また需要地での技術サービスをグローバル規模で充実させていくことにより、産業拡大、人口増加により今後ますます水需要が拡大することが見込まれる中東地域における水問題解決に貢献していく。

 

ICEF 気候変動の解決策探る、プラスチックの最適活用も議論

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2019年10月15日

 第6回「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF:アイセフ)」が9、10日に都内のホテルで開催された。同フォーラムは、エネルギー・環境分野のイノベーションにより気候変動問題の解決を図るため、世界の学界・産業界・政府関係者間の議論と協力を促進するための国際的なプラットフォームとなることを目的としている。

 今回は「世界のCO2排出量が減少に転じるためのイノベーションとグリーン・ファイナンス」をテーマに、ビジネス主導の脱炭素化に向けた技術イノベーションや、企業・消費者を巻き込む社会イノベーションについて議論を行った。

 12の本会議・サイドイベント・分科会の中で、2日目に開催された「海上・陸上生態系保護と経済的観点から見たプラスチックの最適活用」の分科会では、三菱ケミカルの関基弘常務執行役員高機能ポリマー部門長や産業技術総合研究所の田原聖隆IDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)ラボ長ら6人が出席し、座長である持続性推進機構の安井至理事長(東京大学名誉教授)の司会により、各社の取り組みや研究などを発表した。

 関常務執行役員はフードロスや、自動車の軽量化によるCO2排出削減に貢献するプラスチックの必要性に触れつつ「リニアなプラスチックの使用はやめなければならない」として、同社が提案している、分別と回収の徹底、3R、Renewableによる新たな循環の仕組みを説明した。

 また、同社が開発した植物由来の生分解性樹脂「BioPBS」にも触れ、こうした「カーボンニュートラルのサイクルを実現できる」製品開発も行っていることを紹介した。

 一方、産総研の田原ラボ長はイチゴのトラック輸送による傷み具合を、プラスチック容器のありなしで比較した結果、プラスチック容器を使わないと痛みがひどく、廃棄せざるを得ないことなどを基に、プラスチック問題を考える際には「ライフサイクルアセスメントの観点から、トレードオフを検討しなければならない」と指摘した。

 最後に安井座長が出席者に「クラッシックな解決策」である、3RプラスReplaceの有効性について質問し、出席者からこの取り組みが依然として重要であるとの回答を得ていた。

 

ダイセル 中国地方発明表彰で「発明奨励賞」を受賞

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2019年10月15日

 ダイセルは11日、今年度の「中国地方発明表彰」(主催:発明協会)で、「酢酸セルロース製造用のパルプの解砕方法及び酢酸セルロースの製造方法(特許番号:5816395)」によって「発明奨励賞」を受賞したと発表した。発明者は保坂光輝、岡野俊紀、位田雄二の3氏。

 今回の発明は、主力製品である「酢酸セルロース」の原料であるパルプの解砕(シートを繊維状にすること)方法と、解砕されたパルプを用いて酢酸セルロースを製造する方法。

 この方法によれば、パルプの劣化を抑制しながら均一な状態に解砕することができる。また、この方法で解砕されたパルプを原料とした場合、未反応物を低減して、透明性・ろ過性・可紡性に優れた酢酸セルロースの製造が可能だ。

 同社は2016年から大竹工場(広島県大竹市)に、今回発明した解砕装置を設置し、反応剤・溶媒の使用量を削減することで環境負荷物質の排出を低減し、より環境に配慮しながら、良質な酢酸セルロース製造を行っている。

 「地方発明表彰」は優れた発明などを生み出した技術者・研究者に対して行われるもので、1921(大正10)年からの歴史がある。今回の表彰では、発明の実用化による社会的貢献が評価された。なお、表彰式は今月25日に広島市の「広島ガーデンパレス」で行われる。

旭化成 吉野名誉フェロー「最終製品での評価能力が必要」

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2019年10月11日

 旭化成は10日、都内のホテルで、ノーベル化学賞を共同受賞した吉野彰名誉フェローの記者会見を開催した。吉野氏は「一夜明け受賞のニュースが各紙のトップを飾っており、実感がわいてきた」と受賞の喜びを語った。

