ダウ 蘭社と原料供給で合意、プラごみ油からポリマーを生産 

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2019年9月9日

 ダウはこのほど、オランダのフエニクス・エコジー・グループと、リサイクル済みのプラスチックごみから作られた、熱分解油の原料供給に関して合意したと発表した。この原料はオランダのテルヌーゼンにあるダウの生産設備で、新しいポリマーを生産するために活用される。

 今回の合意は、さまざまな種類が混ざったプラスチックごみを精製して元の姿に戻し、新しいポリマー(バージン材)の生産に使う、原料リサイクルに向けた大きな一歩となる。熱分解油を元に生産されたポリマーは、従来の原料由来のものと同一製品であるため、食品包装を含む、これまでと同様の用途で使うことができる。

 この合意は資源の効率性に着目し、リサイクル製品と再生原料を生産プロセスに統合することで、循環型経済への移行を実現するという、ダウの戦略の1例である。これにより、消費者の使用済みプラスチックも、その価値を保ち続けることができる。

 また、この合意は、2025年までにEU地域で販売されるダウのプラスチック製品に、少なくとも10万tのリサイクル済みプラスチックを使うという、ダウのコミットメントにも貢献する。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティプラスチック事業部のディエゴ・ドノーソ・プレジデントは「プラスチックは循環型経済の一部でなければならないと考えている」と述べ、南米でパートナーとリサイクル済みプラスチックを使った建築資材を学校の建設向けに開発し、東南アジア・メキシコ・米国では、リサイクル済みプラスチックを使った道路舗装を進めていることを紹介。

 フエニクス社とのパートナーシップは「循環型ポリマーを持続可能に生産するという、私たちが想像する未来を現実にするための大きな一歩」と評価している。

 同社は10月16~23日にドイツ・デュッセルドルフで開催される、世界最大のプラスチックとゴムの展示会「K2019」で、リサイクル製品のポートフォリオを展示する計画だ。

ダウ 再生プラプロジェクトで「チェンジ・ザ・ワールド」に選出

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2019年8月27日

 ダウは26日、フォーチュン誌の2019年度「チェンジ・ザ・ワールド」リストに選出されたと発表した。

 同リストは利益を生む戦略や事業を通じて、社会または環境に重要なインパクトを与えた52社を選出するもの。同社の持続可能なソリューションを推進する長年の取り組みの一環として実施した、プラスチックごみを削減するための再生プラスチックを用いた道路舗装の試験プログラムが評価され、26位に選出された。

 同社はバリューチェーンパートナーと協働し、アジア・欧州・北米・南米で再生プラスチックを使い、約100kmのアスファルト製道路を舗装。このプロジェクトでは、同社の「ELVALOY RET」アスファルト改質技術も一部使用され、廃棄する代わりに約200t(5000万個の軟包装パウチに相当)のプラスチックが活用されている。

 多くの場合、ポリマーが改質された道路は、通常のアスファルトと比較し天候や車両による腐食に強く、危険な道路のくぼみを防ぎ、交通渋滞も防ぐことができる。ダウは、「プラスチックごみには価値があり、新しい製品やエネルギーに転換することができる」と考えている。

 プラスチック道路に加え、南アメリカでは主要なパートナーと共に、再生プラスチックを用いて建築材料を開発し、コロンビアで学校を建設するプロジェクトを推進。また、ケミカルリサイクル技術をスケールアップし、再生プラスチックごみを原料に戻し、新製品を作る技術開発の最先端にいる。

 プラスチックごみをリユース、リサイクル、リパーパス(別のものに再利用)する新しいアイデアを創造することで、ダウとダウのパートナーは、革新的な循環型経済のソリューションの開発を先導している。

ダウ 東京オリンピック関連施設に材料科学技術を提供

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2019年7月29日

 ダウは、オリンピックのワールドワイドパートナーおよび「公式化学会社」として、東京2020オリンピック主要施設に断熱やシーリング、接続ケーブルや電線などのコーティングや保護で業界トップクラスの技術を提供し、オリンピックに貢献している。

