《化学企業トップ年頭所感》日鉄ケミカル&マテリアル 榮敏治社長

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2021年1月12日

 昨年はコロナの1年だった。景気の急減速で、上期は経常赤字37億円となった。下期は回復基調だがコールケミカル事業は厳しく、化学品事業も需給環境が依然厳しい。機能材料事業と複合材料事業は好調な半導体需要と増能、拡販、価格改善でおおむね順調で、新規事業MCNDも出荷を開始し、全社で通期黒字化に取り組んでいる。

 生活スタイルも変化し、テレワークが拡大した。処遇制度や通信インフラを整備し、就業スタイルを多様化させたい。一方で米中対立、通商規制や混乱、日韓関係などの世界情勢を見ると、欧米やアジア市場など、新たなビジネス展開が必要だ。

 こうした中、2021年度から始まる新しい経営計画を策定した。長期視点の5年計画とし、事業ごとの方向性を定め、2025年度の事業構造と収益目標を掲げた。事業の選択と集中でポートフォリオを健全化し、経営を安定させる。コールケミカル事業・化学品事業依存の収益体質から脱却し、機能材料・複合材料・新規事業をもう一方の柱にする。景気変動に強い体質にし、日鉄グループへの収益貢献と、従業員にとって魅力ある会社・職場を目指す。

 初年度の今年は次の2つに注力する。第1は「2021年度の収益回復」だ。商機を逃さず確実に収益を上げ、すべての事業を黒字化する。第2は「経営計画初年度の取り組み」で、確実な第一歩を踏み出す。目標に向けた実行計画策定と進捗管理を毎年行う。業務効率化も、PC環境の活用、情報の共有、取引の電子化、システム構築で進めるが、重要なのは社員一人ひとりの効率化マインドだ。無駄な仕事、改善方法など絶えず自問し問題提起すること。定年延長も始まる。新人事制度をベースに柔軟な勤務体系など、働き方改革にも着手する。

 そして、最大の課題の1つが安全・環境・防災・品質に関わるコンプライアンスだ。最低限の要請だが、昨年は休業・不休業災害、環境・防災事故を起こし過去最悪だった。全社で事故・災害ゼロ、コンプライアンス違反ゼロに取り組む。

 最後に、最も大事なのは働く人々の心身の健康だ。まずコロナ感染予防に万全を期し、職場全体で心のケアに努める。元気に仕事でき、活気溢れる職場を目指す。

 

【新社長特集】日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長

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2020年10月2日

機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用

 ━抱負についてお聞かせください。

 日鉄ケミ 中面私は2019年に親会社である日本製鉄から当社に赴任してきたが、その際に2つのことを念頭に置いていた。1つは、海外市場では地産地消が進んでいるため海外への事業展開を強化していくこと、もう1つは売上・収益の約7割を占めるコールケミカル事業や化学品事業が順調なうちに、機能材料事業をもう1つの柱として強くすることだ。

 しかしコロナ禍によって、状況が大きく変わってしまった。コロナ禍は未だ収束のめどが立たず、景気の低迷が長期化すると思われる。また、ウィズコロナで個人の消費行動などのパターンが変わってくることも想定される。事業環境が不透明になってきており、今後の事業展開は一層厳しい想定で考える必要がある。

 ━鉄鋼業界から化学業界に来られて感じたこととは。 

 日鉄時代は鉄鋼原料の調達に携わっていた。コールケミカルや化学品は、製鉄の工程で副生されるタールや粗軽油を原料にしており、同じバリューチェーンの中に位置していることから違和感はなかった。

 それに対し機能材料は、

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