新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、コロナ禍後の「新たな社会様式」の実現に向けたイノベーションを後押しするため、TSC Foresight短信レポート「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」(全64ページ)を公開した。
同レポートでは、コロナ禍がもたらした国内外の変化について、様々な分野で発信されている客観的な情報を整理・分析することで、今後の社会変化と期待されるイノベーション像を予測。「新しい社会様式」の実現を担う関係者や機関に向け、新しいイノベーションへの取り組みを検討する際の指標としてまとめた。
レポートの前半では、現状把握と、変わりゆく新しい社会像や社会的価値観を6つテーマで分析。①デジタルシフト②政治体制や国際情勢変化③産業構造の変化④集中型から分散型への変化⑤人々の行動変化⑥環境問題への意識の変化―の現状や予測をもとに、医療、仕事・産業、教育・家庭、行政、都市のコロナ禍後に起こりうる変化を紹介している。
後半は、今後期待されるイノベーション像を、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と「持続可能な社会への転換」のテーマごとに解説。DXでは製造・生産現場、製造業サプライチェーンをはじめ、インフラやモビリティなど分野別のイノベーション像を示し、持続可能性では、コロナ禍が鮮明にした日本の弱点を浮き彫りにした上で、3Rやプラスチック材料、再生可能エネルギーなどへの強化策を提示した。
これまでの常識の再確認に気づかされ、社会の在り方に転換が迫られる今、モノづくりの現場にも「新しい社会様式」が求められている。コロナ禍後の新しいイノベーション像は非常に広範にわたり、今や世界的な社会課題であることから、その実現には産官学が一体となって取り組み、高い技術力をもつ日本の叡智を結集することで、世界的なけん引役を担っていくことへの期待が大きい。同レポートは、専用サイト(https://www.nedo.go.jp/library/foresight.html)で公開中。