カネカ 生分解性ポリマーが資生堂の化粧品容器に採用

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2020年9月9日

 カネカはこのほど、「カネカ生分解性ポリマーPHBH」が「SHISEIDO」ブランドの新製品「アクアジェル リップパレット」の製品ケース(ボディ、蓋)に採用されたと発表した。今年11月より発売される。

アクアジェル リップパレットのイメージ。(提供:株式会社資生堂のブランド「SHISEIDO」)
アクアジェル リップパレットのイメージ。(提供:株式会社資生堂のブランド「SHISEIDO」)

 両社は昨年より化粧品容器の開発に共同で取り組み、資生堂の同製品のコンセプト「海を大事に想う」という考え方が「PHBH」の海洋分解性と合致することから採用。化粧品用途では初めての採用になる。

 「PHBH」はカネカが開発した100%植物由来の生分解性ポリマー(共重合ポリエステル)で、幅広い環境下で優れた生分解性を示し、海水中での生分解認証「OK Biodegradable MARINE」を取得。海洋汚染低減に貢献する。

 昨年末、同社高砂工業所(兵庫県)に従来の5倍にあたる年産5000tのプラントが竣工し、グローバル展開する多くのブランドホルダーとストロー、カトラリー、食品容器包装材など幅広い用途で検討が進んでいる。急拡大する需要にタイムリーに応えるため、本格的量産プラントの建設を早期に決定する見通し。

 同社は「カネカは世界を健康にする」という考えの下、今後もソリューションプロバイダーとしてブランドホルダーと共同してグローバルに価値を提供していく考えだ。

旭硝子財団 地球環境問題など、アンケートの調査結果を発表

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2020年9月9日

 旭硝子財団は8日、第29回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査結果を発表した。同財団は、1992年より、毎年、世界の環境有識者を対象に環境アンケート調査を実施。環境アンケートを通じて環境有識者のみならず、より多くの人々に環境への関心をもってもらい、地球環境問題の解決に貢献することを目指している。今年は世界205カ国に調査票を送付し、137カ国、1813人から回答を得た。  

環境危機時計の時刻
環境危機時計の時刻

 調査結果の要点として、人類存続の危機に対する認識では、環境危機時計が示す世界全体の平均環境危機時刻は9時47分だった。調査以来最も針が進んだ一昨年と同時刻となり、昨年から一分針が進んでいる。

 日本の環境危機時刻の平均は9時46分と昨年に比べ7分進み、世界平均とほぼ同時刻を示している。また危機意識が最も高いのは、10時台を示す北米(10時33分)とオセアニア(10時20分)。逆に最も低いのは唯18時台に留まるアフリカ(8時34分)で、その差はほぼ2時間も開いている。

 環境危機時刻を世代別に見ると、「60代以上」の危機意識が9時55分と最も高いが、2012年以降は、全世代が「極めて不安」の時間帯を示している。危機時刻を決める上で念頭に置く項目は2011年以来一貫して「気候変動」が30%と最多数を占めるが、環境に対する危機感を時刻から見ると、「生物圏保全性(生物多様性)」が9時57分と最も高かった。

 一方、環境問題への取り組みに対する改善の兆しは見られるかという設問に対し、項目として最も多く選ばれたのは「気候変動」(28%)で、「ライフスタイル」(14%)と「社会、経済と環境、政策、施策」(14%)が並んだ。また、脱炭素社会への転換については、取り組みに少し改善の兆しはあるが、「政策・法制度」や「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の面は「一般の人々の意識」ほど進んでいないという結果となった。

 なお、調査結果は財団ウェブサイト(https://www.af-info.or.jp)で閲覧できる。

世界の各地域の危機時刻
世界の各地域の危機時刻

日本製紙 抗ウイルス・抗菌・消臭性セルロースを開発

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2020年9月8日

 日本製紙はこのほど、「抗ウイルス」および「抗菌・消臭」性能をもつ変性セルロース(開発品)を開発したと発表した。

変性セルロース単体と金属イオンを担持させた変性セルロース
変性セルロース単体と金属イオンを担持させた変性セルロース

 セルロースナノファイバー(CNF)製造の中間体である変性セルロースを原料とし、表面に金属イオンを担持させることで高い抗ウイルス性能、抗菌・消臭効果が発現した。セルロースであるため不織布、紙などへの加工が容易で、不織布をベースとする衛生材料、フィルターなど日用雑貨・工業用途への採用が期待される。

金属イオン担持変性セルロースを不織布に加工したサンプル
金属イオン担持変性セルロースを不織布に加工したサンプル

 同変性セルロースを配合した不織布による性能試験の結果、2種のウイルスを用いた抗ウイルス性試験では2時間後にウイルス感染価は99.99%以上低減、3種の細菌による抗菌性試験では18時間後に菌数は99.9%以上低減、またアンモニア、酢酸、硫化水素の消臭試験では2時間後に臭気量は90%以上低減した。不織布用途以外では、「抗ウイルス」「抗菌・消臭」性能をもつ紙製品(印刷用紙ほか)の上市を9月上旬に予定している。