吉野名誉フェローと久美子夫人
吉野名誉フェローと久美子夫人

 同席した吉野久美子夫人は「これまで毎年候補に挙がり、いつかいつかと待っていたが、今回受賞することができ、驚きとともに大変うれしく思う」と感想を述べた上で、「私は

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JXTGエネルギー 「ホワイト物流」で自主行動宣言を提出

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2019年10月11日

 JXTGエネルギーはこのほど、国土交通省・経済産業省・農林水産省の展開する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を提出した。

 独自の取り組みとして宣言したのは「物流の改善提案と協力」「幹線輸送部分と集荷配送部分の分離」「高速道路の利用促進」「混雑時を避けた配送」「燃料サーチャージの継続」「異常気象時等の運行の中止・中断等」の6点。

 物流事業者から荷待ち時間や手作業での荷卸しの削減、付帯作業、時間指定の合理化などの要望があった場合、取引先と協議し、乗務員の作業効率化・改善に努める。幹線輸送部分と集荷配送部分の分離については、幹線(大型車)と顧客(小型車)配送分離体制を継続し、トラック輸送の効率化を図る。

 高速道路の利用促進では、同社製品の配送に関して、取引先と協議し、生産性の高い物流の構築に向け、継続して高速道路の利用を前提とした運送契約を締結する。混雑時を避けた配送のため、夜間配送の利用や配送の平準化を取引先と協議する。

 燃料サーチャージを継続し、改善の要望があれば状況に応じ、精算方法を見直す。台風、豪雨、豪雪などの異常気象が発生した場合は、乗務員の安全確保を優先した上で、事前対応・早期復旧を図る。

 生活必需品である石油製品の安定供給を担う同社にとって、陸上配送をはじめとするサプライチェーン全体での生産性の向上と環境への配慮、労働環境の整備、コンプライアンスの遵守は、事業遂行の上で優先すべき事項と捉えている。また、同運動趣旨がJXTGグループ行動理念に合致することから、自主行動宣言を国交省自動車局貨物課へ提出した。

 JXTGエネルギーは今後も、持続可能な物流の実現に向けた取り組みを通じて、サプライチェーン全体の生産性向上を図り、エネルギー安定供給の責務を果たしていく。

日化協 淡輪会長がノーベル賞受賞の吉野名誉フェローに祝辞

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2019年10月11日

 日本化学工業協会は10日、旭化成名誉フェローの吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことに対し、淡輪敏会長(三井化学社長)の祝辞を発表した。

 淡輪会長は、「旭化成名誉フェローの吉野彰様が、この度ノーベル化学賞を受賞されることになったことは、誠に喜ばしいことであり、心からお祝い申し上げる。企業の研究成果が認められ、今回の受賞に至ったことは、日本の化学産業界にとって大きな誇りだ。吉野名誉フェローが開発されたリチウムイオン電池は、ITデバイスをはじめとする様々な製品の基幹部材としてそのイノベーションを支え、今や私たちの生活になくてはならないものとして、深く広く浸透している。また、性能に改良を重ね、ハイブリッド自動車や電気自動車における航続可能距離の延伸を実現し、その市場拡大にも大きく貢献している。さらに、太陽光や風力で発電したエネルギーを蓄積でき、気候変動問題の解決に資する技術としても大いに期待されている。企業の研究者として、ここに至るまでには、さまざまなご苦労と、粘り強いご努力があったことと拝察し、改めて敬意を表する。また、今後も日本の化学産業が地球規模の課題解決につながる新技術や新製品を創出し、世界に貢献していくことを期待している」とコメントしている。

