独ランクセス 米マサチューセッツ大との連携を強化

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2018年10月23日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスはこのほど、同社のウレタンシステムズ(URE)ビジネスユニットが、米国マサチューセッツ大学アマースト校の産学共同高分子研究センター(CUMIRP)との研究プロジェクトへの参加期間を延長するとともに、その範囲を拡大することを決定したと発表した。

 これにより、同ユニットは今月から、これまでの研究分野に加え、高分子複合材の力学と高度生産に関する研究、クラスターMにも参加する。

 このクラスター研究の分野の1つに、積層造形の技術革新と次世代3Dプリンティングの構築がある。この取り組みは、優れた界面強度を持ち、焼結度または反応速度が高い樹脂の生成に重点を置いており、積層造形はランクセスのUREビジネスユニットの戦略の焦点となっている。

 また、CUMIRPのクラスターMは、次世代素材の構造・過程・物性関係について理解するとともに、処理能力を同時に向上する新たな処理方法あるいは添加剤、工学的物性の開発に取り組んでいる。同クラスターは、ここ数年間、このノウハウを添加剤の新材料開発に応用することに焦点を当てている。

 同ユニットのグローバル研究開発部長であるポリーナ・ウェア博士は「この連携により、ランクセスとマサチューセッツ大学との関係が全面的に強化され、長い目で見れば最高の人材を獲得するためにも一役を担うだろう」と述べている。

独ランクセス DMTD誘導体の合成用製造ラインを新設

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2018年10月1日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは28日、マンハイム拠点で、ジメルカプトチアジアゾール(DMTD)誘導体の合成用の新製造ラインを新設すると発表した。

 DMTD誘導体は、潤滑剤に添加される多機能特殊添加剤。今年5月に新設した製造ラインを新たにDMTD誘導体の製造にあてることで、これらの特殊添加剤の年間製造能力を倍増させる。投資額は数百万ユーロ。

 DMTD誘導体は、主に銅やニッケル、コバルトなど、いわゆる非鉄金属を含む合金鋼と接触する、潤滑油用の腐食防止剤として使われる。合金から非鉄金属イオンの溶出を防ぎ、活性の高い化学品から金属表面を保護することで、合金鋼の機能の保持と長寿命化を実現する。また、高圧・極端な状況下で金属面が相互に接触する場合でも、DMTD誘導体は金属表面に付着し、潤滑油として機能する。

 このため、DMTD誘導体は腐食防止機能に加え、極圧添加剤とも呼ばれている。さらに、これらの添加剤は潤滑油内で活性の高い化学品の分解生成物と反応し、吸収することで分解生成物が長期間、素材にダメージを及ぼすことを防ぐ。これらの多機能添加剤の主な用途は工業用油、グリース、金属加工油である。

 アディティブスビジネスユニットの潤滑油添加剤ラインの責任者であるマーティン・ ゼーヴェ氏は「新しいプラントは、高品質の潤滑油添加剤のニーズに応えるだけでなく、新たな顧客獲得に貢献し、また急速に成長する市場に対応する、ランクセスのパッケージ添加剤のさらなる開発にもつなげていく」と述べている。