 同社グループは「紙でできることは紙で。」を合言葉に、再生可能な資源である「木」を原料とし、リサイクル可能な「紙」「パルプ」に新たな機能を付与した多彩な製品を提供。今後も、新たな機能をもつ製品を開発し、「紙」「パルプ」の利用シーン拡大に努めていく考えだ。

 

アジア石化市況 エチレン下値が700ドル割れに

2020年9月8日

ブタジエンは上昇基調継続、SM4週連続で下落

 アジア地域の8月第3週の石化市況では、エチレンは下値40ドル安、上値20ドル安の680~730ドル/tでの取引となった。下値は5月第3週以来、13週ぶりに700ドル台を割り込んでいる。

 エチレン市況は、中国経済の回復とともに6月までは上昇基調となっていたが、7月には頭打ちとなり、8月に入ってからは下落基調を強めている。誘導品の需要が低迷していることに加え、中国で大型の設備が立ち上がってくることから、需給バランスの悪化が懸念視されている。

 スプレッドも、

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ユーグレナ バイオマス50%含有プラスチックを開発

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2020年9月7日

 ユーグレナはこのほど、バイオポリ上越(新潟県上越市)と共同で、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)からバイオ燃料用脂質を抽出した後の残渣(ユーグレナ脂質抽出残渣)を配合したバイオマスプラスチックの開発に成功したと発表した。バイオポリ上越は樹脂の製造からプラスチック最終製品の製造まで一貫して行い、自然素材からプラスチック樹脂を創る高度な混錬加工技術をもつ。

加工前のユーグレナ・ポリプロピレン複合体のペレット
加工前のユーグレナ・ポリプロピレン複合体のペレット

 海洋プラスチックごみなどの社会問題に対し、環境省が昨年策定した「プラスチック資源循環戦略」で、プラスチックの使用量削減、リサイクル推進とともに、植物などの再生可能資源を使ったバイオマスプラスチックの利用推進を掲げ、バイオプラスチックの需要も高まっている。

 今回、パラミロン(ユーグレナ特有のβ‐1,3グルカン)粒子含有の複合体に関する特許技術に基づき、汎用プラスチックのポリプロピレン(PP)とユーグレナ脂質抽出残渣を混錬・均一分散してバイオマス含有率50%のユーグレナ・PP複合体を開発した。

 純石油由来のPPと比べ、最大曲げ応力と曲げ弾性率が高く、強さと硬さが向上。これは、有機物固体であるユーグレナ脂質抽出残渣がフィラーとして働き、PPの力学物性を向上させたことを示している。さらに、一般の射出成型機でフォークなどの加工が可能なことから、食品容器や成型材料などの様々な用途展開が期待される。

ユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて作成したフォーク、スプーン
ユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて作成したフォーク、スプーン

 同社はユーグレナなどの微細藻類活用の事業を通じ、社会をよりサステナブルに変革していくことを目指している。石油由来プラスチック量の削減に向け、ユーグレナの特有成分パラミロン使用の機能性プラスチックの開発とともに、バイオマスプラスチックの可能性検討を進めていく考えだ。

 

日本ゼオン 「気候関連財務情報開示タスクフォース」に賛同

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2020年9月7日

 日本ゼオンは4日、8月13日付で「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明したと発表した。

 同社はCSR基本方針で「企業活動を通じ、社会の持続的発展と地球環境に貢献する」を掲げ、これまでその取り組みを進めてきた。今後はTCFD提言を踏まえ、気候変動が事業に及ぼすリスク・機会を分析し、経営戦略に反映することで経営基盤の強化を図る。それとともに、気候変動に関連する情報開示を進めることで、ステークホルダーとのさらなる信頼関係を醸成し、持続的可能な社会の実現と企業価値の向上を目指していく。

 なお同社は、TCFDへの賛同にともない、「TCFDコンソーシアム」にも参画。TCFD提言に賛同する他の企業や金融機関などとともに取り組みを推進。同コンソーシアムを通じ得られた知見を活用して、同社での効果的な取り組みや情報開示について検討を行っていく。

TCFD

ハイケム 副生ガスからEG生産、CO2削減へ

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2020年9月7日

C1ケミカル軸に経済性・環境性の両立を目指す

 ハイケムのC1ケミカルが新たなステージに入った。先月、同社がもつ「SEG技術」を採用した、製鉄所の副生ガスを利用してエチレングリコール(EG)を製造する世界初のプラントが稼働を始めた。

中国・山西沃能化工科技のEGプラント。ハイケムのSEG技術により副生ガスから年産30万tを製造
中国・山西沃能化工科技のEGプラント。ハイケムのSEG技術により副生ガスから年産30万tを製造

