【ベンチャー企業との共創】東京大学 大学院 菅教授

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2023年3月30日

東京大学 大学院 理学系研究科化学専攻 教授  菅 裕明氏

スタートアップが新たな産業を創出、リスク取り育成に舵

 菅裕明氏は2006年、自身が開発した人工RNA触媒「フレキシザイム」により合成される人工的なペプチド「特殊環状ペプチド」を活用した独自の創薬技術をもとに、共同創業者のひとりとして東京大学発の創薬ベンチャー、ペプチドリームを起業した。

 世界の大手製薬メーカーが注目する創薬技術をライセンスアウトし、共同開発を進めるビジネスモデルで、同社は大きく成長を続けている。2017年には、次世代バイオ医薬品開発のミラバイオロジクスを創業。特殊環状ペプチドを任意のタンパク質に付加する技術を共同開発し、創薬分野に貢献する新たな選択肢を開拓した。

 今年2月、両ベンチャーの基盤技術となっている「生物活性ペプチドの創製を革新するRNA触媒の開発」に対する業績により、国際的に卓越した科学者に与えられるウルフ賞化学部門を受賞した。一方で、私財を投じ、生命科学・生命化学分野の研究活動を支援するLeaP(リープ)科学財団を設立し、将来を担う人材育成に取り組むほか、エンジェル投資家として、スタートアップの育成にも力を注ぐ。

 現在、菅氏は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員、日本化学会会長を務めるなど、日本の科学技術や化学産業、アカデミアを幅広く俯瞰できる職務にも携わる。ベンチャーが産業に果たす役割は何か、ベンチャーの育成・成功に必要な要素とは。研究者、アントレプレナー(起業家)、投資家といった多彩な顔をもつ菅氏に聞いた。

  ━ペプチドリームとミラバイオロジクス、2つの創薬ベンチャーを立ち上げたご経験をおもちですが、起業に至った思いとは。

 私が米国で学生、ポスドク(博士研究員)、准教授と過ごした1990年代から2000年代初頭の話だが、

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