生き残るための変革が急務、石化再編は正念場へ
わが国化学産業は、「ありたい姿」に設定した2030年に向け、ターニングポイントを迎えている。コロナ禍を経て様々な課題が浮き彫りとなったこと受け、
2024年8月9日
2024年8月9日
石化とヘルスケアの収益性を向上、ROEも高み目指す
三井化学は、事業環境の変化を踏まえ、長期経営計画「VISION 2030」(2021~2030年度)の戦略見直しに取り組む。マイルストーンの2025年度コア営業利益目標2000億円に対し、2024年度は1250億円を見込んでいるものの、達成が難しく見直しが必要な状況にある。中でも、石油化学事業は製品市況の悪化を受けて2023年度は赤字に転落し、期待するオーラルケア事業も米国市場の開拓が遅れるなど、各領域で収益改善が急務。加えて、長計目標の達成に不可欠な次世代ビジネスの創出についても、ドライブをかける必要がある。橋本修社長に、成長軌道への回帰に向けた方策について話を聞いた。
2023年度は非常に厳しい環境だった。特に石油化学事業を中心とするベーシック&グリーン・マテリアルズ(B&GM)は、中国のオーバーサプライ問題で需給が緩み、市況悪化が長期化している。ここまで中国での増設が続くことは誤算であり、石化事業は不可逆的な構造変化が起こった前提に立ち、戦略を変更していく必要がある。また、
2024年1月5日
新たな収益源の創出に注力、石化再編の機運も上昇
わが国化学産業は、汎用分野、高付加価値分野とも厳しい状況が続いている。国内では、インバウンドやサービス需要が戻りつつあるものの、原燃料価格の高止まりや円安進行が物価高を引き起こしており、消費者の買い控えが続いている。海外では、中国の景気低迷の影響によりアジア全体の石化製品の需要が盛り上がらないことに加え、金利引き上げが欧米経済の重荷になっている。対面市場では、自動車分野は生産台数の増加に伴い、関連製品が回復傾向にあるのに対し、半導体はデバイスの落ち込みを背景に、メモリを中心に在庫調整が続いている。今年は事業環境の改善が期待されているものの、各社にとって新たな収益源となる事業の創出が大きなテーマになりそうだ。一方、カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素化に向けた動きが加速している。バリューチェーン全体でCO2排出削減への取り組みが進むとともに、原燃料のバイオマスへの転換や、プラスチックのケミカルリサイクルといった実証事業が活発化する。
こうした中、石化事業は、中国の能力増強計画による輸出環境の悪化に加え、環境対策も重荷となり、コンビナートの構造改革が求められている。センター各社の間でも再編の機運が高まっており、今年は何らかの方向性が打ち出されることが想定される。今回の新年特集号では、化学業界を代表する首脳の方々に、生き残っていくための戦略について話を聞いた。
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◇特集インタビュー◇
旭化成 代表取締役社長 工藤幸四郎氏
▽変化への対応と自らの変革がテーマ、成長基盤を構築
三井化学 代表取締役社長 橋本 修氏
▽2万人のリソースをフル活用、変革に粘り強くチャレンジ
積水化学工業 代表取締役社長 加藤慶太氏
▽長期ビジョン実現に向け成長を加速、挑戦する姿勢が重要
東ソー 代表取締役社長 桒田 守氏
▽スペシャリティの利益拡大に注力、安全対策も重要課題
JSR 代表取締役CEO兼社長 E・ジョンソン氏
▽半導体材料業界の競争優位性に一石、非公開化で成長強化
東亞合成 代表取締役社長 髙村美己志氏
▽川崎新研究所を事業創出拠点に、研究と営業の垣根なくす
2023年8月10日
代表取締役社長 橋本 修氏
30年以降に向け新領域・技術を探索、CNは連携深め加速
2030年をターゲットとする長期経営計画「VISION 2030」の達成に向け、ソリューション型ビジネス、サーキュラーエコノミー型ビジネスへの転換を進める三井化学は、その取り組みを加速させている。昨年4月に新設した未来技術創生センターは、2030年以降に目指す同社のあるべき姿を描き、新たな事業領域候補に3つの新領域を選定、研究開発に取りかかった。2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に対しては、京葉(千葉県)、堺・泉北(大阪府)各コンビナートでのCN構想を打ち出し近隣会社との連携を促す。激変する事業環境にどう立ち向かっていくのか、その成長戦略を橋本社長に聞いた。
━モビリティ領域が好調です。
2023年1月5日
2023年1月5日