新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、バッチ連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」(アイファクトリー)について、従来の主要な方式に比べエネルギー削減では約8割、廃棄物では従来比3~4割の削減が見込めることを確認したと発表した。
医薬品の国内市場規模は2030年までに25.7兆円の市場に成長すると予測される。国内外を問わず、医薬品に使用される高機能化学品の多くは、バッチ式製造法により製造されるが、発生する廃棄物量やCO2量の削減と「オンデマンド生産」への適応が課題となっている。
こうした中、NEDOが取り組む技術開発テーマの1つとして、「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用『iFactory』の開発」を、2018年度から開始。高砂ケミカル、田辺三菱製薬、コニカミノルタケミカル、横河ソリューションサービス、テックプロジェクトサービス、大成建設、島津製作所、三菱化工機および産業技術総合研究所(産総研)が、連続合成法とバッチ式製造法を組み合わせたバッチ連続生産方式を採用したモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」の開発を行っている。
これまでの検証から、バッチ連続型プロセスで実際に製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で洗浄・濃縮・晶析・ろ過が、1時間当たり10kgの生産速度で、8時間連続稼働できることを確認。また、生産工程の1つである「ろ過」を連続方式にすることで、一般的なバッチ方式の装置に比べ8時間稼働で78%、連続反応器による反応工程に導入した連続方式の設備で84%に相当するエネルギー削減効果を実現した。さらに、連続化による洗浄溶剤の使用量や切り替え洗浄の回数の大幅軽減で、従来のバッチ方式で製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で30~40%の廃棄物削減効果が見込める結果となった。
今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造での省エネルギー化・生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化を目指す。