《化学企業トップ年頭所感》宇部興産 泉原雅人社長

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2020年1月8日

 昨年は、国内では平成が終わり、令和という新しい時代が始まるという節目の年だった。世界の政治・経済情勢は、自国中心主義の風潮がますます強まる中、米中貿易摩擦などの貿易障壁の高まりや英国のEU離脱問題の混迷、地政学リスクなど、不安定な政治的状況が実態経済に大きな影を差すようになり、中国など主要各国で成長の同時減速という事態が広がった。

 不透明な政治情勢を背景とした景気の落ち込みは、今年も当面続くと思われる。とはいえ、その中で新たな時代の胎動は着実に進んでいる。今年の始まりにあたり、皆さんに次の2点をお願いする。

 1つ目は、1人ひとりが心身ともに健康であること。職場の安全については、環境事故撲滅や設備保全の改善のための取り組みも含め、活動の有効性を検証し、必要に応じた見直しを行いながら、安全文化を定着させていこう。

 昨年のラグビーワールドカップ以来、「ONE TEAM」という言葉が盛んに言われ、流行語大賞にもなったが、まさにチームとして変化に立ち向かい、力を発揮するための大前提は1人ひとりの安全と健康だ。今年も、個人の生活と職場の両方で、安全と健康に努めてほしい。

 2つ目は、自分の仕事のやり方が今の時代に合ったものか、あるいは今後の時代の流れを見据えた時に、その進むべき方向性に合ったものか、改めて見直し、積極的に変えてほしい。

 先行きが不透明な時代であるからこそ、少しでも先を見る努力をし、将来に備えつつ自分の今の仕事を軌道修正していくことを、1人ひとりが心掛け、「変えながらやり抜く」ことが肝要だ。常に「最新の未来」を探り、それを踏まえてやり方は調整しながら、しつこくやり抜く努力をしよう。

【化学企業 入社式訓示③】宇部興産 泉原雅人社長

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2019年4月4日

 皆さん、宇部興産への入社、おめでとう。本日、ここに108名の新入社員の皆さんを迎えることができたことを、大変嬉しく思う。

 会社としては、皆さん一人一人やりがいをもって働ける「場」を提供していきたいし、安心して長く働くことができる「環境」を整備していくよう努力する。皆さんは、性急な自己実現を図ることよりも、焦らず、基本動作をしっかり覚え、幅広い経験を積み重ねることに努めてほしい。

 当社は120年を超える歴史をもつ会社だが、昔ながらのやり方に縛られている会社ではない。石炭の採掘事業から始まり、限りある資源を、技術革新によって無限に発展できる工業に生かそう、ということで、機械・セメント・化学事業へと業容を拡大してきた。

 この発展を全てのステイクホルダーと共有していきたい、という想い、これが当社の創業の精神である「有限の鉱業から無限の工業へ」であり、「共存同栄」だ。

 この精神をDNAとして受け継ぎながら、常に時代の要請に応じ、新たな事業にチャレンジしながら、自らを変革していく、このような「変化を恐れない風土」があったからこそ、当社の今がある。

 当社は本年度から新たな中期経営計画をスタートさせ、さらなる成長を目指していく。

 皆さんには、変化を恐れず、自ら変化に挑戦していく、一方で、変化に惑わされずに、長い目で見たキャリア形成を図ることを心掛けてほしい。

 われわれは「モノづくり」の企業だ。まずは安全第一で、労働災害や設備・環境事故を起こさないことが、事業の大前提となる。

 今後、製造に直接関わる人はもとより、開発や営業、管理業務に携わる人も、しっかりと胸に刻み、心身ともに健康で、安全に会社生活を送っていくことをお願いしたい。