 SEG技術とは、水素とCOからなる合成ガス(Syngas)を原料とし、ポリエステル繊維やペットボトルの原料の1つとなるEGを非石油由来で製造する技術。

 今回の取り組みでは、製鉄所のコークス炉や高炉から排出される副生ガス中の水素とCOを活用する。COを燃やしてCO2にすることなく、EGの原料として利用し炭素を固定することから、CO2の発生を抑制。同プラントが通年で稼働した場合、年間56万tのCO2排出量を削減できるとしている。

 同プロジェクトは、中国の大手民営鉄鋼企業である山西晋南鉄鋼集団の完全子会社「山西沃能化工科技」との共同によるもので、製鉄所からの副生ガスを原料に年産30万トンのEGを製造する。2017年にハイケムがSEG技術のライセンス供与を行っていた。

 同社が目指すのは、C1ケミカルのトータルソリューションカンパニー。今年度からの中計に基づき、C1ケミカルを川上・川下へと拡大する「水素エネルギー事業」と「生分解性ポリマー事業」への展開が始まったところだが、その中心となるのがSEG技術のライセンス事業になる。

 同社は2009年に同ライセンス事業に参入した。宇部興産がもつ石炭由来の合成ガスからシュウ酸ジメチル(DMO)を製造する技術と、さらにDMOからEGを生産するパイロット技術に注目。ハイケムは、後工程のDMO水添によりEGを製造する実機を確立し、両社の技術を中国企業にライセンスしている。

 さらに、COからDMO、DMOからEGの生成に必要な銅触媒・パラジウム触媒も、同社の中国・南通にある触媒工場から提供しており、EGのビジネスモデルを構築した。第1基目のプラントは2012年に稼働。以降、高純度のEGを安全・安定的に供給することが高く評価され、製造するEGは中国国内の大手ポリエステルメーカーへの採用実績も多い。

 SEG技術は、CO2削減効果が見込めるエコな技術としても注目を集める。石炭・天然ガスをはじめ、各種産業排気ガスなどを原料として利用でき、炭素を固定するためだ。

 現在、合計23件、約940万t規模のライセンス供与を行うが、このうち75万tのEG製造にはコークス炉ガスなどの産業排気ガスを原料として使用する。そのプラントが全て稼働した場合、年間125万tのCO2を削減できる見込み。また、バイオマス原料やCO2を利用したEG製造も技術的には可能であり、研究開発を進めている。

 同社は「炭素利用効率を上げて空気をきれいにする」をビジョンの1つに掲げ、事業活動を通じて環境の豊かさに貢献していく。

 

カネカ 新型コロナ用DNAワクチンの製造体制に参画

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2020年9月4日

 カネカはこのほど、グループ会社カネカユーロジェンテック(ベルギー)が、アンジェス(大阪府茨木市)や大阪大学などが開発を進めている新型コロナウイルス用DNAワクチンの大量生産に向け、タカラバイオを中心とする製造体制に参画したと発表した。同ワクチンは大阪大学とアンジェスのプラスミドDNA医薬品開発の実績をもとに開発され、今年6月から臨床試験を開始。実用化に向けて開発が加速している。

 カネカユーロジェンテックは、1985年から医薬・診断薬、研究試薬用のタンパク質、核酸、ペプチドの製造販売を行っている。世界トップクラスのプラスミドDNA技術をもつことから、同ワクチンの中間体製造を受託した。なお、同社はベルギー政府の要請で、新型コロナウイルス検査用のPCR検査試薬も供給している。

 カネカは、mRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用し、ワクチンの受託製造や抗ウイルス薬の開発、医療器を用いたソリューション提供などにより新型コロナウイルス問題の課題解決に貢献し、世界を健康にしていく考えだ。

Kaneka Eurogentec社の外観
Kaneka Eurogentec社の外観

出光興産 バイオマス発電用植物の植生と木質ペレット化試験を開始

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2020年9月4日

 出光興産は3日、100%子会社である出光オーストラリアリソーシス(ブリスンベン)を通じ、石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始したと発表した。既存のエンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州、権益85%)での資産(鉱山内遊休地、用役設備など)を活用する。

 今回のプロジェクトで栽培するのは、バイオマス発電燃料として使用する「ソルガム」。降雨量が少ない同エリアでの生育に適しており、7月までに順調な生育が確認され収穫を行った。現在、ソルガムの木質ペレット化試験を進めており、今年後半には木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)試験を予定している。

 木質ペレットを半炭化したブラックペレットは、従来の木質ペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができるため、石炭火力発電でのCO2排出量低減が期待できる。

 なお、プロジェクトは、同地が石炭の輸出基地に加え、バイオマス発電燃料の大規模商業輸出基地となる可能性があるとして、クイーンズランド州政府から補助金2万豪ドルを受託している。

 出光興産は、エネルギーを取り巻く環境変化を踏まえ、エネルギー源の多様化とベストミックスの構築により、日本のエネルギーセキュリティへの貢献と再生可能エネルギー普及を推進する考えだ。

エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」
エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」