【夏季特集】信越化学工業代表取締役会長 金川千尋氏

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2021年8月10日

変化を成長の機会に、製品と技術で社会の課題解決に貢献

 ━2020年度の総括と、経常利益4000億円を達成した要因をお聞かせください。

  当社は昨年の1-3月期から四半期ごとに利益を連続して伸ばすことができました。これを牽引しているのがシンテックです。半導体シリコンも引き続き大きな収益を上げました。コロナ禍の中にあっても、このような実績を上げることができました。国内外の当社グループの皆さんがウイルスの感染防止に努め、業務に邁進してくれたことを誇りに思い、皆さんの取り組みに感謝しています。

 ━コロナ禍や米中関係などの地政学リスクが事業環境に与えるインパクトと今後の見通しは。

 コロナ禍がいつ収束するかはわかりません。各国でワクチンの接種が進むなど、人類の英知が必ずや新型コロナウイルス感染症を克服するものと確信しています。一方、

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【夏季特集】三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2021年8月10日

CN実現は官民の議論と消費行動がカギ、あらゆる可能性探る

 ━2020年度の振り返りと2021年度の見通しについて。

  2020年度はまさに新型コロナウイルスに明け暮れた1年だった。コロナが確認され感染が拡大する中で、4-6月期は中国の経済が停滞したことから、自動車産業を中心にかなりの冷え込みを見せた。7-9月期で少し回復したものの、中国も本格的な回復には至っていない状態だった。しかし、10月ぐらいから明らかに潮目が変わってきた。その実体を分析してみると、

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【夏季特集】旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2021年8月10日

グリーン・デジタル・パーソンを高め、社会貢献で事業成長

 ━2020年はどのような年でしたか。

  昨年はコロナパンデミックが発生し、歴史上に残る大転換の年となった。その中において、脱炭素・循環型社会と健康で快適な長寿社会が、世界共通の目指すべき姿としてより明確になったと言える。

 歴史を振り返ると、明治維新で欧州のような法整備を目指した新たな国づくり、米国を追いかけて果たした第2次大戦後の復興など、日本人は目指すものがあると力を発揮する傾向にある。我々のような素材型産業にとっても脱炭素・循環型社会と長寿社会というターゲットがクリアになり、どちらの社会に対しても貢献できることから、ビジネスのチャンスが広がったと捉えている。

 ただ、今までの延長線上では対応できないほど市場ニーズが高度化しており、

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【夏季特集】三井化学代表取締役社長 橋本修氏

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2021年8月10日

事業ポートフォリオ変革し、社会課題視点のビジネスモデルへ

 ━6月に長期経営計画「VISION2030」を発表されました。

  2025年をターゲットにした長期計画を2016年に発表してちょうど5年が経った。その中間点に差し掛かったこともあり、これまでの取り組みの評価を行った。また5年のうちに事業環境も大きく変化しており、その評価と環境変化を踏まえてもう一度長計を見直すことにした。策定にあたっては、経営層に加え、10年後の会社を担う30代から40代でチームを組んでもらい、侃々諤々と様々な議論を進めてきた。

 ━その中では、事業ポートフォリオの変革が1つの核です。

 ポートフォリオについてはこれまで、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング(F&P)の成長3領域を中心にドライブをかけて会社を成長させていく、というのが基本的な考え方になっていた。ところがつぶさに見ると、

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【夏季特集】昭和電工代表取締役社長 森川宏平氏

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2021年8月10日

各事業が成長軌道に回帰、個性派企業に向け基盤整備に注力 

 ━コロナ禍が事業に与える影響について。

  社会生活や経済などあらゆる面でコロナ禍の影響を大きく受けた2020年に対し、2021年は日常生活における感染防止対策の浸透、企業でのテレワークや学校などでのリモート授業の普及など、いわゆる「新常態(ニューノーマル)」が定着し、ワクチン接種が先行している国を中心に、世界経済は回復に向かいつつある。

 当社も昨年以降、事業所内の感染防止策の徹底やリモートワークを積極的に推進しているが、海外の当社グループの一部事業所やお客様の工場などでは、政府による都市のロックダウンにより操業停止となるなど生産に影響が出た。また、世界規模で経済が停滞したことにより販売数量が大幅に減少したため、昨年度の収益は大きな影響を受けた。しかし、年後半からは回復が見えはじめ、

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【夏季特集】東ソー代表取締役社長 山本寿宣氏

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2021年8月10日

新中計も基本方針を継続、CNへのコミットは現時点で困難

 ━コロナ禍で事業環境が大きく変わりました。

  コロナ禍によってデジタル化が加速したが、良い面と悪い面の両方が出てきている。例えば働き方では、在宅勤務が増えたことで通勤時間を有効活用できるようになった。しかし、昨年以降の新入社員は社内交流を深めることができておらず、企業文化の伝承が遅れる懸念がある。また顧客へのリモート営業も定着したが、値上げ交渉などは対面でなければ難しい。足元ではナフサなど原料価格が高騰しており、製品価格への転嫁を進めているが、

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【夏季特集】JSR代表取締役社長兼COO 川橋信夫氏

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2021年8月10日

成長事業であるDSとLSに注力、企業価値の向上に邁進

 ━足元の状況について。

  昨年はコロナ禍においても、デジタル化の進展により半導体を主とする電子材料は好調だった。今年度に入ってからも、さらにデジタルソリューション(DS)事業の市場は向上しており、昨年を上回ることが予想されている。当社もこの好況をしっかり捉え、シェア拡大に注力していく。またライフサイエンス(LS)事業についても、当社のバイオ医薬品のCDMO(開発・製造受託)のパイプラインは拡大しており、今後も堅調に伸びていくと見ている。石油化学系事業についても、昨年後半から回復基調が継続している。

