ソルベイはこのほど、EVバッテリー部品に求められる安全性要求に応えるため、液晶ポリマー「ザイターLCP」のラインアップに高耐熱性と難燃性を兼ね備えた新規グレード「G‐330HH」を開発したと発表した。
新グレードは
2023年3月27日
2022年10月14日
2022年6月27日
2021年12月22日
ソルベイはこのほど、性能と持続可能性に対する要求の厳しいe‐モビリティ用の先進的な電気・電子機器アプリケーションに向けた新世代の「アモデル」ポリフタルアミド(PPA)製品を発表した。e‐モータとパワーエレクトロニクス、ギアボックスを組み合わせた一体型の電気駆動システムに対応する。
「アモデル シュープリーム」シリーズの「AE9933」と「AE9950」は、150℃超のピーク温度に一時的にさらされた後でも耐トラッキング指数(CTI)を長期間維持し、マイナス40℃から150℃での耐熱衝撃性をもつ。800V以上で動作するe‐モータとインバータ用バスバーでの使用に最適だ。
「アモデルバイオス」シリーズの「HFFR R1‐133」と「HFFR R1-145」はノンハロゲン系難燃性グレードで、UL94 V0規格に適合するとともに、電子機器の腐食リスクも最小限に抑える。600V超のCTI、120℃超の耐熱性と優れた寸法安定性により、コンパクトなシステムを設計できる。
表面実装型データコネクタ用に開発した「AE R1‐133」は、リフローはんだ付けで発生する膨れ(ブリスター)を防ぎ、回路部品などに適する。また耐衝撃性とウエルド強度が高いため、コネクターの薄肉化によりプリント基板上の設置面積を最大50%削減し、他の電子デバイスのスペースを確保できる。
「アモデルバイオス」は一部バイオ由来成分である長鎖分子構造を含み、現行のバイオ由来の長鎖PPAと比べてガラス転移温度(Tg)は高く、地球温暖化係数(QWP)は低い。ソルベイは、「アモデル」PPAのCO2排出量を2013年比で30%削減。米ジョージア州のPPAグローバル製造工場での製造には、100%再生可能エネルギーを使用している。
2021年7月13日
ソルベイはこのほど、米Carbon22社の足・足首外科手術用の「Creed」カニューレ・スクリューシステム(骨固定用ネジ)に「Zeniva」ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が採用されたと発表した。
同システムは、米国食品医薬品局(FDA)510(k)クリアランス(市販前届け出)を取得している。チタン製の金属コアに医療用インプラントグレードのX線透過性PEEK樹脂をオーバーモールド造形したもので、PEEK樹脂とチタンを強く接着させることにより実現できた。X線やCTスキャン診断時に、体内のスクリューを確認しながら、歪みなどの視覚的ノイズなしに、インプラント部位付近や背後の状態の正確な評価が可能となる。
従来のチタン製スクリューはX線を透過せず、また切削加工による大量の高価な廃材がコスト高になる。オールPEEK製のスクリューでは、鋭利な先端形状が実現できない上、スクリューの直径によって撮像にも影響が出る。複合材の「Creed」スクリューではX線は骨まで到達し、スクリューの輪郭が写り、骨構造の視覚化が大幅に向上。手術中や術後のスクリュー位置の確認、経過観察時の治癒状況の把握が可能となり、よりよい治療の一助となる。
両社は、次世代整形外科用機器の開発促進に向けた新規開発プロジェクトにも、積極的に取り組んでいく考えだ。
2021年6月24日
ソルベイはこのほど、高性能ポリフタルアミド(PPA)コンパウンドの新製品「アモデル Bios PPA」を上市した。
要求の厳しいe-モビリティの電気・電子用途向けの、一部バイオ由来の新たな長鎖タイプPPA製品。食料品以外の再生可能原料を使い、100%再生可能エネルギーで生産することで、PPAで最小の地球温暖化係数を実現した。既存のバイオベースPPAの中で最高のガラス転移温度(135℃)と融点(315℃)をもつ。射出成形向けに設計されており、リフローはんだ付けで発生する膨れ(ブリスター)を回避できるため、表面実装デバイスや流体用コネクターなどパワーエレクトロニクス用の冷却回路部品に最適だ。