 オリンピック・アンド・スポーツソリューションズ事業部のマイク・リード副社長は、「オリンピック競技大会は、選手たち自身が最高のパフォーマンスを出せるよう挑戦する機会になるだけではなく、彼らの存在がインスピレーションとなり、ビジネスの通常の枠を超えて前向きな変化を生み出す原動力となる。ダウはスポーツを出発点として、ニーズを理解し、かつ革新的な材料科学技術を提供することで、より良いオリンピック競技大会を築くべく貢献した」とコメント。

 同社はオリンピックに関連する新規・仮設施設の建設、そして東京1964オリンピック大会の際に使用された施設の改修など、顧客企業とともに様々な製品技術の導入を進めてきた。これらの協働は、CO2排出量を抑えながら高水準のインフラの建設を実現するなど、スポーツの枠を超えた社会変化を生むことにもつながっている。

 なお東京2020オリンピック競技大会では、合計で43(新設8、前回大会の改修25、仮設施設10)の施設が活用される。同社は採用された製品技術の例として、ポリウレタン、コーティング用水性アクリル樹脂、グリコールエーテル溶剤、ポリエチレン樹脂、電線・ケーブル向けポリオレフィン樹脂などを挙げている。

ダウ 東アジアを対象に「カーボンチャレンジ賞」創設

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2019年7月4日

 米国の大手化学メーカーのダウはこのほど、米国グリーンビルディング協議会(USGBC)と「カーボンチャレンジ賞」を創設した。

 通常以上のCO2排出量の削減と、エネルギー効率の向上を実現した東アジアのオフィスビルと商業施設に授与する。建物の運用時のCO2排出量削減を促すことで、建築物の増加に対応することを目指す。

 カーボンチャレンジは、標準的な方法論をもとに、1年間のスコープ1排出量(所有または管理する発生源からの直接的な排出)と、スコープ2排出量(調達エネルギー減からの間接的な排出)に基づき評価する。

 今回は、特に高層ビルの建築が進む、日本と韓国、大中華圏(中国本土・台湾・香港・マカオ)にある2万㎡以上のオフィスビルと商業施設を対象とした。2020年以降に他の地域でも実施することを検討している。

 全てのデータはUSGBCのArcシステムで検証される。申請期限は8月31日。詳しい情報と提出フォームは、www.Carbon―challenge.comに掲載されている。

ダウ チャイナプラスで持続可能なソリューションを発表

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2019年5月21日

 ダウは20日、中国・広州で開催されるチャイナプラス 2019(21~24日)で、新たなブランドメッセージである「Seek Together(共に探そう)」のもと、包装、インフラストラクチャー、コンシューマー、輸送という消費者主導の4つの市場セグメントに関する革新的で持続可能な8つのソリューションを発表する。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチックのアジア太平洋コマーシャル・バイスプレジデントであるバンバン・キャンドラ氏は、「プラスチックが循環経済に不可欠なものとなり、ライフサイクルを通じて価値を保ち続ける未来を思い描いている。チャイナプラス2019で紹介するイノベーションは、そのビジョンの実現に向けた道筋を示すものだ」とコメントしている。

 今回の展示の中で、各セグメントでは、革新的な包装素材による日常生活に不可欠な食品や消費財の保護、持続可能な材料を使用した建造物の建設、素材化学を通じたケアによる消費者の幸せと健康増進への寄与、輸送業界への安全で持続可能な製品の提供と人々の安全な輸送の実現、といった日々の生活をより良くするための取り組みを紹介する。

 

ダウ ダウ・デュポンからの分割を完了、新生ダウを始動

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2019年4月3日

 ダウは1日、ダウ・デュポンからの分割を完了し、新たに「ダウ」というブランド名で事業展開すると発表した。これにより、新生ダウは素材科学の事業分野で、より焦点を明確にした主導的地位をもつ企業となった。

 今回の分割により、ダウは包装、インフラ、コンシューマー・ケアといった3つの魅力的な消費者けん引型の分野で、グローバル規模の主導的な地位を確立する。そして、業界でも最も深く統合されたエチレン、プロピレン、シリコーンといった3つの基礎原料を活用し、収益成長をより加速することが可能なより良い位置につき、顧客のためのさらなるイノベーションを実現する。

