ダイセル 東大発ベンチャー子会社に、有機半導体デバイスを事業化

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2020年1月15日

 ダイセルは14日、東京大学発ベンチャーのパイクリスタルが発行する株式を取得し、子会社化したと発表した。

 今後のAI/IoTの急速な成長に対応するため、ダイセルの材料開発力・生産技術とパイクリスタルの最先端技術を融合し、有機半導体デバイス(集積回路・センサー)の量産体制を速やかに整え、事業化を加速する。さらに、同事業をプラットフォーム化し、センシングビジネスへ事業領域を拡大する。

 ダイセルは印刷技術を使って電子回路やデバイスを形成する「プリンテッド・エレクトロニス」を注力分野の1つと定め、銀ナノインクや積層セラミックコンデンサ(MLCC)用溶剤、有機半導体インクなどを開発し、各社と協業しながら事業拡大を図ってきた。

 パイクリスタルは世界でも最先端の技術を有し、高い安定性と性能を持つ有機半導体単結晶の成膜技術を独自開発し、この技術を核として、フィルム状でフレキシブルかつ薄型の有機半導体デバイスを開発・製造・販売。また、実用レベルの有機半導体CMOS回路の作成に初めて成功し、アクティブマトリックス駆動用のTFT回路、センサー付きRFIDタグも開発した。

 両社はパイクリスタル設立の2013年から、ダイセルの開発した材料や製品を、パイクリスタルの有機半導体デバイスに活用するための共同開発を進めてきた。2018年6月には、ダイセルはパイクリスタルへ出資し、さらに協業関係を深めながら、有機半導体デバイスの量産に関しても共同で検討している。

 今後、両社は有機半導体デバイスの事業化に向け、量産体制の確立を進める。また、有機半導体デバイスの開発・マーケティング活動を加速し、新たなソリューションを提案していく。

ダイセル・コマツNTC 「ぎらつき度合の求め方」がJISに制定

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2019年12月24日

 ダイセルはこのほど、コマツNTCと共同開発したディスプレイ上のぎらつき現象の測定方法が、今月20日付で日本産業規格(JIS)「ディスプレイのぎらつき度合の求め方」(規格番号JIS C 1006)として制定されたと発表した。

 ぎらつき現象とは防眩加工されたディスプレイ表面の凹凸構造が、ディスプレイから出る光を拡散させて、画面がちらついて見える現象のこと。ダイセルがぎらつきを数値測定する方法の規格化として日本規格協会に提案し、「新市場創造型標準化制度」を活用することにより、世界で初めて規格制定された。

 これまで、ぎらつきの度合いは人間の感覚(熟練者の経験・感性)によって判断されていたが、ダイセルはコマツNTCと共同で、ぎらつきを数値測定する方法と装置を開発した。この装置は「ギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法」(特許番号6294904)として特許登録されており、この特許については、非差別的かつ合理的な条件で許諾する「RAND宣言」をしている。

 なお、新市場創造型標準化制度は、優れた技術で新市場の創造または拡大が見込まれるものの、既存の規格ではその適切な評価が難しく、普及が進まない技術・製品について、所定の条件を満たす場合は、従来の業界団体による原案作成を経ずに、経済産業省が規格の制定を支援する制度である。

 ダイセルは長年にわたりフィルム事業を展開しており、近年は様々な特性を付した機能フィルム事業に注力している。このうち、独自技術で開発した相分離性防眩(AG)フィルムは、カーナビゲーションシステムなどの車載モニターやスマートフォン、タブレット端末などのディスプレイに使われ、ぎらつきを抑えて画面を見やすくする機能を持っている。

 今回の規格制定により、ぎらつき防止性能を持つAGフィルムなどの製品開発や品質保証が効率化され、目にやさしいディスプレイ市場の活性化が期待される。ダイセルは今後も、ユーザー価値向上を目指したAGフィルムなどの機能フィルム製品の技術開発・品化を行っていく。

ダイセル・北大 AD予防に植物性セラミドの有効性を発見

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2019年12月23日

 ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である植物性(こんにゃく由来)のセラミドが、アルツハイマー病(AD)の発症を予防する効果を持つことを発見したと発表した。

 こんにゃくセラミドは全身のうるおいを保つ効果を持ち、美容サプリメントや飲料などに使用されている。ダイセルと北大は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、こんにゃくセラミドなど、同社の機能性食品素材の効能を研究してきた。そして今回、北大の五十嵐靖之招聘客員教授、湯山耕平特任准教授らとの研究により、こんにゃくセラミドにAD発症の予防効果があることを発見した。

 ADの発症は「アミロイドβペプチド(Aβ)」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとされる。五十嵐教授らのグループは、Aβが「エクソソーム」という物質と結合することで分解・除去されることを解明してきた。

 今回の研究では、Aβが過剰に発現したマウスに対し、こんにゃくセラミド1日1㎎の経口投与を2週間継続したところ、血液・脳内のエクソソーム量の上昇などが確認され、こんにゃくセラミドに神経細胞由来のエクソソーム分泌を促す作用があることを確認。さらに、増加したエクソソームがAβを分解・除去し、脳内のAβ濃度が低下して、短期記憶の改善効果が認められた。