さらに標準的PPAと比べて吸湿性が低く、応力腐食のリスクを抑えながら高い寸法安定性を示し、特に小型電子コネクター用途に適する。また、UL94 V0等級のハロゲンフリー難燃性グレードでも卓越した衝撃強度をもち、高い伸び率、ウェルド強度や優れた表面外観も兼ね備えている。「アモデル Bios PPA」は全世界で発売され、構造部品や電気部品、難燃性部品の用途別要求特性に応じてカスタマイズされ、4種のグレードがある。
今後も、e-モビリティに対するより高い性能ニーズを満たし、意欲的なサステナビリティ目標を達成できるよう、技術開発の推進とサステナビリティの確保に取り組んでいく考えだ。
2020年2月27日
ソルベイはこのほど、PDIヘルスケアが行った同社の医療用消毒剤とソルベイの各種ポリマーとの適合性研究で、ソルベイのポリマーの引張強度や耐衝撃特性などが維持されていることが分かったと発表した。
医療機器には院内感染のリスク抑制のために強い消毒剤が繰り返し使われるが、そこにはソルベイのポリマーが広く使われている。感染予防関連製品の市場をリードするPDIはソルベイの協力により、同社の高性能特殊ポリマーに対し、性能試験と外観評価試験を実施した。
同社の特殊ポリマーに、PDIのいくつかの消毒剤を使用する試験を行った結果、ソルベイのポリマーの93%は高い引張強度を維持し、薬剤曝露による環境応力割れ特性への重要な耐性指標とされる、耐衝撃特性については100%維持していることが分かった。外観評価試験では、試験対象となったいずれの材料にも表面損傷や表面劣化は認められなかった。
PDIの性能試験は、ソルベイの「アモデル・ポリフタルアミド(PPA)」「レーデル・ポリフェニルサルホン(PPSU)」「ベラデル・ポリエーテルサルホン(PESU)」「ユーデル・ポリサルホン(PSU)」を使って行った。今後、「Ixef・ポリアリールアミド(PARA)」や「Kalix・高性能ポリアミド(HAPPA)」でも試験を行う予定だ。
一方、外観評価試験はソルベイの6種類すべてのポリマーで実施した。各試験では各種抗菌活性を持つ複数のPDI製消毒剤に、ポリマー材料を曝露。引張強度とノッチ付きアイゾット衝撃特性の試験では、それぞれ「プラスチックの化学試薬に対する耐性を評価するための標準試験方法」と「プラスチックの引張特性に関する標準試験方法」に従って実施した。
また、外観評価試験ではサンプル材料を消毒剤で二週間、毎日12回ずつ拭き、この試験に関与していない3人のPDI従業員が表面の変化を評価した。
2020年2月26日
ソルベイはこのほど、「キータスパイア・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)」パウダーが、サージカル・コーティングス社の電気外科手術用金属チューブのコーティング用途に採用されたと発表した。
「キータスパイアPPEK」パウダーが選ばれたのは、耐薬品性と耐疲労性に加え、高温でも傑出した機械特性と寸法安定性が維持されるため。生体適合性材料である「キータスパイア」は、加工が容易で、繰り返しの洗浄・滅菌にも耐える。
サージカル・コーティングス社はファインパウダー(FP)PEEKグレードである「キータスパイアKT‐820FP」と「キータスパイアKT‐880FP」を使用することで、高度な電気外科手術向けの静電塗装の適合性を高めている。
「キータスパイアKT‐820FP」は低流動性グレードで、きれいに表面を仕上げることができる。一方、「キータスパイアKT‐880FP」は高流動性グレードで、複雑な表面形状の塗装に向いている。
「キータスパイアPEEK」パウダーは品質と安定性に優れているため、サージカル・コーティングス社はコーティングの厚さ1000分の1インチ単位まで薄くすることが可能になった。
電気外科手術用途のコーティングには、モノポーラー周波や高電圧、洗浄と滅菌の繰り返しに耐えることが求められるようになっている。電気外科手術では、外科用メスなどの手術器具を使わずに、電気周波による清浄な切開を行うが、電気絶縁性がある「キータスパイアPEEK」材料は、執刀医と患者を感電から守ることに貢献している。