旭化成 吉野名誉フェローがノーベル化学賞を受賞

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2019年10月11日

リチウムイオン電池開発で、モバイルの発展と環境課題に貢献

 旭化成の名誉フェロー・吉野彰氏が、2019年のノーベル化学賞を受賞した。スウェーデン王立科学アカデミーは9日、リチウムイオン電池(LIB)を開発した吉野氏ら3氏に、ノーベル化学賞を授与すると発表した。

ノーベル化学賞を受賞した吉野名誉フェロー
ノーベル化学賞を受賞した吉野名誉フェロー

 軽量・充電可能で強力なパワーをもつLIBが、今や、携帯電話・スマートフォンから、ノートパソコン、電気自動車(EV)に至るまで、あらゆる機器に普及していることと、太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーを大量に貯蔵できることで、化石燃料に頼らない社会の実現可能性への貢献が高く評価された。

 同日、同社本社で行われた受賞記者会見に、満面の笑みをたたえながら姿を見せた吉野氏は、場内にあふれかえる同社従業員や報道陣の大きな拍手が鳴りやまぬ中、席に着き「私自身、

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大陽日酸 キッズ理科教室開催、液体窒素で超電導実験

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2019年10月10日

太陽日酸 興味津々の生徒たち
興味津々の生徒たち

 大陽日酸は今年も、地域貢献活動の一環として、同社の液体窒素を使った、子ども向け理科実験教室「大陽日酸キッズ理科教室」を開催した。

 子どもたちに科学の楽しさを体験してもらい、好奇心や想像力を高める一助となることを目的に、2007年から毎年行っている。今回も同社本社の近隣にある品川区立後地(うしろじ)小学校の協力を得て、同校の学校公開日である10月5日、小学5年生31人を対象に実施した。

太陽日酸 白煙を発生させる実験
白煙を発生させる実験

 実験に先立って、講師役の同社社員が産業ガスの特性や実験内容を説明。その後、子どもたちは「空の雲ができるのと同様の白煙を発生させる実験」「風船に入った気体を冷やす実験」「超電導コースター」「バラの花やゴムボールの凍結実験」などを体験した。

 学校の授業ではできない液体窒素を使った実験に、生徒は興味津々。子どもならではの無邪気な反応や、鋭い質問が飛び交う、盛況な理科教室となった。

【訃報】 元三井化学専務取締役 横井眞美氏

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2019年10月10日

 横井眞美氏(よこい・まさみ=元三井化学専務取締役、常勤監査役、元三井石油化学工業〈現三井化学〉専務取締役)7月18日誤嚥性肺炎のため川崎市立多摩病院で死去。84歳。葬儀・告別式は7月20日に近親者のみで執り行われた。喪主は長女・松木直子さん。

NEDO 電気・電子機器リサイクル事業をタイで開始

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2019年10月10日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、タイ工業省工場局(DIW)と電気・電子機器廃棄物(WEEE)リサイクルの実証事業を実施することで合意し、基本協定書(MOU)を締結した。

 同実証事業では、タイ国内初となる日本の高度リサイクル技術を用いたWEEEの一貫リサイクルシステムの導入や、タイに適したガイドラインの導入支援に取り組み、廃棄物処理の適正化を後押しする。

 同実証事業は「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」のテーマの1つとして実施。2017年度にタイで実施した実現可能性調査(FS)の結果をもとにステージゲート審査を通過し、2019年度から2年間の予定で実施する。

 WEEEの破砕後に排出されるミックスメタル(プラスチック、ガラス、金属などの混合物)の粒度・比重選別を行うことで、有価物(銅、ステンレス、アルミ、貴金属)を効率よく回収する自動リサイクルシステムを導入し、その有効性を検証する。

 また、タイ国内で処理できない貴金属(金、銀など)と有害廃棄物(鉛、亜鉛など)の混合物を、日本で再資源化することで国際資源循環を実現し、タイをはじめとするアジア諸国でのリサイクルモデルの確立を目指す。

 これと並行して、日本の家電リサイクル法や小型家電リサイクル法を参考にしながら、タイに適した廃棄物処理に関わるガイドラインの検討を共同で実施する予定だ。