 ジム・フィッタリングCEOは、「今回の分割により、私たちは、ダウのポートフォリオ、コスト構造そしてマインドセットに重大な変化を刻んだ。新生ダウは、業界をけん引する素材科学会社としてより焦点が明確かつ効率的な企業であり、かつすべてのステークホルダーに対して長期的な利益成長と価値創造を提供するための確かな戦略がある」とコメントした。

 新会社は、「ダウ」というブランド名で事業を展開する。これは、素材科学でのソリューションプロバイダーとして全社的な革新を反映しながらも、これまでの歴史的遺産を生かすもの。

 ダウは新しいコーポレートブランドとして「Seek Together(共に探そう)」を採用。これは、顧客とバリューチェーンに対し、イノベーションとソリューションを提供するためのコラボレーションの価値を強調する行動への呼びかけを示し、ダウがすべてのステークホルダーと協働して理念を叶える姿勢を表している。

 120年以上にわたりダウのロゴとして存在してきた象徴的なダウダイヤモンドは変更されず、今後もダウブランドの中核的要素となる。

 

ダウ 埋め立てゴミ転用し自社施設の道路を整備

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2019年3月12日

 ダウ・ケミカルはこのほど、米国テキサス州フリーポートの自社施設内に、消費者使用後の再生プラスチック(PCR)で改良を加えた、新たなポリマー改質アスファルト(PMA)道路を2本建設したと発表した。

 世界で消費されるプラスチックを削減し、イノベーションを通じた循環型経済の実現を目的とした取り組みの一環として行われたもの。2本の道路は、それぞれ「プラスチックロード」「ガルフストリームロード」と名付けられ利用されている。

 今回のプロジェクトには、デュポン社のアスファルト改質剤「エルバロイ」が用いられた。また、使用した再生直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)は760キロ以上で、レジ袋約12万枚分の重量に相当し、2本あわせて総延長800メートルに及ぶPMA舗装道路を建設した。

 グローバル建築分野サステナビリティリーダー兼パッケージング&スペシャルティ・プラスチック事業部インフラ・建設分野マーケティングマネジャーを務めるジェニファー・リー氏は、「現在、多くの人にとって循環経済という概念は非現実的なものかもしれない。しかし、性能向上やコスト節減によって、持続可能な社会への取り組みをいかに実現していけるかが知れ渡れば、循環型経済の実現可能性は一段と高まっていく」との見解を語った。

 同社がPMAプロジェクトとして、これまでに整備してきたPMA舗装道路の距離を合計すると42キロメートル以上になるという。その結果、ゴミとして埋め立てられる100トンにのぼる廃棄物が、道路建設に転用されたことになる。

 ダウの研究者は、今回のプロジェクトでのPMA道路の寿命や性能をモニタリングし、さまざまな気象や条件の下でも使用に耐え得るよう、さらなる改良を行っていく考え。また現在、米国ミシガン州ミッドランドにある本社施設の駐車場でも、次世代型の再生プラスチック混合物を使用したアスファルト改修工事を計画している。

ダウ 「パッケージング イノベーション賞」の応募を開始

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2019年2月18日

 ダウは15日、2019年度パッケージング イノベーション賞の応募を開始したと発表した。同社のホームページ(Dow Packaging Innovation Awards website)を通じて、3月29日まで応募を受け付けており、日本語での対応も可能となっている。

 この賞は、30年以上前に米国デュポン社により設立された世界的に認められた包装関連の国際的な賞であり、ダウが引き継いでから開催されるのは今回で2度目。同賞は、業界における最も古い歴史のある賞であり、第三者による審査が行われる。

 これまでと同様に、同社は世界中より、設計、エンジニアリング、リテール、Eコマース、コンバーターおよび学会における幅広い分野の独立した専門家による審査委員会を設立。昨年度のプログラムにおいては、30カ国以上から200を超える応募があり、その中から9件のダイヤモンド賞最終候補、8件の金賞、11件の銀賞が選ばれた。ダイヤモンド賞最終候補から、省エネおよびユーザー体験の向上が評価されて、プロクター&ギャンブル社の「エアロフレックス リキッド パッケージング技術」がダイヤモンド大賞に選ばれている。