 当社は、以前から2025~2030年の間にドラスティックな環境変化が起こると想定し、様々な準備を進めてきた。しかし、コロナ禍によってそれが前倒しで具現化しており、まさに何が起こってもおかしくない状況に突入したと言える。

 ━3月発表の経営方針の内容について。

 経営方針の策定にあたり、強い体質で将来にわたって生き残って成長を続けるために、サステナビリティ(持続可能性)とレジリエンス(強靭性)を判断基準とし、全ての事業について見直しを図った。その結果、

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【夏季特集】プライムポリマー代表取締役社長 藤本健介氏

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2021年8月10日

PEメタロセン化、PPは新設備で高付加価値と環境貢献図る

 ━現在の事業環境と今後の見通しについて。

 ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)の動向を把握する際は、国産レジンに輸入レジンと輸入製品を加えたものを内需として、その12カ月の移動平均を見ているが、高密度PE(HD)は、2019年9月あたりからレジ袋有料化の影響で徐々に落ち始め、今年に入ってからはほぼ横バイで推移している。

 直近で言えば、5月は対前年比で93%、コロナ禍前の2019年との比較では90%程度となっている。直鎖状低密度PE(LL)と低密度PE(LD)を合わせた内需は、一昨年9月あたりから下降トレンドにあったものの、足元では回復傾向にある。5月は対前年比で96%、対19年比で91%だ。

 一方PPを見ると、昨年4月から6月を底に需要が盛り返しており、5月は対前年比で98%、対19年比93%で推移している。こうした傾向からPEとPPとも、今年の内需は対前年比で100%超、対19年比では95~100%近くまで回復してくると見ている。

 ━PP回復傾向の要因とは。

 自動車生産の回復は

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【夏季特集】PSジャパン代表取締役社長 室園康博氏

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2021年8月10日

新中計は環境対応と能力増強がテーマ、新規難燃にも注力

 ━PSの業況はいかがですか。

 昨年は、春先に新型コロナウイルスの感染が拡大した影響を受け、4-6月期の内需は前年同期比で20%も落ち込んだ。これが最後まで響いたことで、2020年(暦年)の国内出荷は前年から3万6000tも減少する結果となった。しかし、昨年後半から巣ごもり需要が定着したこともあり、足元ではコロナ禍以前にまで需要が回復している。

 PS需要の約6割を占める食品包材用途では、好調なスーパー向けに加え、市場が拡大しているテイクアウトや宅配向け容器の引き合いが強い。PSの嵌合性(かんごうせい)や剛性が評価されている。さらに、自宅で快適に過ごすために、ウイルス対策として空気清浄機やエアコン、また冷蔵庫やテレビといった生活家電が売れ始め、電気・工業用途も好調に推移している。当社の工場の稼働率も、HIPS系はフル稼働となり、GPPSも高稼働が継続している状況だ。

 2021年の見通しについては、2019年並み(64万3000t)に回復することを見込んでいる。上半期(1-6月期)の国内出荷も33万1000tとなっており、仮に夏場に落ち込んだとしても十分達成できるだろう。ただ、

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【石油化学事業の展望】石油化学事業の収益安定が課題

2021年6月4日

海外市場の競争激化、脱炭素化への対応もカギに

 わが国化学産業の根幹をなす石油化学事業は、大きな転換点を迎えている。コロナ禍よって落ち込んだ需要は回復基調にあるものの、今年はアジア地域で大型コンプレックスの稼働が予定されるなど、需給バランスの悪化が懸念されている。各社はこれまで市況変動への体制を強化するため、設備の構造改革や製品の高付加価値化を進めてきた。しかし、コスト競争力の高い海外メーカーとの競争で生き残るためには、もう一段の構造改革やバリューチェーンの強化など、早急に次の一手を打つ必要があるだろう。一方、脱炭素化の動きも加速している。

 昨年、政府はカーボンニュートラルを宣言し、今年4月には2030年のGHG削減目標も引き上げた。CO2を排出する石化事業にとっては野心的な目標となっており、これにどう貢献していくかが問われている。原燃料のグリーン化やCO2利用、また水素やアンモニアの活用といったイノベーションが求められているが、サステナブルな事業にするためには収益性との両立が必要不可欠だ。

 また、サーキュラーエコノミーに向けた廃棄プラスチックのリサイクルも重要なテーマだが、技術開発や設備投資などの面から一社単独でソリューションを提供することが難しい。政府の支援の下、サプライチェーン全体でシステムを構築していく必要があるだろう。

 今回の「石化事業の展望特集」では、各社の石化担当役員の方々に、将来の石化事業やコンビナートのあるべき姿、また事業戦略や環境対策などについて聞いた。

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◇インタビュー◇

旭化成常務執行役員 小野 善広氏
▽構造改革で基盤強化、基盤技術で社会のGHG削減に貢献

出光興産常務執行役員 本間 潔氏
▽環境変化に対応、収益安定化に向けバリューチェーンを強化

東ソー取締役常務執行役員 安達 徹氏
▽中京地区センターの責任、差別化によるポリマー事業の拡大

三井化学専務執行役員 芳野 正氏
▽ニッチ分野に注力しダウンフローを強化・拡大、ボラ低減へ

三菱ケミカル常務執行役員 半田 繁氏
▽社会変化は素材のニーズを大きく変える、問われる新たな視点