 こんにゃくセラミドは、AD発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。両者は今後、さらにヒト介入試験により、こんにゃくセラミドの認知機能改善効果について検証していく予定だ。

 なお、この研究の成果は、11月14日公開の「Scientific Reports誌」に掲載された。ダイセルは今後も、社会的課題の解決に貢献する素材を提供していく考えだ。

ダイセル 人事(2020年1月1日)

2019年12月17日

[ダイセル・人事](2020年1月1日)▽リサーチセンタービジネスモデル調査グループリーダー、同センター長補佐堀信介▽同センター研究開発グループ主席部員須貝幸廉▽同センター事業化調査グループリーダー、同センター長補佐小杉教之▽事業支援本部総務・秘書グループリーダー、同本部法務グループリーダー林一郎▽同本部総務・秘書グループ主幹部員松山房喜▽特機・MSDカンパニーMSD技術開発センター商品開発室主席部員吉田諭▽同カンパニー特機事業部第二生産部長、同カンパニー同事業部グローバルガス発生剤統括室主任部員兼ダイセル・セイフティ・システムズ第一工場主任部員井河原勲(2020年2月1日)▽サステナブル経営推進室Gr企業統括グループ主任部員望月靖。

ダイセル 役員人事(2020年1月1日

2019年12月17日

[ダイセル・役員人事](2020年1月1日)▽生産本部長、常務執行役員大竹工場長上野貴史▽MAC‐Cプラントおよび1,3BGプラント建設プロジェクト担当、常務執行役員姫路製造所長兼同製造所網干工場長協同酢酸社長白子直秀▽生産本部副本部長、執行役員デジタル戦略室担当レスポンシブル・ケア室担当エンジニアリングセンター担当事業創出本部長補佐飯山尚志。

ダイセル 組織改正(2020年1月1日)

2019年12月17日

[ダイセル/組織改正](2020年1月1日)▽リサーチセンター「戦略企画グループ」を「ビジネスモデル調査グループ」に改称する▽リサーチセンター「事業化推進グループ」を「事業化調査グループ」に改称する。

ダイセル 人事(2020年1月1日)

2019年12月5日

[ダイセル・人事](2020年1月1日)▽事業支援本部総務・秘書グループ主任部員石本大祐▽姫路製造所網干工場エネルギー部担当リーダー宮田浩行▽解兼同製造所同工場同部担当リーダー、同製造所同工場同部長安見諭▽大竹工場エネルギー部担当リーダー春日晋一▽ダイセル物流安全品質推進部長兼同社同部安全品質共育センターセンター長森口哲博。

ダイセルの4-9月期 全セグメントで事業環境が悪化

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2019年11月5日

 ダイセルは1日、2019年度上期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比10%減の2107億円、営業利益は40%減の179億円、経常利益42%減の187億円、純利益は48%減の117億円となった。経済環境の悪化もあり、その他を除き、すべてのセグメントで減収減益となった。

 セグメント別にみると、セルロースは売上高10%減の378億円、営業利益は26%減の63億円。フィルター用途の酢酸セルロースの販売数量が大幅に減少した。有機合成は売上高9%減の411億円、営業利益24%減の54億円。主力製品の酢酸と合成品は、中国景気の減速の影響を受け減収減益となった。

 合成樹脂は、売上高6%減の845億円、営業利益2%減の117億円。エンジニアリングプラスチックス事業は、中国の景気減速による自動車やスマートフォンの需要低迷の影響を受けた。火工品は、売上高24%減の423億円、営業利益76%減の23億円。インフレーターの販売数量が自動車の生産台数減少の影響を受けたこと、他社のリコールが終息に向かっていることから販売数量が減少した。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高は前回予想比300億円減の4310億円、営業利益は同70億円減の360億円、経常利益は同70億円減の380億円、純利益は同50億円減の215億円に下方修正を行っている。

ダイセル 米社と天然由来1,3‐BGの独占販売契約を締結

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2019年11月1日

 ダイセルはこのほど、米ジェノマティカと、同社が製造する天然由来の1,3‐ブチレングリコール(1,3‐BG)である「ブロンタイド」のアジア太平洋地域での独占販売契約を締結した。

 1,3‐BGは保湿性や肌触り、抗菌性の向上のため、化粧品などパーソナルケア製品に使用されるほか、植物エキスや香料向けの抽出材としても広く使われている。通常の1,3‐BGは石油原料から製造されるが、ジェノマティカの「ブロンタイド」は、市場で高まる天然物由来製品へのニーズに応えるため、植物原料を使用した。

 ダイセルは2017年12月から、アジア太平洋地域での「ブロンタイド」のプレマーケティング活動を行ってきた。その結果、数多くの問い合わせがあり、潜在顧客が相当数に及ぶと見込まれること、今年1月にジェノマティカが「ブロンタイド」の大規模な商業生産を開始したことから、両社の関係をさらに強化し、ダイセルが「ブロンタイド」を独占販売する契約を締結することにした。

 今後、ダイセルはアジア太平洋地域で、将来的には年間数千tを目標に、「ブロンタイド」の販売活動を行う。植物原料由来の1,3‐BGの販売拡大によって、より幅広い市場ニーズに対応するとともに、グリーンサステナブルケミストリー(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学)の実現に貢献していく。