また、コーティングの厚さを均一にすることができるため、安定した特性を確保し、リスクを軽減。市販の各種PEEKパウダーと比べ、ソルベイの材料は水分含量が少ないことから、サイクルタイムの短縮とスループットの向上が可能で、乾燥時のエネルギー消費も低減する。その他のメリットとしては、ガス放出・寸法公差・表面欠陥の低減などが挙げられる。
2020年2月21日
ソルベイは医療機器部品構造体向けに「Xencor LFT(ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂)」を展開している。
「Xencor LFT」コンパウンドは、構造用途に適した高い強度と優れた耐衝撃性能を提供する。医療用部品構造体に使われてきた金属や、従来の短繊維強化熱可塑性樹脂に取って代わるもので、医療機器設計者とメーカーに新たな展開をもたらす。その典型的な用途は筐体やギアシステムなど、高度な機械特性と耐荷重性能が求められる部品だ。
同社は引抜成形により、連続して高度に配向したコンパウンドを製造。高温条件下での機械特性の保持性能に優れ、非常に低いクリープ、優れた耐疲労性を付与し、美しい表面仕上げを可能にする。ポリマーの種類とグレードによって、長繊維強化材が30%から60%含まれる。
同コンパウンドが金属に勝る点は、より軽量になり、設計の自由度が高まり、優れた耐薬品性が得られ、生産が効率化されること。こうしたメリットは、最近、Stavjelo社が初の完全樹脂製Eバイクを開発したことで実証されている。
この開発に必要とされた技術的要件は、医療機器にも応用可能なものだ。「Xencor LFT」製品群は、ソルベイの半結晶性樹脂材料グレードで構成されている。
2020年2月13日
BASFはこのほど、ソルベイのポリアミド(PA66)事業の買収を、1月31日付で完了したと発表した。これにより、BASFのポリアミドのポートフォリオに、市場での認知が高い「テクニール」などの製品が追加され、事業がさらに強化される。
また、自動運転やe‐モビリティなどの分野で、より優れたエンジニアリングプラスチックスソリューションによって、顧客を支援することが可能になる。さらに、アジア・北米・南米の成長市場へのアクセスも強化される。
主要原料であるアジポニトリル(ADN)からの一貫生産により、BASFはポリアミド66のバリューチェーン全体を強化し、供給信頼性を向上することができる。同社が取得したポリアミド事業の購入価格は、現金と負債を含めない状態で 13億ユーロ。同事業の2018年の売上高は約10億ユーロだった。同事業はパフォーマンスマテリアルズとモノマー事業本部に統合される。
今回の取引には、ドイツ・フランス・中国・インド・韓国・ブラジル・メキシコの8つの生産拠点のほか、アジア・北米・南米の研究開発拠点と技術サポート拠点が含まれる。フランスの2つの合弁会社も含まれ、ソルベイがインビスタと共同で、ADNとヘキサメチレンジアミン(HMD)を生産する合弁事業ブタシミーの50%のシェア、BASFとドーモ・ケミカルスが共同でアジピン酸を生産する、新しい合弁事業アルサシミーの51%のシェアをBASFが取得する。
買収完了に伴い、ソルベイの社員約700人がBASFに移る。なお、フランスの合弁事業アルサシミーには約650人、合弁事業ブタシミーには約400人が在籍している。
BASFは2017年9月に、関連する競争当局の承認を条件に、ソルベイのグローバルでのポリアミド事業を買収する契約を締結した。昨年1月18日、欧州委員会は一定の条件の下で、ポリアミド事業の買収を承認。この条件により、当初の取引対象の一部である、欧州のソルベイの生産工場とエンジニアリングプラスチック分野のイノベーション・コンピテンシーを、第3者に売却する必要性が生じた。
その後、ドイツのドーモ・ケミカルスが欧州委員会から買い手として承認され、ソルベイとドーモ・ケミカルスの取引が1月31日に完了した。