 なお同プログラムへの参加費用はかからず、また、応募対象製品にダウまたはデュポンの関連材料が使われている必要もない。2015年以降、1年以上にわたり上市されている製品が応募条件だが、詳細はホームページ(英文)を参照(日本語での問い合わせ先は、03‐5460‐2353まで)。

ダウ 海洋プラごみ削減を推進しAEPWで主導的な役割

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2019年1月23日

 ダウは、環境、特に海洋におけるプラスチックごみを削減するための解決策の推進を目的に構築された、世界各国の企業による新たなアライアンスである「Alliance to End Plastic Waste(AEPW:プラスチック廃棄物を除去するためのアライアンス)」において、創設メンバーとなり主導的な役割を果たしている。

 AEPWは、プラごみの処分方法を開発するとともに、プラ再利用の解決策を促進するために10億ドル以上を調達して新たに設立された非営利組織であり、今後5年間でさらに15億ドルまで基金を増額することを目標にしている。

 AEPWは、化学・プラスチック企業、消費財企業、小売企業、コンバーター企業、廃棄物処理企業を含むプラスチックおよび消費財のバリューチェーンに関わる世界中(南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中東地域)のグローバル企業や組織など約30社で構成。また、「The World Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議)」と戦略的パートナーシップを締結している。

 AEPWは、①廃棄物の処理収集およびリサイクル向上のためのインフラ開発②プラ回収とリサイクルを容易にし、すべての使用済みプラから価値を生み出す新しい技術を進展させ、スケールアップするためのイノベーション③政府、企業、地域社会が行動を起こし、参画することを目的とする教育とエンゲージメント④地上のプラごみが海洋に流出する河川など、特にごみの主要水路となるような環境のうち、すでにプラごみが集中している場所の清掃の4つの分野に投資を行い、発展を促進する。

 ジム・フィッタリングCEOは、「世界的に重要なこのような課題を解決するためには、多様なステークホルダーが集まるグループによる多様な解決策が求められる。AEPWは、世界で最も革新的なアイデアを集結させることにより、解決策を探求、開発、実行することが可能になるだろう」と述べている。

ダウ 世界規模の海洋プラスチック防止活動へ投資

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2018年12月18日

 ダウはこのほど、プラスチックごみの環境への混入防止・是正を図るため、新たなグローバル・イニシアチブとソリューションへ、さらに投資し発展させていくことを発表した。このイニシアチブは、インドネシア・バリ島で開かれた「アワ・オーシャン(Our Ocean)会議」に併せて発表されたもの。

 同社はペプシコやプロクター&ギャンブルなど、他の主要な世界的企業とともに、海洋プラごみを防止する企業とインフラを育成・資金支援するために、創設投資家として投資管理会社「サーキュレート・キャピタル」の活動に取り組む。

 また同会議でダウは、東南アジア諸国での廃棄物回収とリサイクルを支援するために、今後2年間でさらに100万ドルを「オーシャン・コンサーバンシー」へ寄付することも発表した。この資金は、実現性を伴うソリューションを開発・拡充・展開するために、現地のNGO(非政府組織)の能力拡大プロジェクトや、都市部のリーダーとのパートナーシップ構築に向けたプロジェクトに活用される。

 サーキュレート・キャピタルの活動は、廃棄物管理とリサイクル業界に対する投資の有効性を立証することを目的としている。機関投資を促すことで、南アジアや東南アジア全体へ、同業界での統合型の企業とインフラが広がる可能性を高めていく。同地域は、廃棄物問題を管理するために不可欠なインフラが欠如しており、地域の規模以上に海洋プラスチック汚染を発生させていると考えられている。

 サーキュレート・キャピタルの投資モデルでは、リスクを軽減すると同時に、資源回収業界への投資が最終的に魅力的な投資リターンを実現できることを立証するために、譲許的資金や、慈善事業と相場の投資資本を融合させた財務構造を通して、機関投資家の資本を調達することを目指している。サーキュレート・キャピタルは、世界を代表する様々な消費者向け包装品会社と化学会社から、総額1億ドルを調達することを見込む。

 また、「オーシャン・コンサーバンシー」は、今日最大の世界的課題から海洋を保護するために取り組む組織。各地のパートナーとともに、健全な海洋やその環境に依存する野生動物とコミュニティーのために、科学に裏付けられたソリューションを生み出している。