DIC イタリアの接着剤・ポリマーメーカーを買収

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2022年1月13日

 DICはこのほど、100%子会社であるサンケミカルが、イタリアの接着剤・ポリマーメーカーであるSAPICI社およびその持株会社であるFINAPE社の全株式取得を目的とした売買契約を昨年11月に締結し、今月10日付でクロージングを迎えたと発表した。なお、買収金額は非公開。

 接着剤市場は世界的に成長を続けており、特に市場の5割を占める欧州と米州では、環境・安心への関心を背景に環境対応製品のニーズが高まっており一層の成長が見込まれる。同社は、国内とアジアで環境対応型の接着剤の開発と上市に注力してきたが、欧米では接着剤の開発・生産拠点を保有していないこともあり、これまで現地ニーズに即した市場展開の機会が限定されてきた。

 今回買収したSAPICI社は、サンケミカルの接着剤の生産委託先であり、高い品質管理能力と技術力をもつ。また、有害物質を極限まで抑えた接着剤「低フリーモノマーイソシアネート」(ULM)を世界で初めて商業化に成功したパイオニアであり、その生産技術を獲得することで、ULMニーズが高い欧州市場の優位性を確保することができる。今回の買収によりグローバルの接着剤供給体制を強化し、地域間の戦略製品の相互補完を進めることにより、2030年度にグループの接着剤売上高の倍増を目指す。

 DICグループでは、中期経営計画「DIC111」の中で、パッケージソリューションへのリソース集中を掲げ、製品ポートフォリオの拡張、生産体制強化や、JV、M&Aを通じた事業規模拡大に取り組む。今後も事業基盤の強化・拡大を進め、パッケージソリューションの成長を加速していく考えだ。

DIC インキ乾燥促進剤を開発、欧州の環境規制に対応

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2021年6月2日

 DICはこのほど、米国子会社サンケミカルと欧州地域の環境規制に対応した塗料や印刷インキなどに用いられる酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発した、と発表した。

乾燥促進剤 GHSピクトグラム
乾燥促進剤 GHSピクトグラム

 同製品は、同社の金属石鹸「ディックネート」シリーズの製品として欧州地域の塗料や印刷インキ業界に向けてすでにサンプルワークを開始。今後、さらに欧州地域の展開に注力し、2025年までに売上高10億円を目指す。

 乾燥促進剤は、塗料や印刷インキを製造する過程で配合され、塗布後の効果を促すもので、一般的に乾燥性能に優れたコバルト(Co)の金属塩が用いられる。しかしながら、コバルト化合物は発がん性などの人体への悪影響や、産地が限られ大幅に価格変動する懸念があることから、欧州地域を中心に非コバルトドライヤーのニーズが非常に高まっている。

 こうした社会課題を解決するため、DICはGHSピクトグラム(絵表示)が付与された健康・環境対応設計のドライヤー開発を推進。同開発品は、塗料・印刷インキ用途ともに健康有害性懸念の低いマンガン(Mn)がベース。開発品には、塗料用の「ディックネート ESG-130BZ」と、塗料および印刷インキ用の「ディックネート MV130A」があり、「MV130A」は、溶剤に植物系のエステルを使用しているため、従来の炭化水素系の溶剤と比べ健康や環境への有害性が低減する。ラボ評価では、塗料(アルキド塗料)における同開発品の乾燥性能は、完全硬化までの時間がコバルト同等以上、印刷インキ(オフセット枚葉インキ)においても同等であることを確認している。

 DICグループは、中期経営計画において、環境に配慮したサステナビリティ製品や高機能製品を社会に提供することで、社会貢献と持続的な成長の実現を事業方針に据えている。今後も塗料や印刷インキの市場要請に対応した高機能製品を提供し、事業規模拡大に努めていく。

DIC 欧米統括子会社、ヘルスケアなどの新組織を発足

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2021年3月8日

 DICは5日、100%子会社である米国のサンケミカルが、ヘルスケア食品およびニュートリションビジネスのグローバル展開を加速させるため、新組織〝フード・アンド・ニュートリション・グループ〟を発足したと発表した。

 今後、DICとサンケミカルは、着色や藻類培養ビジネスに関わる分野をグローバルで強化し、食品や飲料、栄養補助食品業界へ製品やソリューションを提供する。新組織は、DICグループの基本戦略である事業ポートフォリオの転換を早期に実現させるのが狙い。

 同組織は、サンケミカルの高度な研究技術やカラーリングの専門知識を活用し、天然および合成食品着色料の新製品開発を強化する。DICの研究開発チームは、ベンチャーキャピタルと共に積極的にバイオベースの栄養補助食品原料の開発に注力。サンケミカルは同グループの成長にコミットし、その成長を加速させるため追加投資を行う。

 サンケミカルは、新組織の発足に伴い、DIC子会社アースライズ・ニュートリショナルズの販売とマーケティング機能を同グループの組織に統合した。これには、「スピルリナ」と「リナブルー」製品の販売・流通が含まれる。

 DICグループは、中計で掲げた2つの基軸(Value TransformationとNEW Pillar Creation)による事業ポートフォリオの転換を早期に実現するため、今後も成長性と高付加価値化を期待できる市場に焦点を当て、事業基盤の強化・拡大を進めていく考えだ。

DIC 水処理事業で米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結

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2020年9月4日

 DICは3日、同社と米国グループ会社サンケミカルが、水処理用中空糸脱気製品の世界的な拡販を目的に米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。

 今後、工業用の水処理用途で使われる大型中空糸脱気モジュール「セパレル」シリーズのグローバルでの販売独占権をデュポン・ウォーター・ソリューションズに付与することで、アジア、米国、欧州地域の販売を拡大し、2021年には同事業の売上高を2019年比で約2倍の増収を目指す。

 デュポンは、限外ろ過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂など、世界をリードする水の浄化と分離技術のポートフォリオをもつ。水処理設備メーカーなどの顧客は、DICの中空糸脱気モジュールとデュポンの製品を組み合わせて使用することが多いため、今回の提携は、顧客に対してトータルソリューションサービスの提供が可能になる。

 今後は、DICの中空糸脱気関連製品「セパレル」シリーズのうち、水処理用途の製品ブランド名をデュポンのブランド「LIGASEP」へ変更する予定だ。なお、デュポン・ウォーター・ソリューションズとの独占的パートナーシップは、水処理市場にのみ適用。DICグループは、引き続き「セパレル」を製造し、独自の脱気技術を活用してインクジェットインキ市場を含む他の産業市場へ販売していく。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、環境に配慮した製品や高機能製品を社会へ提供することで、社会貢献と成長の実現を目指すことを事業方針に据えている。今後も中空糸膜モジュールの市場要請に対応した高機能な製品を提供し、世界的な事業規模拡大に努めていく方針だ。